「まともじゃないのは君も一緒」は2021年の映画。
顔もスタイルもいいのに数学にしか興味がない塾講師の成田凌と世の中に憂いている意識高い系の女子高生、清原果耶による青春恋愛コメディ。
成田凌がツボに入った時の笑い方や、清原果耶のイライラツッコミなんかは天才的で、漫才のようなテンポの良い掛け合いがまた秀逸。
2人の間も絶妙に息があってた。
そんでもってその話芸はところどころかなり長回しで、もはや漫才。この2人の凄さを改めて知ることができる映画だった。
まともじゃないのは君も一緒
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「まともじゃないのは君も一緒」映画情報
タイトル | まともじゃないのは君も一緒 |
公開年 | 2021.3.19 |
上映時間 | 98分 |
ジャンル | コメディ |
監督 | 前田弘二 |
映画「まともじゃないのは君も一緒」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
大野 | 成田凌 |
秋本 | 清原果耶 |
君島 | 山谷花純 |
柳 | 倉悠貴 |
美奈子 | 泉里香 |
宮本 | 小泉孝太郎 |
映画「まともじゃないのは君も一緒」あらすじ
予備校講師・大野は、独身・彼女なし。ずっと 1 人で大好きな数学の世界で生きてきた。今の生活に不満はないが、このままずっと 1 人なのかと不安になることもある。自分だって普通に結婚したい。ただ、普通が何かわからない。女の子とデートをしてもなんだかピントがずれているような空気は感じているが、どうしていいのかはわからない大野。教え子の香住はそんな大野を”普通じゃない”と指摘してくれる唯一の相手。大野は香住に「どうしたら普通になれる?普通を教えてほしい。」と頼み込むのだが・・・。
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映画「まともじゃないのは君も一緒」ネタバレ感想・解説
成田凌の恋愛を助けていたら好きになっちゃった話
2人は塾の講師と生徒の関係。
顔もスタイルもいい成田凌だったが、その言動や挙動が少し変わっていてちょっと普通じゃない。
普通だと言う清原果耶の方もまたキャラ立ちが良い。
SNSで多くの大人と繋がりができやすいからなのか、たまにいる意識高い系女子高生。
「新しい生き方」とか「詰め込み型教育の弊害」とか、変化を求める若者には口当たりの甘い言葉に憧れている。
すごい、そうなりたいと叫びつつも具体的な話は何も出てこずに中身はない。
誰かの陰口を叩いているだけの同世代を見下すことで優位性を保とうとするも、自身もまたその子たちの悪口を言う普通の女子高生。
文字だけ並べ立てると相当嫌味ったらしい言い方になってしまうけど、その上昇志向をうまいことまるめこんでいくのが、塾講師の大野。
数学講師らしくロジカルに、そして嫌味なく問い返すことで、彼女自身の薄っぺらさをあらわにする。
彼女自身が誰かに憧れているだけで、まだ自分の意見を持たない稚拙な若者だということをなんの嫌味もなく思い知らせていく。
本質を見抜かれてイライラする秋本は、普通じゃない先生をバカにしているようでいて、手のひらでコロコロ踊らされているのが最高にかわいいのだ。
清原果耶の露骨な顔芸もまたたまらない。
普通じゃない成田凌に恋愛を語るわりに自身もまた未経験であるところが、上下関係があるようで全くないフラットな関係を作っている。
そんな成田凌が結婚するために普通になりたいと生徒に教えを請うところから話が展開していく。
成田凌は清原果耶の掛け合いが絶妙
秋本の憧れる男が宮本という男。知育玩具を手掛け、何冊も本を出し、講演会をたびたび行うやり手の社長。
生き方をアップデートとか言って共感を得てSNSで目立ちそうな人物。
その憧れの宮本に婚約者がいることを知り、成田凌を普通にするという名目で2人の関係を壊そうと企む。
