「トーク・トゥ・ミー」は、2023年公開のA24発の映画。「ミッドサマー」や「パール」など変わり種のホラー映画を多数世に送り出しているA24が、「トーク・トゥ・ミー」ではわりと王道に怖いホラーを配給。
サンダンス映画祭で話題騒然となったオーストラリアのホラー映画で、Youtuber出身のダニー・フィリッポウとマイケル・フィリッポウが手がけた映画で、登録者数は600万超えの「RACKARACKA」チャンネルを運営している。
その2人が製作した「トーク・トゥ・ミー」にA24が惚れ込み配給権を獲得した流れだ。
本作のアイデアはドラッグから着想を得ている。ドラッグにより仲間が痙攣(けいれん)している最中も他の仲間はゲラゲラ笑い合っていた光景を見た2人は、霊の憑依に例えて演出するアイデアを思いついた。
ストーリーはアメリカによくある連続殺人鬼が襲い掛かったり、悪魔が人間を襲ったりというのとは少し異なる。
霊を自分の中に取り込むとぶっ飛ぶような快感を得られる、というドラッグよりも危険なチャレンジにハマる若者たちにふりかかる恐怖。90秒の憑依チャレンジはSNSでも話題になり、バズっていた。
グロテスクな描写もありつつ、目を背けたくなるような緊迫感の出し方もうまい。取り返しのつかない悪夢の90分は観客側も興奮を隠せない。
実際にミアたちに何が起きていたのか、エンディングの意味とはについて解説・考察していく
霊に取り憑かせてぶっ飛ぶ90秒
TALK TO ME トーク・トゥ・ミー
(2023)
3.9点
ホラー
ダニー・フィリッポウ、マイケル・フィリッポウ
ソフィー・ワイルド
- 限界まで霊に取り憑かれるスリルと快感を求める若者たち
- 90秒を超えた先にあるヤバい事件とは?
- サンダンス映画祭受賞のA24配給ホラー
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映画「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ミア | ソフィー・ワイルド |
ジェイド | アレクサンドラ・ジェンセン |
ライリー | ジョー・バード |
ダニエル | オーティス・ダンジ |
映画「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」ネタバレ考察・解説
トーク・トゥ・ミーあらすじ
母を亡くした高校生のミアは、気晴らしに仲間とSNSで話題の「#90秒憑依チャレンジ」に参加してみる。
ミアたちはそのスリルと強烈な快感にのめり込み、チャレンジを繰り返していくが、仲間の1人にミアの母の霊が憑依し——。という話。
ルールは簡単、呪われた“手”の形をした置物と握手し、「トーク・トゥ・ミー」と唱えると霊が見えるようになる。次に「アイ・レット・ユウ・イン」(あなたを中に入れる)と言えば霊が自分の中に入って自由を奪われる。
霊特有の奇怪な行動をとりはじめるが、90秒以内に置物の手を離せば憑依は終了する。
しかし、一つだけ注意が必要だ。制限時間の90秒を超えて霊を憑依させ続けては絶対にいけない。90秒を超えると霊が自分の中に残りたくなってしまうためだ。
死がギリギリに感じられるスリルと、乗っ取られたときの高揚感にうけた若者たちはチャレンジを繰り返していた。
新感覚のホラーという触れ込みだが、憑依という点では日本の”こっくりさん”と似たような話で、和ホラーの要素が入っているからか目新しさは感じなかった。
しかし、映像や音楽の使い方、海外っぽい要素も含まれるため、楽しめることは間違いない。
特に和ホラーは絶滅しかけているので、背筋が凍るようなホラーもありつつ最高だ。ストーリーもしっかりしているので、単に怖がらせるだけにとどまらない。
王道のホラーに、独特の音楽が流れつつ、グロテスクな映像がきらびやかにうごめく。編集の仕方も飽きさせないし、人間ドラマの生々しさもA24っぽいつくりである。
何が起きていたのか
ストーリー自体はそれほど難しいわけではないが、母親の精神的な病から、冒頭のカンガルーの事故など、主人公ミアの死生観のようなものを含めて映画は構成されている。
主人公のミアは2年前の母親の死からずっと立ち直れていない。母親は精神的な病をわずらっていたが、薬の分量を間違えたことで過剰摂取により亡くなっている。。
ミアは、何かを隠していると感じる父親に壁を作ったまま、友人のジェイドの家で過ごすことが多くなっていた。
そしてある夜カンガルーが事故で瀕死になっているところを目撃する。同乗するライリーは「苦しみから解放してあげたほうがいい」というがミアは轢き殺すことができなかった。
母親の死とカンガルーの出来事はラストにミアが取った行動につながる重要な意味を持っている。
