映画「新聞記者」の最後のセリフから考えるべきこと  ネタバレ感想・解説

「新聞記者」は、2019年の映画。

2020年日本アカデミー賞を受賞して話題になった映画だ。

なんでこの映画が評価されているかといえば、現在進行形で起きている話がテーマにあるから。

こういう映画はある程度年数が経過した後に裏話的な場面を一般人に見せつけてくるのだけれど、元ネタはここ数年の出来事なのだ。

評価されているとはいえ、もちろん賛ばかりではない。その中には多くの否も含まれているけれど、それだけ人々に刺さった映画だということの表れでもある。

今回は、この映画の何がすごいのかを語っていきたい。

総合評価

75

新聞記者

3.8

Filmarks

3.6

映画.com

3.8

Yahoo映画

4.2

カラクリシネマ

Rotten tomatoes

6.3

IMDb

  • 俳優の演技力が素晴らしい
  • 国民が情報に向き合う必要があると思った
  • ラストは心につまりそうになる
  • 顔のアップばっかり。。
  • 話が古臭い
あおい

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「新聞記者」映画情報

タイトル新聞記者
公開年2019.6.28
上映時間113分
ジャンルサスペンス
主要キャスト松坂桃李
シム・ウンギョン
監督
藤井道人

映画「新聞記者」キャスト

登場人物キャスト
吉岡エリカ
-東都新聞記者
シム・ウンギョン
杉原拓海
-内閣情報調査室の役人
松坂桃李
杉原奈津美
-杉原の妻
本田翼
倉持大輔
-吉岡の同僚
岡山天音
関戸保
-吉岡の上司
郭智博
都築亮一
-杉原の元同僚
高橋努
神崎伸子
-神崎の妻
西田尚美
神崎俊尚
-杉原の元上司
高橋和也
多田智也
-杉原の現上司
田中哲司

映画「新聞記者」あらすじ

東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名 FAX で届いた。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある強い思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる!

filmarks

映画「新聞記者」予告

映画「新聞記者」ネタバレ感想・解説 

アカデミー賞受賞作、映画「新聞記者」は日本に数少ない社会派エンタメ映画

映画「新聞記者」シム・ウンギョンと松坂桃李
©映画「新聞記者」

邦画がこういう社会派問題をテーマにしたときに起こる問題は、たいていの場合エンタメ力をそぎ落とし過ぎていて、この問題に興味がある人か、映画が好きな人かの2択になってしまうこと。

もちろん「新聞記者」も決して明るい映画ではない。

演出とはいえ、日本の暗部として映し出される内閣調査室は映像の色味がかなり薄暗いし、映像だけでなく雰囲気ももちろん暗い。

だけど「新聞記者」は、社会派としての側面だけでなく、日本の暗部に迫るサスペンス要素と、徐々に核心に迫っていくミステリー要素をうまく組み合わせることで、エンターテイメントとしての映画作りにもこだわっている。

だからこの映画は映画好きの評論家から、デートついでに見る程度の映画好きまで幅広くから評価を受けている。

そしてアカデミー賞を受賞したことも大きい。(日本アカデミー賞の問題点についてはここでは触れないけれど)

多くの人に観てもらいたいという製作者側の意図が汲み取れる。

内閣情報調査室とは

映画「新聞記者」田中哲司と松坂桃李
©映画「新聞記者」

「新聞記者」で、松坂桃李演じる杉原が所属する組織。それが内閣情報調査室と言われる場所。

内閣、そして総理に直接属している組織で、その実態はあまり知られていない。その存在があることは広く知られているが、霞が関で働く役人たちでも具体的に何をしているのか分からないそうだ。

内閣情報調査室、いわゆる内調にいる幹部は、そのほとんどが警察組織の官僚が送りこまれているため、警察とも繋がりが深い。

映画では、謎に包まれている組織として、国民には言えないような情報操作をしていることから映画で内調のシーンが映し出されるときはモノトーン調でとにかく暗い。

内調がTwitterでちまちま世論を操作しようとしていると、「そんなことありえるの?」とも言いたくなるけれど、直接的な圧力のかけ方ではなく、間接的な圧力のかけ方(内調があなたの事を調べていますよ的な)が見えたりすると、なんだかそれぐらいならありえそうで恐怖を感じるところもある。

良くも悪くもフィクションなので、こういう謎の組織は製作者側の都合よく描くことができる。

「新聞記者」はノンフィクションではない

映画「新聞記者」シム・ウンギョンと郭智博
©映画「新聞記者」

「新聞記者」ではほとんどすべてにおいて実名は使われていない。

大学の新設に関しても明らかに森〇学園を指しているけど別名にしているし、新聞社も東都新聞という架空の企業になっている。(一部会話の中で朝日や読売などが会話に出てきているけど、物語にはかかわっていない)

