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【ネタバレ考察】映画「林檎とポラロイド」の張り巡らされたラストへの伏線を徹底解説

2022 9/24
レビュー・考察 80点以上
2022年9月24日 2022年9月24日

「林檎とポラロイド」は2022年公開のギリシャ映画。記憶喪失がパンデミック化した世界で生きる人々の姿を、悲壮感を漂わせながらも、どこか俯瞰的に描いていく。

ある日、突然記憶を失った男が覚えていたのはリンゴが好きなことだけ。戻らない記憶。待てど暮らせど知人は誰も来ず、やがて男は新たなる生活をすすめられる。

病院から住む場所も生活費をもらい、毎日指示された行動を繰り返す。その日の最後にポラロイドカメラで撮影し、思い出を残していく。話が進むに連れて、次第に彼の行動にモヤっとしたものが残りはじめる。彼は記憶が戻るのか、ラストに待ち受けるのは希望か絶望か。

「林檎とポラロイド」はパンデミックの話でもなければ、ミステリーでもない。記憶の死と肉体の死を対比しながらシニカルに描いた哲学的な人間ドラマだ。

雰囲気は「聖なる鹿殺し」にも似ている。登場人物の感情が分かりにくく、しかし何かを明確に主張している。

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この映画にはいろいろな考察の余地が残されている。男はなぜ記憶が断片的に残っているのか。中盤に登場するとある不可解な行動にはなんの意味があるのか?

ラストで本当の意味を知ると驚くべき事実に驚愕し、切なくなる映画だ。

「林檎とポラロイド」で起きていた真実を考察を交えながら説明していく。

「林檎とポラロイド」

おすすめ度
86点

2022.3.11

90分

ヒューマンドラマ

クリストス・ニク

アリス・セルヴェタリス

Amazonで探す
記憶喪失がパンデミック化した世界
見どころ
  • なぜ男の記憶は断片的に残っているか
  • 不可解な行動の理由とは
  • 二重三重に張り巡らされた伏線がラストに繋がる
テーマ
芸術
エンタメ
雰囲気
暗
明

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目次

映画「林檎とポラロイド」キャスト

登場人物キャスト
アリスアリス・セルベタリス
アナソフィア・ゲオルゴバシリ

映画「林檎とポラロイド」あらすじ

「お名前は?」「覚えていません」──。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。治療のための回復プログラム“新しい自分”に男は参加することに。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る、バーで女を誘う…──そして新たな経験をポラロイドに記録する。ある日、男は、同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、仲良くなっていく。毎日のミッションをこなし「新しい日常」にも慣れてきた頃、買い物中に住まいを尋ねられた男は、以前住んでいた番地をふと口にする…。記憶はどこにいったのか? 新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく。突然記憶を失った男。おかしなミッションを通して、新しい世界に溶け込んでいく様は、まるで不思議の国のアリスのよう。寡黙で物憂げな表情、どこか滑稽で真面目なふるまい、明かされていく過去──。観る者の心をつかむ緻密でオリジナリティあふれる物語は、近未来的な設定ながら、人肌のような温もりに満ちている。哀愁とユーモアを絶妙なバランスでブレンドした新たなる傑作が誕生した!

filmarks

映画「林檎とポラロイド」ネタバレ考察・解説 

なぜ病院は不可解な指示をするのか

(C)Boo Productions and Lava Films (C) Bartosz Swiniarski

映画の世界観は、記憶喪失がパンデミック化した時代の出来事を描いている。それが当たり前の日常になるほどに生活にパンデミックが溶け込んでいる。

誰かが突然記憶をなくす。何かの兆候があるわけでもなく、どこにいても急に発症する。誰かが記憶喪失だとわかると、気づいた誰かはうろたえることなく救急車を呼ぶ。

誰もパニックを起こすことなく、なぜか世界は平穏に流れている。少なくとも映画の中では。

発症したら最後、記憶が戻った事例はないらしい。出かけている途中に記憶喪失になり、身元を証明するものがなければ病院に預けられるが、探すあてがないので身内が探しに来るのを待つばかりだ。

しかし、認知症のように、自分自身が何歳なのかもわからなくなるわけではないため、日常生活は送れる。

そこで考えられたシステムが「新しい日常」を生きることだ。

それは病院から提示されたもので、自転車に乗ったり、映画を見たり、バーで一夜を共にする誰かを探してみたりといろいろな経験をすることを求められる。そうして最後にポラロイドで写真を撮り、思い出に残していくのだ。

