「窮鼠はチーズの夢を見る」は2020年の映画。「世界の中心で愛を叫ぶ」の行定勲監督作品。女性に求められることに応えてばかりいた流され男が、大学の後輩と出会い少しづつ変わっていく。
BL系の話だけれど、あんまり男とか女とかが重要なわけではなく、1人の人間として好きな人にどう向き合うのかっていう話。
男が好きとか女が好きとかじゃない。
あなたが好きなんだ。
BLに興味なくても一度観てみるといい良作。
68点
「窮鼠はチーズの夢を見る」映画情報
タイトル | 窮鼠はチーズの夢を見る |
公開年 | 2020.9.11 |
上映時間 | 130分 |
ジャンル | 恋愛 |
監督 | 行定勲 |
「窮鼠はチーズの夢を見る」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
大伴恭一 | 大倉忠義 |
今ヶ瀬渉 | 成田凌 |
岡村たまき | 吉田詩織 |
夏生 | さとうほなみ |
大伴知佳子 | 咲紀みゆ |
井手瑠璃子 | 小原徳子 |
「窮鼠はチーズの夢を見る」あらすじ
7 年ぶりの再会 突然の告白 運命の歯車が動き出す― 学生時代から「自分を好きになってくれる女性」と受け身の恋愛ばかりを繰り返してきた、大伴恭一。 ある日、大学の後輩・今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会。「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられる。戸惑いを隠せない恭一だったが、今ヶ瀬のペースに乗せられ、ふたりは一緒に暮らすことに。 ただひたすらにまっすぐな今ヶ瀬に、恭一も少しずつ心を開いていき・・…
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「窮鼠はチーズの夢を見る」ネタバレ感想・解説
大倉忠義 流されて生きてきた男
大伴は、基本的に顔が良くて余裕があって、女性に対してガツガツもしていない。ちょうどいい距離感とっていて、求められれば付き合ったりするし、きちんと好意を持つ。
だから、とにかくモテる。男からしたらめちゃくちゃうらやましいヤツなんだけれど、まぁモテるよねって認めざるを得ない対応をしている。
余裕があるからこその対応に惹かれる要素があるわけだ。
ただやっぱりバランスって大事で、常に情熱さに欠けるところがあるし、情で動くから不倫もしてしまう男。
成田凌 求めすぎて不安が強い男
今々瀬は、そんな大伴に大学生の頃から惹かれていて、不倫の現場を抑えたことをきっかけに、大伴にら関係性を求めるようになる。
で、7年越しの恋を実らせようってところに、ある問題が生じ始める。
嫉妬だ。
でも今々瀬に限らず、大伴ような情熱さにかける人といると誰しもがそうなるのかもしれない。好きの度合いのバランスの悪さに、相手が何をしているかを気にせずにはいられず、人のスマホをチェックする。
そんな経験をされた人もいるかもしれないし、した人もいるかもしれない。人のスマホを見たり、素行調査を依頼はしてなくても、不安が大き過ぎて幸せをうまく享受できなかった経験はないだろうか。
一緒にいない時に相手のことが気になりすぎて、必要以上に連絡したり、連絡を待ち続けたりしてしまう。
だいだい、こういうのが起こるのって相手に対してなにかしら劣等感などを持っているときだ。
もともとその気のなかった大伴が、今は好意を寄せてくれると分かったとしても、その生きづらさからすぐに離れてしまうのではないか、大伴の流されやすい性格が不安を増幅させていた。
吉田志織 あざと女子
そんな今々瀬の余裕をぶち壊すかのようにあざと女子の岡村たまきが入り込んでくる。
男から見て魅力的に感じる典型的な女性だ。あざといと言われると不自然な装いに聞こえるけど、リクエストに一生懸命に応えようとしてくれたり、お菓子とか手書きメッセージを置いたり、ここぞとばかりにか弱い女性を発揮して守りたい女性を出してきたり、そりゃ男の隙間に入り込むよってこと。
大きめスウェット、下素足とか見せつけられたらもうたまらないよね。
で、それでいてパパ好きという要素を、見せられたらまぁ、グッと揺らぐよね。
だからこれは、男だから女性に対して嫉妬しているわけでなく、今々瀬がもちあわせていない要素を岡村たまきが持っているからなんだ。
BLというより、たまたま好きな人が男だった
そう、別に男同士だろうと女同士だろうと関係ない。たまたま好きになったのが男だっただけってことだ。
その証拠に大伴はゲイの集まる場所を訪れるも、全くその気にはならなかったし、おそらくあれは不快感さえあったのだと思う。だからこそ大伴は涙を流して謝ったのだ。
男が好きなわけではない。今々瀬に惹かれたのだということを再確認する。
だからこそ流されて生きてきた大伴が、今々瀬に対しては誠実な対応をしたし、求められても別れを告げようとした。今まで受け身できた大伴を大きく変えたのが今々瀬だった。
最近、LBGTという言葉を良く耳にするけれど、この言葉が強くなってくると変な対立を生みかねないなと感じる。
この映画は、LGBTへの理解をテーマ性をぶら下げているわけではない。
もっと単純で、誰かを好きになるという好意に性別なんて関係なくて、よくある恋愛映画として変な偏りなく見られる映画なのだ。
映画の良いところは、自分の知らないことを知ることかできることだ。無知なことに人は不安を覚え攻撃的になる。他人の価値観を理解することで、人と人とを繋げることができる。
私の周りにLGBTである人はいない(もしくは知らない)けれど、LGBTという言葉を理解しようとするのはおかしい気がした。
そもそも好きな人の話をしているだけであって、何もたいして変わらないのだと知ることができる良作だった。
男友達と好きな女性の話をするのと同じように、好きな男性の話をすることも、そもそも自然なことなんだ。だって好きな人の話をしているだけなのだから。
窮鼠はチーズの夢を見るのベッドシーンは濃厚
映画内で登場するベッドシーンも見どころ。女性との絡みはあまりなくて、大倉忠義と成田凌の濃厚な絡みが2回ほど登場する。
最初は乗り気ではなかった大伴を責める側の今々瀬のシーンと、おそらく元々は受け身タイプの今々瀬が大伴に積極的に責められるシーンで攻守交代するのは好きな人にはたまらないだろう。
それ以外にもキスシーンが数回、口でのシーンが2回ほどある。
逆に、あざと女子の詩織とのシーンは全くない。
「窮鼠はチーズの夢を見る」を観たならこれもおすすめ
「劇場」は2020年にAmazonプライムで公開された行定勲監督映画。演劇の夢をもつ永田とそれを支える沙希の関係を描く。
キャラクターに嫌悪感を覚えると同時に自分にも向けられているようで苦しくもある。しかし愛おしくもある作品 松岡茉優はもちろんのこと、マンガではない人間を演じた山崎賢人の実力も評価されるべき映画。
「チワワちゃん」は成田凌と吉田志織が出演する映画。
こういう人はないだろうか。
グループの中心にいて、なにかの行動をするときにきっかけを作る人が。
こういう経験はないだろうか
永遠に続くような楽しい関係がもっと続けばいいと思っていたら、終わりの始まりだったことが。
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