90秒チャレンジに興味を持ったミアはジェイドと恋人のダニエル、弟のライリーとともにクラスメイトが夜な夜なやっているパーティにいく。
しかしミアはそのチャレンジ中、霊の抵抗にあったせいで90秒を超えてしまう。少しだけ超えてしまったものの、そのときはなんともなく終わったように見えた。
翌日、ジェイドの恋人ダニエルも憑依チャレンジしたいと言い出し、再びパーティを開催する。強烈なスリルと快感にハマり何度も繰り返すミアたち。それを見ていたライリーもやってみたいと言い出す。
まだ15歳にも満たないライリーに、姉のジェイドは許可を出さなかったが、ミアが50秒だけならと許可してしまう。
ライリーが憑依したのはミアの母親だった。そのことに取り乱してしまったミアは90秒というルールを破ってしまう。
しかし、ライリーは突然自分の頭を激しくテーブルに打ちつけ始め、さらには自分の目を抉り取ろうとする行動に出る。
一命を取り留めたものの重傷。意識は戻らず霊に乗っ取られたままの状態になってしまった。
ミアの母親の死の真相
母親と仲の良かったミアは、自殺したと思いたくなかった。自分を置いて死を選んだなどと考えたくなかったが、父親はその真相を伝えるべく、母の最後の手紙を読む。
そこには自殺を仄めかす文章が書かれていた。
一方で、母親の霊はミア自身にも見えるようになっていた。その母親は「死ぬつもりはなかった」と繰り返し、後悔の想いミアに伝える。
霊の母親の言葉と手紙の内容の違いを受け止められないミア。そこに追い打ちをかけるように母親の霊がささやく。今の父親は操られていて、解放してあげなければならないと。
混乱の中、ミアは誤って父親を刺してしまう。このことはすべて霊が仕組んだことでミアをあちら側に引き寄せようとする罠だった。
母親は自殺していた。霊は人間のフリをするのが上手だというシーンがあるが、ミアは母親の死を霊に利用されたのだ。
手の置物はなんだったのか?
手の置物に関しては具体的に言及されていない。
しかし確実にその手には呪いがあり、霊を引き寄せることがわかっている。
映画の冒頭ではダケットという男が霊に取り憑かれ自殺する。ミアのクラスメイトはそのダケットから手を受け取っていた。
すでにその頃には霊にとりつかれていたダケットだが、ダケットもある男からもらったという。
しかし、その部分については特に触れられていないことから、なぜその手に悪霊がとりついているのかはわからないままだ。
ラスト ミアに何が起こったのか?
ライリーのときは中途半端に終わってしまった90秒チャレンジをもう一度実行することで、意識を取り戻そうとするミアたち。しかし、大量の霊に引っ張られ続けるライリーの意識の一部を垣間見てしまう。
「苦しみから解放してあげる必要がある」
この言葉は、ライリーにも向けられた。だんだんと霊に意識を乗っ取られていくミア。ライリーのように明らかに時間を超えてしまったわけではなかったが、霊はミアの中にも取り憑いて、徐々に侵食していったのだ。
その力は次第に力を増し、必死に自殺を食い止めるジェイドたちから引き離し、ライリーを高速道路から突き落とそうとする。
しかし、最後の最後で正気を取り戻し、ミア自身が高速道路に身投げする。
車に轢かれて瀕死になっているカンガルーを見た時を思い出す。
ミアは、カンガルーの命を終わらせてしまうことに強い抵抗を示していた。このシーンでは「死なせてあげた方が良い」とライリーに言われていた。これは、霊がライリーに対して同じことを言ったシーンのメタファーになっている。
ミアは結果的にカンガルーを殺さなかった。それは母親の死が大きく影響している。
残されたミアの心の苦しみを考えると、死が救いになるという思考にはならなかったからだ。
この思考の結果、ライリーを救うことになり、ミアは自ら死を選んだ。
そしてその先には、ライリーが正気を戻し順調に回復しているシーン、そして父親から離れて暗闇に吸い込まれるシーンが描かれる。
また誰かが言った「トーク・トゥ・ミー」。今度はミアが呼ばれる番だ。永遠の時をさまよう霊として。
手の持つ呪いの元凶については謎のままだが、1つのストーリーとしても完結している。
怖がらせることが目的となりストーリーが雑になりがちなホラー映画であるが、A24らしい人間の心の機微もしっかり描かれているので、単なるホラーとしてではない楽しみ方もできる。
スッキリできる話ではないが、父親と離れ離れになったことから、おそらく父親は生きていて、ライリーも生還している。
犠牲になったのはミア1人。ミアが最後にライリーを救ったことで胸クソにはならないギリギリの映画である。
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