具体的な理由までは伝えられていないが、様々な経験を産むことで、彼らの奥底にある記憶を取り戻そうというのが、このプログラムの目的である。

そしてこのプログラムは個人に合わせたトレーニングではなく、不特定多数向けの共通のプログラムだ。その証拠に、主人公のアランが映画館で会った女性と同じ行動を辿らせている。車で事故を起こし、バーでワンナイトラブを楽しませる。

ちなみに映画の中で記憶喪失の原因は明らかになることはない。

そして病院側が患者に働きかけているプログラムの具体的な理由も明らかにならないし、記憶を呼び起こす以外の目的も不明だ。少なくとも生活費を保障しているので、何らかの利益があるはずだがそれは今回の主題ではない。

この映画は世界の謎を明らかにすることが目的ではない。この映画の肝は冒頭で言ったように哲学的なヒューマンドラマである。

ラストで男の記憶はなぜ戻ったのか?

(C)Boo Productions and Lava Films (C) Bartosz Swiniarski

「林檎とポラロイド」のラスト。主人公のアランはお墓参りをした後、記憶がなくなる前に住んでいた家に戻る。出かける前にそのままにされたモノを片付け、女性物の衣服をクローゼットにしまう。そして傷んだリンゴを食べて映画はエンドロール。

なぜ彼は記憶が戻っているのか?が最大の疑問として残っただろう。

大前提として、この映画は、なぜ人が突然記憶喪失に陥ったかを明らかにするミステリーではない。監督の狙いは全然別のところにあるということを知っておきたい。

この世界は異常だが、現実世界でも起こりうることを描いている。監督は、大事な人を失った人間が、世界で生きることの苦しみから逃れるために記憶喪失になれる世界を作ったのだ。

実はアランは、最初から記憶などなくなっていない。

新しい日常を手に入れる行動の途中から記憶を取り戻したのではない。彼は自ら望んで記憶喪失者を演じ、このおかしなプログラムに参加しているのだ。

最初から記憶があったとされる伏線は、至るところに敷かれている。

記憶喪失でなかったと推察されるシーン
  • 店の主人に聞かれて答えた住所は前に住んでいた家だった
  • 近所の家が飼っていた犬の名前を覚えていた
  • しかし、飼い主からは避けるように行動した
  • クリスマスソングを忘れるほどの認知症なのにドライブ中に流れた歌を口ずさんでいた
  • りんごは記憶力に良いと言われてオレンジを食べるようになった。

記憶喪失の中にも本能的に覚えていることがある。記憶を失っても自転車の乗り方を忘れることがないように、元の家の住所を覚えていた可能性はある。

しかし、この後に近所の犬の名を呼んでいる。100歩譲って、本能的に犬の名前を呼んだとしても、犬の主人に気づかれないようにエサを遠くに投げるという行動は明らかに恣意的である。

また、認知テストでは誰でも知っているようなクリスマスソングは間違えたのに、女性とのドライブ中には何かの思い出となりそうな歌を口ずさんでいた。この世界では、思い出こそ消えてしまっているのだ。

アランの行動には明らかな矛盾が見え隠れしているのだ。

この映画のタイトルにもある林檎を食べずにオレンジを食べ始めたのも、記憶喪失者は食べないとと聞いたからだ。

それらが指し示しているのは、アリスは最初から記憶喪失になっていないという事実なのである。

アリスは記憶喪失者を装った目的とは?

(C)Boo Productions and Lava Films (C) Bartosz Swiniarski

彼は記憶喪失プログラムの中で、新しい生活を手に入れる必要があったのだ。なぜなら最愛の人を失ったという現実に耐えられなくなっていたからである。

こちらもいくつかのシーンで彼に連れそったひとがいたことを暗示している。

アリスの過去に触れるシーン
  • 恋愛映画を見て物思いにふけっていた
  • 女性に誘われたがその後の進展はなかった
  • 看取っていた老人が、「妻は記憶喪失になったから見舞いに来ない」と聞いたとき、その方がいいと話した
  • アナという女性のお墓参りをしていた
  • 老人に結婚していたと伝えた
  • 自分の家に戻ると女性の服があった

