映画「朝が来る」はエンドロールまで席を立ってはダメ ネタバレ感想・解説

「朝が来る」は2020年の邦画。

777人の映画好きが選んだ人気投票で28位を獲得した映画。

子どもができない夫婦が、特別養子縁組という制度を利用して男の子を迎え入れる。それから6年、突然「母親」を名乗る女からの電話があった。内容は脅迫。しかし会ってみると全然別の女だった。

という謎から始まるミステリー。

なのだけれど、ミステリーというよりもドキュメンタリーを見ているようだった。

飽きさせないようにミステリー要素を入れつつも登場人物の迫力と、その自然な演技に魅入られて139分と比較的長い上映時間なのに全く長さを感じさせなかった。

役者のセリフはどこか拙い話し方が多い。セリフを覚えて話しているというよりも1つ1つ言葉を選んで話している印象だ。

台本無しで話したのではないかと思うほどで、でもそれがこの映画のリアリティーをより引き立てている。

これはフィクションなのか。果たして現実なのか。美しく、切なく、そしてエモーショナルな映画だ。

「朝が来る」は米国アカデミー賞の外国語作品賞の候補に挙げられたものの、惜しくも落選している。

92点

脚本
9
演技
10
演出
10
音楽
8
総合
9

「朝が来る」映画情報

タイトル朝が来る
公開年2020.10.23
上映時間139分
ジャンルミステリー
監督河瀬直美

映画「朝が来る」キャスト

登場人物キャスト
栗原佐都子永作博美
栗原清和井上新
片倉ひかり蒔田彩珠
浅見静恵浅田美代子
栗原朝斗佐藤令旺
麻生巧田中偉登
ひかりの母中島ひろ子
借金取り若葉竜也
借金取り青木崇高

映画「朝が来る」あらすじ

一度は子どもを持つことを諦めた栗原清和と佐都子の夫婦は「特別養子縁組」というシステムを知り、男の子を迎え入れる。それから 6年、夫婦は朝斗と名付けた息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。ところが突然、朝斗の産みの母親“片倉ひかり”を名乗る女性から、「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話がかかってくる。当時14歳だったひかりとは一度だけ会ったが、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心優しい少女だった。渦巻く疑問の中、訪ねて来た若い女には、あの日のひかりの面影は微塵もなかった。いったい、彼女は何者なのか、何が目的なのか──?

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映画「朝が来る」ネタバレあらすじ感想・解説 

「朝が来る」は14歳で子どもを産むこととなり、日の当たらなかった女性に、再び朝日が当たるまでのストーリーだ。

14歳のひかりには、希望がたくさんあった。世界は光り輝いて誰からも祝福されているように見えた。

けれども妊娠を機にすべてが変わる。世界からは眩さが消え、祝福は非難に変わる。

なぜ災難なのか、なにがアホなのか。自分が授かった子供はなぜ不幸の源のような扱いをされなけれなならないのか。

私は映画をひかりの視点から見ているので、あの母親の対応はたしかに気に入らない。

ひかりは我が子を大切に想い、好きな人の子供を授かっているというのに、誰にも祝福されず、全てをなかったことにされようとしているのだから。

しかし、自分が親となった今、母親の苦しみが分からないでもない。

14歳の将来もある子供が、まだ次の世代へ命を紡いでいくには少しばかり早すぎる。

世間体を気にしている両親を蔑む気持ちはわかるのだけれど、我が子の希望の道が少しでも狭くならないようにしたいという気持ちは痛いほどわかる。

まだ母親自身がバトンを娘に渡している最中なのだ。まだその先の子どものことまで考えていない。

両親にとっては、朝人の存在はひかりの希望を妨げるものに映るのだ。だからなかったことにしようとする。

産んで戻ってなかったことにすれば高校受験に間に合うのだと。安産かどうかを願う余裕もなく、一刻も早くこの障害を娘から遠ざけなければならないのだから。

親になればなるほど安定を望み、論理的に物事を考える。若ければ若いほど刺激を好み、感情的に動く。まるで価値観の違う立場の両者に壁が生まれるのは必然だ。

「朝が来る」ネタバレとエンドロール感想・考察

苦しみの中を必死にもがき続けるひかりにとって佐都子とベビーバトンの静江の存在はとても重要なものだった。

2人は朝人とひかりの存在をなかったことにしなかった。

物語のラスト、佐都子はひかりに会ってそのことを告げる。

朝人がひかりをはっきりと見つめ、ひかりに再び朝日に照らされる。

物語はここで終了だけれど、朝人は何も言わない。

そしてエンドロール終了直後に朝人の歌声がはじまる。

「かわいい人、愛しい人、美しい人、守りたい人、この瞳が光を奪われても、きっと君を探し出すよ。必ず君に辿り着くよ」

そして最後に

「会いたかった。」

とひかりに伝えるのだった。

世の中には子どもが欲しいのに作れない人がいて、子どもを育てられないのに子どもを産む人もいる。世界はとても不条理で不合理だ。

子どもができたのに不運にも死産となってしまうことだってある。

生まれてくる生命には希望しかないのに、その生命を宿す母体には絶望がつきまとう。あらゆる生物に種の生存本能が備わっているにも関わらず、人間は時にその本能に背く

新たな生命授かっているというのに祝福の2文字はない。無に返そうとする。

人間社会はなんて残酷な世界なのだろうか。

人間が授かった知恵の実は、確かに人間を増加させた。種としての繁栄は大成功だ

だがたまに思う。知恵さえなければ人間はもっと幸せだったのではと。幸せという概念さえなければ苦しまずにすんだのにな、と。

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