「ビバリウム」は、2021年の映画。
新居を探すカップルが訪れた不動産屋が紹介したのは全く同じ家が並ぶ住宅街だった。家を見て回っていると、いつの間にか不動産屋がいない。帰ろうとしてもその住宅街から出られなくなってしまう。。というミステリー。
ミステリーだけれどスッキリとしたオチを期待してはいけない。グロシーンがあるわけでもないけれど、ただただ気持ち悪い映像を見せられているかのようだった。
謎が謎のまま終わったりするのだけれど、大体こういうのは冒頭にヒントがある。
今回は不気味なのに魅了してやまない映画「ビバリウム」の内容を解説する。
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「ビバリウム」映画情報
タイトル | ビバリウム |
公開年 | 2021.3.12 |
上映時間 | 97分 |
ジャンル | ミステリー |
監督 | ロルカン・フィネガン |
映画「ビバリウム」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ジェマ | イモージェン・ブーツ |
トム | ジェシー・アイゼンバーグ |
マーティン | ジョナサン・アリス |
少年 | セナン・ジェニングス |
青年 | エアンナ・ハードウィック |
映画「ビバリウム」あらすじ
ようこそ、夢のマイホームへ・・・ 新居を探すトム(アイゼンバーグ)とジェマ(プーツ)は、ふと足を踏み入れた不動産屋から、全く同じ家が並ぶ住宅地<Yonder>を紹介される。内見を終え帰ろうとすると、ついさっきまで案内していた不動産屋 が見当たらない。不安に思った二人は、帰路につこうと車を走らせるが、どこまでいっても景色は一向に変 わらない。二人はこの住宅地から抜け出せなくなってしまったのだ―― そこへ送られてきた一つの段ボール。中には誰の子かわからないうまれたばかりの赤ん坊。 果たして二人はこの住宅地から出ることができるのか―不動産屋の狙いはいったい何なのかー?
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映画「ビバリウム」ネタバレ感想・解説
ビバリウムのタイトルの意味
ビバリウムとは、「生き物の住む環境を再現した空間」のことをいう。
vivaとは生命のことで、多くは爬虫類などの生育環境のことを指している。
この映画では、全く同じ家が立ち並ぶ1つ1つがそのビバリウムに当たるというわけだ。
迷い込んだジェマとトムが1人の男の子を見つけるが、ビバリウムはその男の子の生育環境になっているのだ。
カッコウは仮親に育てられる
カッコウの話をご存知だろうか。以下のページに詳しく書いてあるが、カッコウは別の鳥の巣に卵を産み、仮親に育ててもらう変わった子育てをしているらしい。
しかもカッコウはかなり大きい鳥なのに、育ててもらう親はそれよりも小さいので、育ての親の本来の子供であるヒナとともにエサをもらっていると飢えて死んでしまう可能性が高い。
で、それでどうするかと言うと、産まれてすぐにカッコウのヒナは他の卵やヒナを地上に落として殺してしまうのだ。
生まれた瞬間から生死を分けたバトルが始まるというのだから衝撃である。
映画冒頭でヒナがヒナを落とすシーン、そして幼稚園児が見た落とされたであろうヒナが死んでいるシーン。これら残虐に見える行為はカッコウに仕業なのだ。
恐るべき生存本能に感嘆すらする。
ただ、人間に置き換えてみると不気味だし恐ろしいよねっていうのが「ビバリウム」の世界だ。
不気味な子どもがカッコウで、ジェマとトムを育ての親として。
人間に模すとより、その残酷さが伝わってくるではないか。
不動産屋の男によく似た子どもをビバリウムに放ち、食べ物などを用意して生育環境を整える。食事を与えることでぐんぐんと成長していく。
子どもには自分が生き抜くための術が備わっていて、食事を与えてもらうために用意されるまで叫び続けたり、声真似をして言葉を覚えてコミュニケーションを図る。ジェマの母性本能をくすぐりながら巧みに母親だと認めさせようとする。
ジェマは最後まで自分の子だと認めなかったけれど、育ち切った後は冷たく「どうでもいい」と言い放つ。
そして元いた不動産屋と交代し、次の子を育てるための親探しをして種を繋げていくのだ。
ビバリウムの子供の正体とは
ジェマが育てた男をツルハシで殴ったとき、地面の下に逃げながら潜った先には異次元空間が広がっていた。
この住宅街はジェマしかいないのではなく、次元の違うどこかにクリーチャーを育てる世界がたくさん広がっているのだ。
不動産屋のマーティンとビバリウムで育った子どもは同じクリーチャーで、育ての親を人間として利用している。
ちなみにトムは地面をひたすら掘り続けたけれど、これは自分が埋まるための墓を掘り続けている。
その証拠に掘った先には別の死体が既に埋まっていて、マーティンの子孫がそこで何人も育っていったことを示唆している。
カッコウの育ての親が本能的に餌を与え続けたり、自分の子を殺すことを何も止めようとしないのと同じように、トムは本能的に墓を掘り続ける。
そりゃそうだ。母親の母性本能さえくすぐれば男は必要ないのだから。
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