以上のことから、彼は最愛の人がいたが死別していると考えられる。

失ったという事実を受け入れられず、記憶喪失を装ったのである。新たな生活を手に入れることで自分自身も新たな自分に生まれ変われると願ったのかもしれない。

アランは記憶を失うことが怖いのではない。失ったという記憶があることに絶望しているのだ。

「林檎とポラロイド」は、最愛の人を失うという人間の普遍的な経験を描いた映画である。

記憶を失うことが怖いのか。記憶が残ることが怖いのか。と言う問いかけをするために、記憶喪失がパンデミックとなった世界を作り上げたのだ。

アランは記憶を失っておらず、大切な人を失った悲しみから現実逃避をしようとしていた。というのが、この映画から見てとれる真相だ。

映画館で出会った女性は誰なのか?

(C)Boo Productions and Lava Films (C) Bartosz Swiniarski

しかし、ここからさらにもう1段階上の仮説がある。先の考察ではしっくりはくるものの、まだ消化不良な気がしないだろうか。

そう、映画館で出会った女性の存在だ。

もう一つの仮説は、映画館で出会った女性こそがアリスの妻だということだ。

映画館で出会ったあと、しばらく2人は一緒に行動する。雰囲気はどことなくお互い波長が合っているように見えた。しかし、バーで女性がアリスを誘ってから、関係性がギクシャクしてしまう。

最初は、好意があったのかは分からないが、友達として見ていた女性がバーでワンナイトを楽しもうとすることにショックを受けたのかと思っていた。もしくは妻に対してまだ未練があり、とてもそんな気になれないのかと。

しかし、そうではない。実はアリスは記憶喪失者を装って、いなくなった妻を探しに来たのだ。

まだ生きていることを信じており、映画館で再会を果たす。出会った妻にもう一度出会えば、記憶を取り戻してくれると期待していた。

しかし、妻は記憶を取り戻すことはなかった。バーでの行動は、全て病院からの指示だったこともアリスを傷つける結果となった。

これらを裏付ける証拠となる鍵が名前にある。映画の中ではこの女性の名前を呼ぶシーンは最後までない。しかし、映画のエンドクレジットを見るとその女性の役名に「アナ」と表示されているのだ。

どこかで見かけなかっただろうか。そう、アリスがお墓参りをしていた墓の名前と偶然にも一致している。

どれだけ顔が同じでも記憶を共有していないのであれば別人だ。やはり妻は死んだのだと再確認し、お墓参りを行い、自分の家に戻って妻の服を片づける。

好きなリンゴを控えることもやめたのは、ついにアリスが妻の死を受け入れたからに他ならない。

そう考えるとほとんど全てのことに辻褄があってくる。バーでの一件以来、アナを拒否した理由も、新しい生活をやめて家に戻った理由も納得がいく。

映画館でようやく出会えたのであれば、リアクションが薄すぎるのではないかという疑問はあるのだが、そもそもアリスはリアクションが薄く、感情が表に出ないタイプだ。

出会えたときに見つめていた表情にさまざまな感情が隠れていたとも考えられる。

「林檎とポラロイド」は、記憶喪失によるパンデミックを描いた問題ではなく、思い出の死は、肉体の死に等しいことを描いた哲学的な映画である。

英語のレビューサイトでは、さらにここからもう一つの仮説も提示している。

それは二つの仮説と相反する説になるわけだが、アリスが記憶喪失になったのは本当で、アナと会っていた時も、妻だという認識がなかったのでは?というものだ。

アナと疎遠になったのは、単にワンナイトを求められたことで気まずくなったことが理由。しかし、だんだんと記憶を取り戻し、自宅に戻ったが、アナのこと自体を覚えていないので、接している間は妻のことだと気づかないままだ。

しかし、この仮説は正しくないものと思われる。記憶喪失の前提条件として、まだ完治したものがいないからだ。アリスだけなんの脈絡もなく思い出すのは話の筋からいって無理がある。

以上のことから、アランは記憶喪失者をよそおって妻と出会ったが、妻の記憶は戻らないことを悟り、その事実を受け入れたのが正解だろう。

二重三重に張り巡らされた伏線が楽しめる映画であった。

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レビュー・考察 80点以上
2020年代 2022年 ギリシャ クリストス・ニク ヒューマンドラマ 洋画

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