「寝ても覚めても」は2018年の東出昌大と唐田えりかの映画。
2020年に起きた出来事から、映画を知らなかった層まで認知されることになったのだけれど、元々作品としての評価は高かった。
直感的に好きになってしまった男が消えた後、そっくりな顔をした男と出会ってしまう話。
朝子のような感情で動くタイプの人間のやっかいなところは、どんなに積み上げても一瞬で壊されるし、その廃墟にしれっと戻ってきたりするところだ。
あなたが“S”なら迷わずやめておこう。ストレスにしかならないから。
あなたが“M”なら選んでもいいかもしれない。相手の振り回すような行動が、自分自身の行動の原動力になるのだから。
男とか女とか関係なくこのタイプは気をつけたい。
今回は危険な5つの行動をネタバレしながら紹介しよう。
総合評価
68
寝ても覚めても
3.6
Filmarks
3.5
映画.com
3.0
Yahoo映画
3.3
カラクリシネマ
7.26
Rotten tomatoes
6.8
IMDb
- 大傑作 距離と動きの映画
- 雰囲気がすごく好き
- 亮平の変化にゾッとした
- ストーリーが合わない
- 誰にも感情移入できない
「寝ても覚めても」映画情報
タイトル | 寝ても覚めても |
公開年 | 2018.9.1 |
上映時間 | 119分 |
ジャンル | 恋愛 |
主要キャスト | 東出昌大 唐田えりか |
監督 | 濱口竜介 |
「寝ても覚めても」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
朝子 -同じ顔の男性を好きになる | 唐田えりか |
麦(ばく) -朝子の彼氏。突然失踪する | 東出昌大 |
亮平 -朝子の東京での彼氏 | 東出昌大 |
マヤ -朝子の東京での友達 | 山下リオ |
島春代 -朝子の大阪での友達 | 伊藤沙莉 |
櫛橋 -亮平の同僚 | 瀬戸康史 |
岡崎信行 -朝子と麦の友達 | 渡辺大知 |
岡崎栄子 -信行の母 | 田中美佐子 |
平川 -被災地の漁師 | 仲本工事 |
「寝ても覚めても」あらすじ
東京。亮平は、コーヒーを届けに会社に来た朝子と出会う。真っ直ぐに想いを伝える亮平に、戸惑いながらも惹かれていく朝子。ふたりは仲を深めていくが、朝子には亮平には告げられずにいる秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦に顔がそっくりだったのだ――。
filmarks
「寝ても覚めても」予告
「寝ても覚めても」本能で行動するタイプの危険な5つの特徴 ネタバレ感想・解説
※ここからは結末も含めてネタバレします
その1)避けようとしながら近寄りがち
1つ目は、会ってはダメだと思いつつ近づいたり、離れたりする点。
好きだった男とそっくりだった男に出会ったのだから惹かれるのは当然だ。これは仕方ない。
だけどこの後が問題で、会わない方がいいと感じているならとことん会わない方がいいし、別人だけど似ているから気になるし会いたいなら会えばいいし、なんなら今の寂しさを埋める理由だとしてもかまわない。
会いたくないといいつつ、離れて拒絶してみたり、やっぱりさみしいからと近づいてみたりと、この押し問答が非常に問題。
恋愛における使い古されたような手法だけどやっぱり有効で、しかも素でやられるから引っかかりやすい。
いろいろ拒んでおきながらも震災があった日に結局想いを抑えきれなくなり付き合ってしまう。
そしてこの時、朝子自身もどっちが好きか分かっていない。
でも朝子本人は「私は亮平が心配だ。だから私は亮平が好き」という論理的思考で自分を納得させるのだ。
だが実際には感情で動くタイプなので、客観的分析は無意味である。
その2)やたらと自分に言い聞かせがち
2つ目は、「私は亮平が好き」だの「感謝してる」だのやたらと口に出して言うところ。
これは実は亮平に伝えるわけではない。自分自身に言い聞かせている。
私は麦のことはもう忘れたし、亮平のことが好きなんだと思い込もうとしたいがために声に出している。
この時点で心が離れていないのは明白だ。
自分の心は麦のことを忘れていないという事実があるのにも関わらず、無理やり抑えこもうとしたってできないのだから、自分にも亮平にも嘘をつくことになる。
だったら最初から「私は麦のことが忘れられないし、似ている亮平も好きだし、優しいところが好きという風に割り切った方がいいし、それを亮平に伝えればいいのだけど、根がマジメではあるのでそれはしない。
告白したうえで亮平が朝子の元に来るならウェルカムだし、来なければ追いかけるのもアリだと思うのだけれどそれはできない。
その3)区切りにこだわりがちで、それを他人に周知しがち
3つ目に、区切りこだわりがち問題。
亮平に会わないという選択をしたとき、麦に強引にさよならを伝えるとき、自分の中でその選択をしたことをわざわざ伝える。
でも別にそんなことする必要なんてない。自分が分かっていればいいだけなのに、わざわざ終わりを作ろうとする。
麦にさよならなんて、せいぜいボソッと声に出すだけでいい。
でもそれをしてしまうのは、心の中にわだかまりがあることに他ならない。
そして、そんな無理やり区切りを作ってもムダでしかない。
感情がそんなに単純だったら恋愛なんてもっと簡単だ。
その4)直感で行動しすぎる
結婚するために大阪へ行く直前で麦が現れる。そして直感的に麦のところへ行ってしまう。
かなりムチャクチャな設定なのだけれど、要はそれほど忘れられない相手であったことがここで印象づけられる。
しかし、これだけならまだいい。
クズな行動だけど、島春代の言うようにおばあちゃんになればそんなこともあったねと笑い話にでもなっているかもしれない。
しかし、一緒に生きていくことを決めたはずなのに、朝になったら「もう帰る」と言い出す始末。
夜の直情的な想いでしてしまった行動を、朝思い直して我に返って赤面して悔いるあの行動を、5年もの期間をかけて積み重ねたモノに対して行ってしまうのだ。
あれだけ口に出したり、周りに言ったりしていたのに、自分の中でも論理的に答えを見つけようとしていたのに、それを直感的に判断してしまうので、そりゃ周りにいる人は混乱の極みだろう。
しかし、それを思い出してやっぱりやめるというのも実に直感的で、いやいや、もう少し考えませんか?
