「ザ・スイッチ」は2021年に公開された映画。
「ハッピーデスデイ」のクリストファーランドンが手がけたホラーコメディ。
ハッピーデスデイが、タイムループとホラーを掛け合わせた映画なら、「ザ・スイッチ」は殺人鬼と女子高生が入れ替わる男女入れ替わりxホラー。
ランドン監督らしく、怖さもあり、感動もありのいい塩梅でライトに見られる映画だった。
64点
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「ザ・スイッチ」映画情報
タイトル | ザ・スイッチ |
公開年 | 2021.4.9 |
上映時間 | 101分 |
ジャンル | ホラー、コメディ |
監督 | クリストファー・ランドン |
映画「ザ・スイッチ」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
バーニー・ギャリス | ヴィンス・ヴォーン |
ミリー・ケスラー | キャスリン・ニュートン |
ポーラ・ケスラー | ケイティ・フィナーラン |
ナイラ | セレステ・オコナー |
ミスター・フレッチャー | アラン・クック |
ジョシュ | ミシャ・オシェロヴィッチ |
ブッカー | ユリア・シェルトン |
映画「ザ・スイッチ」あらすじ
女子高生のミリー(キャスリン・ニュートン)は、今日も憂鬱な一日をやり過ごそうとしていた。家では夫と死別した悲しみを紛らわすかのようにアルコールに溺れる母と、警察官の姉の板挟み。学校では、嫌がらせのターゲットにされ、我慢を強いられる日々。親友のナイラ、ジョシュと過ごす時間が、わずかな慰めだった。その日の夜、アメフトの応援後に無人のグランドで、母の迎えを待っていたミリーに、邪悪な影が忍び寄る。連続殺人鬼ブッチャー(ヴィンス・ヴォーン)が、鳴り響く雷鳴とともに短剣を突き刺したとき、異変が起こる。ふたりは入れ替わってしまったのだ。 24時間以内に入れ替わりを解除しなければ一生元の身体に戻れない状況の中、殺戮を企てるブッチャーからミリーは身体を取り戻すことはできるのか? 女子高生と連続殺人鬼がぶつかり合う、長い長い夜が幕を開けようとしていた……。
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映画「ザ・スイッチ」ネタバレ感想・解説
体のスイッチと言えば、だいたい若い男女で行われることが多い。わかりやすくちょっとエッチにできるし、恋愛に発展させやすいからだ。
だがこの映画は違う。1972年の映画で、母親と娘が入れ替わる「フリーキーフライデー」が元ネタで、同じように父親が他界した家族を描いている。
それをランドン監督は、母親ではなくまさかの殺人鬼とスイッチすると言う離れ業をやってのけたのだ。
ホラーと言いつつも、コメディ要素も備えているので、13日の金曜日のようなグロテスク注意の映像ばかりが流れるわけではない。
でもそれでもそれなりに気持ち悪い描写はあるので苦手な人は注意が必要だ。
父親が亡くなり、母親が酒に溺れて娘に依存しているミリーの家庭環境はそれなりに問題を抱えていて、ちょっとしんみり、そしてほっこりする話も描かれる。
「ハッピーデスデイ」と同じように思春期ティーンエイジャーの家族との関係からくる心の苦しみみたいな部分も入れつつ、「ザ・スイッチ」も楽しませてくれる。
殺人鬼と交代するので、殺人が発生するわけだけど、タイムループと違ってやり直しが効かないから、死んだ人は元に戻らない。
だからこの人たちなら死んでもいいでしょ?と言わんばかりに冒頭でミリーにとって嫌な人物を複数人登場させ、そのすべてを殺人鬼に断罪させる。
ラストでわかるが、どうやら体だけじゃなく感情の一部も共有されるようなので、彼らに対するミリーの憎悪が影響した可能性がある。
仮にこれで母親や友達が死んでいたら、めっちゃ怖い顔の男が女子高生のようにコミカルに動いたり、怖い顔のままキスしようとしたりする楽しいコメディのシーンが笑えなくなってしまう。
だから噛ませ犬キャラは大事だなと思いつつも、だからといってステレオタイプの嫌なやつだけ殺しちゃうのもちょっと気になるところ。
ミリーにベタベタすぎる敵を作るのも、数あるオマージュの1つの目的なのでそれ自身はうまく行っていたけれど、ミリーへの感情移入が薄くなったかなというのは、ちょっと残念ポイント。
「ハッピー・デス・デイ」は感情移入しすぎてラストは泣けてしまうぐらいだったから。
「ザ・スイッチ」の元ネタとなったオマージュ作品
もともとランドン監督は、B級映画的に楽しめる作品だ。
ホラー要素としては「13日の金曜日」はもちろん、「スクリーム」や「ハロウィン」など往年の名作をオマージュしていたりするところも楽しめる。
冒頭のティーンエイジャーが怖い話をして一斉に襲われる「スクリーム」をオマージュしていたり、
日付はもちろん「13日の金曜日」をバチバチに意識しているし、つけている仮面もジョンソンに近い。
ドアをぶち破ろうとするシーンは「シャイニング」を意識しつつも、うまくいかないオチをつけていたりとか。
そしてキャサリンが殺人鬼として襲いくるのは「ターミネーター2」から影響を受けている。
「ハロウィン」など有名な作品からなる、ホラーあるあるみたいなシーンをふんだんに活用していて、だからこそ2重で楽しめる映画だ。
ラストの死んで全てが終わったなと思ってホッとしていたら、実は生きていたのくだりとか、ホラー要素の矛盾を見事にコメディで消化するところがとても気持ちいい。
分かりやすくパロディにして笑いにする部分もあれば、ブラックジョーク的な面白さもあり、ホラー好きもコメディ好きも満足できる映画に仕上がっている。
心が入れ替わっているからって、自分の肉体が人を殺していることや、殺人鬼を木片でぶっ刺すところとか、今後ミリーはしっかりトラウマを抱えそうな部分もホラー映画とリアルの矛盾を巧みについている。
少しグロテスクさと下品さがなければお茶の間で楽しめるホラーコメディになるだろう。
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