「パームスプリングス」は2021年の映画。ゴールデングローブ賞にノミネートされ、一気に話題となった本作。
タイムループxコメディx恋愛というありそうでなかった組み合わせで、エンタメ力抜群の映画だ。
映画賞を受賞するような映画は社会問題の提起だったり、世の中の流れを表したものが多い気がするけれど、特にそんな強いメッセージもなく、ただただおもしくて、ちょっといい話の映画だった。
ではなぜ評価されたのか。しっかりとした話の作りの割に感じる違和感。不思議なシーンの数々。
コメディだからなんでもありにしたわけではなく、実は全てのことには意味がある。
今回は、いくつかの英語サイトを漁って調べた結果を紹介する。
70点
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「パーム・スプリングス」映画情報
タイトル | パーム・スプリングス |
公開年 | 2021.4.9 |
上映時間 | 90分 |
ジャンル | コメディ |
監督 | マックス・バーバコウ |
映画「パーム・スプリングス」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ナイルズ | アンディ・サムバーグ |
サラ | クリスティン・ミリオティ |
ロイ | J・K・シモンズ |
タラ | カメラ・メンデス |
エイブ | タイラー・ホークリン |
映画「パーム・スプリングス」あらすじ
カリフォルニアの砂漠リゾート地パーム・スプリングスで妹の結婚式で幸せムードに馴染めずにいたサラは、一見お調子者だが全てを見通したようなナイルズに興味を抱く。いい雰囲気になるふたりだが、謎の老人が突如ナイルズを襲撃に!負傷したナイルズは近くの奇妙な洞窟へ逃げ込んでいく。ナイルズの制止も聞かずサラも洞窟に入ってしまい、一度眠りに落ちると結婚式の日の朝にリセットされる“タイムループ”に閉じ込められてしまった!しかもナイルズはすでにループにハマっていて、数え切れないほど同じ日を繰り返しているという。2人で過ごす無限の今日は最高に楽しいものに思えたが、明日がこない日々は2人に本当に大切なものを気づかせていく。果たしてふたりは、永遠に続く時間の迷宮から抜け出し、未来を掴むことができるのか!?
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映画「パーム・スプリングス」ネタバレ感想・解説
「パーム・スプリングス」は、単純だけど話の構成はきちんとしている。
王道のロマンチックコメディ的に笑いもあり、ほっこりもする微笑ましいエンタメムービーだ。
王道的にループを楽しむシーンを見せつつも、ナイルズは何度もループを繰り返しているところから物語が始まったりする。
古典的なおもしろさを出しつつも、ちょっとしたひねりがあるところがまた飽きさせない。
この映画を単純なコメディとして終わらせても十分面白い。
しかし、いくつかの点で不思議な点が存在する。
それをちょっと深く掘り下げてみると面白い事実がわかる。
ロイは1人取り残されたのか?
ストーリーはナイルズとサラだけが爆破してループする世界線から脱出する。しかし、ロイは取り残されたままだ。
アメリカ映画には珍しいけれど、エンディングクレジットの途中でとあるシーンが挿入される。だからすぐに席を立ってしまわないようにしないといけない。
ロイはサラからメールで聞いたアイデアの真偽を確かめるため、ナイルズに会いにくる。
そこで気づくのだ。ナイルズが自分のことを全く知らない赤の他人になったと。
ロイもこの世界を楽しむことで、ある意味脱出することをギブアップをした1人だけれど、この後準備をして世界線を突破したのだと信じたい。
ナナはタイムループのことを知っていた?
結婚式に登場するサラの祖母であるナナ。サラが脱出を決意した日にある言葉を発する。
「あなたはもうすぐうまくいくわ」と。
この曖昧だけど何か含みを持たせるような言い回しは、ナナが何かを知っていることを示唆している。
また、サラがタイムループの世界に入る前にナイルズのスピーチを誉めている。今までで聞いた中で一番良いスピーチだったと。
これはナナが過去に出席した結婚式とも捉えらえるけど、そうではなくナイルズのスピーチだけのことを指している可能性がある。
ナイルズはサラに近づくために何度もループした結果、スピーチがフラグの1つだとわかった。
サラとは何度も関係を持ったと後に告白しているのでこのフラグを立てるために何度もスピーチをしているはずだ。
もしかすると彼女もまたタイムループの世界にいて、徐々に上手くなっていく彼のスピーチを聞いているのかもしれない。
ヤギはなぜ消えたのか?
サラはループを出る決意をしたあと何をしたかと言うと、ひたすら毎日勉強する方法をとった。
どうせリセットされるからと意味のない毎日を過ごす選択をしなかった。
サラは、タイムループの持つ記憶をそのまま持ち越すことができる特性を活かして脱出する方法をひたすら研究したのだ。
何年かかったのか分からないけれど、量子力学の類の領域において、教授にすら教えることはもうないと言わしめるほどになった。
そこで利用したのがヤギだ。砂漠の中にいたヤギを使って自分の理論を証明しようとしたのだ。
その日その場所に出現するヤギを一度タイムループの中の世界に取り込み、それから爆破する。
するとヤギはその世界から消えることが実証された。つまり、同じように洞窟の中で爆破すれば別世界に飛んでいけるのだと。
ナイルズとサラは本当に元の世界に戻ったのか?
前述の通り、サラはヤギを爆破させるとヤギがこの世界からいなくなったとナイルズに話している。
この世をマルチユニバースとするのであれば別世界に行ったのだと。
じゃあなぜ、ロイはナイルズに会えたのだろうか。
サラの話では別世界に行った彼らはタイムループの中の世界には存在しなくなるはずである。
だが彼はいた。記憶だけをなくした状態で。
これについては監督と脚本家が対談しているけれど、ヤギがいないこととナイルズの記憶がリセットされたことは矛盾していてその答えに関しては明示していない。
クリストファーノーランの「インセプション」のように曖昧で視聴者に委ねられている。
恐竜はなぜ出現したのか?
ちょっとモヤモヤするのだけれど、あるモノの存在により、彼らが本当はどうなったのかを推測できる。
それは、ナイルズとサラが2人で砂漠デートを楽しんでいる最中、恐竜が出現するシーンだ。
この恐竜はループを抜け出した後の世界のエンドクレジットの直前にも登場する。
つまり、ループしていた世界線と現実に戻ったはずの世界線の両方に恐竜は現れているということだ。
ドラッグをやっていて幻覚を見ていたという説もあるのだけれど、エンドクレジットの時に出現したことには説明がつかない。
はっきりとした答えはないけれど、ただ、恐竜がループする世界線と密接に関わっていて、このことはナイルズとサラがループする世界を抜け出して新しい世界線に突入した可能性を示唆している。
以上、単純なコメディとして見ても面白いけれど、なぜアカデミー賞としてノミネートされたかというと、こういった仕掛けが隠されているからだ。
何度でも楽しめる味わい深い新感覚なロマンチックコメディを堪能してほしい。
コメント
コメント一覧 (2件)
ノミネートされたのはアカデミー賞ではなくゴールデングローブ賞ですね
ご指摘ありがとうございます。確かにそうですね。何か勘違いをしていたみたいです。
修正しました。