思いついたときに、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?と思うのだけれど、このタイプにはそれができない。
だって、「Don’t think. feel!」なのだから。
その5)すべて「自分本位」に考える
最期のポイントは、すべてにおいて自分中心な点。
亮平の元に戻った後も、迷惑をかけているのに謝り切れないから謝らない。でも一緒にいたいという。
まるで、相手の事を考えておらず、自分のやりたいことを押し通すタイプだ。
ALSになってしまった友達に久しぶりに会ったというのに、病気の事よりも何よりも、自分の恋愛話をする。
やっかいなのは、そのことを本人が自覚していて、それをまた伝えることにある。
クズならクズと割り切ればいいのに。それを悪いことだよねと懺悔して贖罪をしようとする。
亮平のようなタイプには合っている
しかし、それらをすべてひっくるめて亮平と朝子はお似合いだと思うし、麦と朝子は合わないだろうと思う。
朝子は”S”タイプであり、亮平は”M”タイプだからだ。
同じく”S”タイプの麦とは、その場の息はあったとしても長期的には続かない。
あさっての方向を向き、自分の方を向いていない異性に対して、それでも振り向かせようとする男は、やっぱり朝子のような危うい存在に惹かれてしうものだ。
そういう危うさも含めて好きなのだから。
被災地の平川に「お前はひどいことをした」と言われたときは早々に立ち去り、岡崎の母に恋愛と結婚は違うと言われると妙に心を打たれたりするなど、自分に都合が悪いことは聞けないタイプなのでそれが人間的にどうとかではなく、亮平みたいななんでも受け入れてくれるタイプが似合っている。
なんかめっちゃ怒ってたけど、1週間もすれば普通に接してデレデレになるに違いない。
猫も捨てれないし、カギを開けて入らせるし、何かと気にかけて未練タラタラなのだから。
「愛がなんだ」ではないけれど、色んな愛の形があっていいよと思う映画だった。
「寝ても覚めても」を観たならこれもおすすめ
「愛がなんだ」
好きな人に振り回されるのは幸せなのか不幸なのか
タイトル | 愛がなんだ |
公開年 | 2019.4.19 |
上映時間 | 123分 |
ジャンル | 恋愛 |
主要キャスト | 岸井ゆきの、成田凌 |
監督 | 今泉力哉 |
28 歳のテルコはマモル(マモちゃん)に一目惚れした5ヶ月前から、生活はすべてマモちゃんを中心に動いている。仕事中でも、真夜中でも、マモちゃんからの電話が常に最優先。仕事を失いかけても、親友に冷たい目で見られても、マモちゃんがいてくれるならテルコはこの上なく幸せなのだ。けれど、マモちゃんにとっては、テルコはただ都合のいい女でしかなかった。今の関係を保つことに必死なテルコは自分からは一切連絡をしないし、決して「好き」とは伝えられない。今の関係を崩してまで伝えることが必要なことなのか?
filmarks
今泉力哉監督作品。岸井ゆきのの恋をしている表情に注目して欲しい。好きなときに呼び出したら喜んでついてきてくれる都合が良い関係は、やっている方はとても楽だし自然体でいられるが、やられている方はどうなんだろう。相手の行動に一喜一憂し、自分が主体でないから苦しいのではないか。否、それを良しとする人間もやはりいるのだ。例えそれがつらい気持ちを押し隠していたとしても。
「劇場」
セカチューの行定勲 x 山崎賢人 x 松岡茉優
タイトル | 劇場 |
公開年 | 2020.7.17 |
上映時間 | 136分 |
ジャンル | 恋愛 |
主要キャスト | 山崎賢人、松岡茉優 |
監督 | 行定勲 |
演劇を通して世界に立ち向かう永田と、彼を支えたいと願う沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った。夢を叶えることが、君を幸せにすることだと思ってた—「一番 会いたい人に会いに行く。こんな当たり前のことが、なんでできなかったんだろうね。」
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