婚約者に自然に出会うために身分を偽って演技したりするところなんかマジで最高。
シャレたインテリアショップのセレブ女性に「食器屋のおばさん」と連呼する様はジワジワくるし、そんな作戦がうまくいかずに口論している様はやはり話のテンポと間が絶妙だ。
何回練習したのか、何回リテイクしたのかとも思いつつ、2人の自然体な演技で一発OKしたのかのようにも思えるほどに息がピッタリ。
ふいに笑いを堪えきれなくなる成田凌の演技と、振り回されてイライラする清原のツッコミ具合が楽しくて仕方がない。
自然体の演技をしているときと、まなみに出会っている時の不自然な演技の起伏もハッキリしている成田凌の演技にも安心感がある。
でも演技では清原も負けていない。
イライラが頂点に達した後に、成田凌が素で「君が必要だ」とぶち込み、一気にキュンとしてしまう瞬間の表情の移り変わりは清原果耶のこの映画における最高の見どころ。
そこからはちょっと見方が変わる。恋を認識してしまった秋本が恋のキューピッド係を引き受けることにいささか同情してしまうからだ。
あの意識高い系の生意気さが薄くなり、恋愛にウブな女子高生に戻ることで、切なくなってしまう。
「美奈子さんと話していると楽しくて仕方がない。他の人と話していても、何の意味があるかわからない」と悪意なくえぐってくる大野。
それでもなんだかんだ掛け合いは続くけど、「愛がなんだ」のように相手の気持ちを気にしない大野の言動にはハラハラしかない。
「まともじゃないのは君も一緒」ラスト
複雑な感情を抱きながらもキューピッド役を続け、大野と美奈子はなかなかうまくいきそうな場面まで差し掛かる。
いきなり宮本が清原に電話をかけて、ソッコーでホテルにヤリ目的で誘われたのをキッカケに、ホテルから出てくる瞬間を美奈子に見せつけ修羅場にすることに成功。
いつの間に電話番号知ったのか、そして事前の雰囲気作りもなく行為に入ろうとする宮本の傲慢さは今まで何人もの女性とコトに及んできたのかを容易に物語る。
そんな修羅場を見て愛想を尽かすかと思いきや、2人は結局別れることはないのだった。
一時の感情の爆発で、グッと大野に惹かれた美奈子だったが、冷静に、客観的に自分を判断すると調和をとれる方を選ぶのだった。
美奈子には「愛がなんだ」のテルコと同じ感情も入り混じっているのだなと思うと、彼女にもまた同情してしまうのだ。
社会を変えると言っておいて、身近な女性を幸せにもできない宮本に幻滅し、秋本も自身の若さに気づいて成長していく。
宮本は大野に好きだと伝えるも、友達以上恋人未満のあいまいなままで物語は終了する。
まぁでも、この掛け合いを見ていれば相性は抜群なのは間違いない。
映画のメッセージは調和と多様性
この映画の中で繰り返し出てくる普通。
「普通って大変だよ」と言うセリフが出てくるが、普通とは社会の中にうまく溶け込むことだ。
何かの基準があるわけでもないけど、なんとなくの空気感があって、そこから突出せずに誰の気分も害さないでいることだ。
それが楽な人もいれば、大野のようにそれが苦痛の人もいる。
普通は調和とも言えると、この映画では伝えている。
多くの決まりや関係性を守り、普通でいることはある時ではとても生きにくいと思うかもしれない。
若い芽は特に顕著に拒否反応を示す。
普通とは時に自分の意見を曲げて、調和を保つための選択を強いられるように見える。
好きだった人がヤリ目的で近づいてきたときでも、冷静でいようとした秋元のように。
しかし、そこに苦しみがあるならば、心の中で悲鳴があがっているならば、そこにはもう調和は保たれていないはずだ。
普通は悪いことではない。普通じゃないことも悪いことではない。
しかし、調和を乱すことは我慢してはならない。自分の意思を持ち、時には声をあげて変化をさせていかなければならないとこの映画は伝えている。
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