映画「ブックスマート」は、2020年に公開された映画。
アメリカのハイスクール生活を勉強に費やし、高校生活を全然楽しんでこなかったエイミーとモリーが学生生活の最後を楽しむために卒業パーティへ出かけていく話。
日本でも高校という枠には実にいろんな人がいるので、やっぱり気の合う仲間たちで繋がり、ある程度のグループに分かれる。疎遠となったグループとは、雰囲気や行動によって合わないと勝手に思い込んで敬遠したり、嫌いあったりしてしまうこともある。
でもちょっと一歩踏み込んで話してみると、同じ人間同士分かり合えることもたくさんある。
特に最後の夜なんかは、同じ高校のクラスというだけで親近感が湧くものだ。
72点
映画「ブックスマート」映画情報
タイトル | ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー |
公開年 | 2020.8.21 |
上映時間 | 102分 |
ジャンル | コメディ |
監督 | オリヴィア・ワイルド |
映画「ブックスマート」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
エイミー | ケイトリン・ディーヴァー |
モリー | ビーニー・フェルドスタイン |
ファイン先生 | ジェシカ・ウィリアムズ |
ジジ | ビリー・ロード |
ニック | メイソン・グッディング |
校長 | ジェイソン・サダイキス |
ダグ | ウィル・フォーテ |
ジャレッド | スカイラー・ギソンド |
ライアン | ヴィクトリア・ルエスガ |
「ブックスマート」あらすじ
成績優秀な優等生であることを誇っていた親友同士のエイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)。しかし、卒業前夜、遊んでばかりいたはずの同級生もハイレベルな進路を歩むことを知り自信喪失。二人は失った時間を取り戻すべく卒業パーティーに乗り込むことを決意する。果たして、二人を待ち受ける怒涛の一夜の冒険とは?そして、無事に卒業式を迎えることができるのだろうか!?
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映画「ブックスマート」ネタバレ感想・解説
ブックスマートの意味とは
ブックスマートは、学識があって高い教育を受けている人のことを指す。
頭の良い人という意味だけど、その裏では、座学での教育ばかりで経験に乏しい人のことを揶揄している言葉でもある。
ブックスマートに登場するエイミーとモリーはそのタイトル通り、高校時代に勉強ばかりして、実体験を積んでこなかった2人。勝ち組だと思っていたら、正反対にいるはずだったクラスメイトまで同じ大学に行くことを知って、焦るという話。
キライ=知らない
小学生〜高校時代は実にいろいろなグループの人たちと仲良くなれる機会だ。
学生時代の友達は、大人になると仕事も趣味も、価値観も全く異なる。大人になってからは近づきもしないだろうなと思う人たちでも、学生時代に友達になった人たちとは会えば普通に一緒にいられる存在だ。
大人になるにつれて、自分のやりたいことや、得意なこと苦手なことが分かった上で進路を決めていく。
そうなると、大学や社会人になってから付き合う人たちは良くも悪くも同じような人たちばかりになっていってしまう。
そのグループ内で価値観が形成され、同じ価値観の人間と多く意見を交わすことで、段々と自分の中のスタンダードになっていく。そうなると全く別の異なる価値観を見つけると、時に排除したくなり、嫌いになったりしてしまうのだ。
でも、ブックスマートを見て少しわかったことがある。
キライだと思っていたその相手は、「ただ知らないだけ」なんだ。知らないの延長線上に嫌いがあるだけで、決してその人たちと付き合ってみて嫌いになったわけではないことも多い。
ブックスマートのように、高校生活でもグループは作られるので同じようなことが起きるのだけれど、その価値観の違いは身近にある。
バカっぽいし、つまらないことではしゃいでいるし、遊んでばっかりのクラスメイトを見て毛嫌いしていたり、口うるさいクラス委員長だから性格ブスだと決めつけてお互いを知らないままで過ごす。
でも、そこから一歩踏み出すだけで、ガラリと変わる。特に卒業式前夜なんて、それぞれがお互いの進路へ進み、これからさらに大きな世界へ広がっていく直前なので、全員が同じ高校生活を過ごしたというグループで固まり、友好的になる瞬間だ。
そう、人間は同じグループ、同じ仲間だと認識するだけで一気に友好的になる。
人間同士は本来、そんなにいがみ合う生き物ではない。ただ、知らないから嫌いになるし、知らないから残酷になる。
それは自分たちの輪に入っていないだけなのだ。
「ブックスマート」は、とても平和な話だけれど、白人が先住民がいる国を侵略し、黒人を人として扱わなかったように、知らないということは人間にとって悲惨な事態を生む事もある。
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もちろんお互いを知った上でキライになることもあるけれど、知らないままにいがみ合う悲劇はできるだけ避けたい。
輪を広げることで実感する強固な繋がり
外の文化に触れることでいつも身近にいた人への気持ちも再確認できるのがこの映画の良いところ。たくさんいる生徒の中からいつもいる2人というのは寂しい気がするかもしれない。でもずっと2人でいられることって結構すごいことなのだ。
モリーの自分勝手で強引な誘いにいつも合わせて行動してきたエイミーが、自分の意思で動いていないことへの劣等感から留学して離れようとするところも少し理解できる。
思春期には自分の意思で行動していないことに怒りや劣等感を生み出すことも多い。
でも離れようとすればわかる。どれだけ大事な存在なのかってことが。
高校時代に遊んでこなかった分、一気に逆に弾けて後悔することになったファイン先生のように、人間は時にはハメを外して自分の欲望のままに動くのが必要なのかもしれない。
そのコントロール方法を実践を交えて学ぶことで、人はさらに成長していくのだから。
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高校生活に退屈し、思春期特有の厨二病で自らを「レディバード」と名乗る女子の物語。田舎の退屈さや、クラスカースト、そして女同士の友情など、色々な点で似通っている。ここに出てくる親友はモリー役のビーニー・フェルドスタイン。
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