「サマーフィルムにのって」は2021年に公開された映画。
元乃木坂46の伊藤万理華を主演に高校の映画部を舞台に繰り広げる青春群像劇。時代劇好きな主人公がラブコメばかり撮る映画部に対抗して時代劇映画を撮ろうと奮闘する話。
そこからSF、恋愛への展開をコメディ調で繰り広げるノリの良いストーリー。
期待しないで見に行ったら思いのほか熱量があって最高だった的な映画。「アルプススタンドのはしの方」という映画があったけれど、それにちょっと似ている感じ。
「2時間の映画は長い」と言われたり、ファスト映画問題など、娯楽としての映画の移り変わりにも言及していて、エンタメ的にも社会問題的にも楽しめる作品になっている。
一方で、評判が高すぎて期待値を上げすぎてしまうと、劇団要素が強めの演出に少し肩透かしを食らうかもしれない。
低予算で高クオリティコンテンツとして楽しむのが吉。
「サマーフィルムにのって」
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「サマーフィルムにのって」映画情報
タイトル | サマーフィルムにのって |
公開年 | 2021.8.6 |
上映時間 | 97分 |
ジャンル | 青春 |
監督 | 松本壮史 |
映画「サマーフィルムにのって」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ハダシ | 伊藤万里華 |
凛太郎 | 金子大地 |
ビート板 | 河合優実 |
ブルーハワイ | 祷キララ |
映画「サマーフィルムにのって」あらすじ
勝新を敬愛する高校3年生のハダシ。キラキラ恋愛映画ばかりの映画部では、撮りたい時代劇を作れずにくすぶっていた。そんなある日、彼女の前に現れたのは武士役にぴったりな凛太郎。すぐさま個性豊かな仲間を集め出したハダシは、文化祭でのゲリラ上映を目指すことに。青春全てをかけた映画作りの中で、ハダシは凛太郎へほのかな恋心を抱き始めるが、彼には未来からやってきたタイムトラベラーだという秘密があった――。
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映画「サマーフィルムにのって」ネタバレ感想・解説
あらすじ
(C)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会
主人公のハダシは、映画部所属。キラキラした恋愛映画ばかり撮っている映画部に、時代劇好きのハダシにとっては不満が募っていた。
そんなある日、自分で作った時代劇の脚本にピッタリの主人公・凛太郎を見つけたことで、自分の映画を撮ろうとみんなを巻き込んでいく青春映画だ。
しかし、凛太郎は未来から来たタイムトラベラーという設定で急なSF感を出していくことになる。
どれだけ先の未来なのかは明確に示していないけれど、未来では映画なんてものは廃れていて映画館なんてものは存在しなくなっている。
物語は5秒。1分は長編映画と言われる未来では、他人の物語に自分の時間を割く余裕はない。
最近のショート動画、ファスト映画に対する皮肉がたっぷりつまっているし、とにかく時間に厳しい現代人を究極に突き詰めたのが未来の姿である。
「未来じゃ誰も他人の物語に使う時間なんかない」
大量のエンタメが入り込む時代、現代人が使える可処分時間は決まっていて、相対的に長尺の映画は人気が下がっている。
そんな時代を皮肉たっぷりに、自虐も踏まえて笑える作品にしたのが「サマーフィルムにのって」である。
誰も傷つけない映画
(C)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会
モノクロの時代劇が良いとか、往年の名作こそ正義という尖りがありつつも映画存続の未来が危ぶまれると知ると、映画好き同士の中でケンカしている場合じゃないと焦りはじめる。
エンタメとしての映画だろうが芸術をつきつめていようが映画を作り出しているクリエイターという共通点がある。相入れない2つの思想が協力して良い映画を生み出そうとする様も見ていて気持ちが良い。
という感じなので、ストーリーのテイストもそうだし、映画自体も誰も傷つけない構成になっている。
映画ファンのコアな部分を入れつつもキュンキュンする恋愛要素も盛り込む。SF的な未来要素に青春エネルギーを入れていて「時をかける少女」を明確にリスペクトもしている。
時代劇のエッセンスには殺陣も披露。ラストシーンでは、ハダシはいつそんな演技指導を受けたんだよと言いたくなるぐらいに完成度も高いものを披露する。
時代劇だろうがラブストーリーだろうが、表情と仕草だけで感情を伝えようが、はっきりと口に出して思ってることを叫ぼうが物語は物語だ。
時代劇の映画を見てたらクライマックスで止められて、リアルタイムに再現されるのかと思いきや、ただのイチャラブが始まる少女マンガのような流れにすっかり変わるのもいい。
そこにいた観客は完全に置いてけぼりになっただろうし、急な告白とか見させられてもドン引きかもしれないけど、そういう痛々しさも含めて「アオハル」ってやつなんだ!を昔の時代劇が好きでアオハル嫌いっていう尖った主人公がやるからステキなんだ。
「サマーフィルムにのって」はまるで演劇を見ているかのようだった。脚本家が演劇では有名な三浦直之。劇団ロロを主催している演出家でもあるからだ。
エンタメ映画の枠に入るものの、音楽を使って盛り上げていくパターンではない。口コミで見に来た人の中には肩透かし感があるかもしれないが、青春ラブコメ映画として楽しめるのでおすすめだ。
それぞれのあだ名
(C)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会
「サマーフィルムにのって」では主人公のハダシをはじめ、ビート板やブルーハワイなど数々のあだ名が登場する。
しかし、ハダシは本名らしい。
「ハダシは本名です。前を向いて、裸足で駆け抜けていような性格です」「ビート板は運動が苦手で、小学校のプールの授業にビート板を持参していたから、ビート板というあだ名がついたそうです」「かき氷を食べるとき、いつもブルーハワイのシロップをかけるのと、クリームソーダを間違えてブルーハワイと呼ぶクセがあって、ふたりからバカにされるうちについたあだ名です」
引用:anemo
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