もし、実名にしてしまうとこの映画の物語性が失われてしまう。

製作者の意図として、「新聞記者」は、今の日本の暗部を映画というエンタメの世界を通じて広めたいというところにある。

これをもし、実名で出してしまうと、全くの嘘はもちろんのこと、憶測で描くことすら難しくなる

世に問いたいのは、この物語を見て連想する実在のニュースは、実はこういう闇が潜んでいるかもしれないという問題提起だからだ。

あくまでフィクションとして描かれているので、若干陰謀論として出来過ぎている感はあるし、善と悪が分断されすぎているのは実に作り話に見えるけれど、エンターテインメントとして幅広い議論を起こすことができるため、これはこれでアリだ。

映画「新聞記者」男優・女優の光る演技に注目

©映画「新聞記者」

そして、その映画に深みを出して、エンターテインメントとしての力を存分に発揮させているのが、役者の力だ。

松坂桃李の正義と家族との間で揺れる葛藤や、シム・ウンギョンの眼力で魅せる迫力。主役のこの2人は本当に圧巻だった。

シム・ウンギョンは片言の日本語のため、どうしても言葉での表現は棒読みのように聞こえがちだ。

だけれども、その言語能力を補うかのように彼女の眼力、表情から伝わる信念の咆哮は、鬼気迫るものがあったし、改めて演技はセリフだけではないのだと感じることができた。

松坂桃李も同様に、元上司の自殺に対しての怒りと、その怒りのために犠牲になっている妻と子への罪悪感との揺れ動きがとても良く表現されていて、現実味のない内閣情報調査室の役人という役を、私たち民間のサラリーマンでも共感できるような映画に仕上がっていた。

ここが本当に重要で、雲の上の役人たちがなんかいろいろ暗躍しているみたいな話ではなく、「信念をとるか家族をとるか」を身近な社会に置き換えてとらえることができるようになっていた。

そういう意味で、一見浮いているようなザ・一般人の本田翼も一役買っていた。

トップじゃないけど悪くて偉い奴を演じたら右に出る者はいない田中哲司。彼が出るとどんなに悪くて汚いことをしてのけても、ちょっとかっこよく見えてしまうのは私だけだろうか。

他にもたくさんの濃厚な俳優に支えられた結果、この映画は高く評価されたし、広く認知されることになったのだ。

映画「新聞記者」のラストのセリフが胸に刺さる

©映画「新聞記者」

「新聞記者」の見どころは、実際に起きた事件に置き換えて、日本の暗部の「IF」を想像することと、もう1つ、自分の身の回りに置き換えて考えてみるのがポイントだ。

杉原演じる松坂桃李がやってくれたように、彼は自分の信念や正義と大切な家族を守るという2つの相反する考え方に苦しんでいる。

果たして「信念を曲げずに生きることと、家族のために生きること」のどちらがかっこいいのか。どちらがより悔いのない人生なのか。

その問いについて、杉原はラストで「ごめん」と言って終わる。この映画では「家族を選択する」という終わり方を迎えるのだ。

家族を犠牲にしてまで己の正義を貫き通すほどの覚悟を現実の世界で実行できる人間はほとんどいないのではないか?

国家レベルの話で考えなくてもいい。今あなたが働いてたり勉学に励んでいたりするその場所では、様々な人間関係が繰り広げられているに違いない。

特に会社という組織の中で働き、お金をもらい、家族を養っている人にはこの映画は刺さるはずだ。

入社したての若い頃は、組織の体たらくさに怒っていなかったか?そしていつの間にか、過去自分が嫌っていたことと同じことをしていないか?

結婚し、子どもが生まれ、守るものが増えたとき、その家族を犠牲にしたり苦労させたりしても貫き通す信念を持っているのだろうか。

杉原の言うとおり、子どもは自分の父親が信念を貫いた方がカッコイイと思うかもしれない。それで自分が不幸になるかどうかなんて考えず、正しいことをしている人間を尊敬するのは至極当然のことだ。

ただし、「誰かにとっての正義は誰かにとって悪だ」。

そうして何かを変えることを恐れ、諦めて日々暮らしていく。

だからこの国は変わらないし、世界もまた変わらない。

でも少しでもこの映画を通じて自分の小さな世界を少しだけ変えられたらなと思える映画だった。

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この記事を書いた人

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