映画「サイトレス」は2021年の映画。
クーパー・カール監督が2017年に製作したショートフィルムを元に2020年に長編映画化。
ある日突然襲われて失明してしまった女性が、介護士に生活のサポートを頼るが何かがおかしいと気づき始め、、というスリラー映画。
目が見えない設定をうまく生かして90分程度でライトにドキドキを感じられるが、ちょっとパンチは弱かったのと、違和感が残る部分は残念だった。
いまいち理解できなかった人のためにストーリーを解説していく。
60点
「サイトレス」映画情報
タイトル | サイトレス |
公開年 | 2021.1.20 |
上映時間 | 89分 |
ジャンル | スリラー |
監督 | クーパー・カール |
「サイトレス」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
エレン | マデライン・ベッチ |
クレイトン | アレクサンダー・コック |
「サイトレス」あらすじ
ある日突然襲われ、失明してしまった女性バイオリニスト。世話係として男性介護士が派遣されてくるが、やがて彼女は何かがおかしいと疑念を抱くようになる。
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「サイトレス」ネタバレ感想・解説
映画「サイトレス」の話としてはこうだ。
まず犯人は介護士のクレイトン。で、エレンは監禁状態にあったというのが真相。
なぜエレンを監禁したかというと、過去のトラウマに起因している。
クレイトンの母親が死んだ後、クレイトンは父親に虐待されて、3年半もの間地下に閉じ込められていた。
その時に妹が聞かせてくれた音楽がエレンの演奏していた音楽で、母も好きな曲だったことから、彼女に興味を持つようになる。
クレイトンは自分がエレンに救われたように、エレンを救ってあげたいと思うようになる。
自らの手で目を失明させて絶望を味合わせた上で、自らの手で光を指してあげるべく行動するという狂気じみた計画を実行に移すのだった。
そして目の見えないことをいいことに、彼女の身の回りの登場人物になりきったのだ。
- エレンの目を失明させた犯人
- 病院で診察した医師
- 看護士
- 警察
- 弟(電話のみ)
- 救急隊員
- 隣人の夫
全てはクレイトンが変装した結果である。
つまり弟も友人も連絡がつかなかったのは、最初からクレイトンが仕組んでいたからだった。彼らが実際にどうなっていたかは明らかにされていないが、隔離さえしてしまえばわざわざ危害を及ぼす必要もないはずなので、おそらく無事だと考えられる。
妹は兄が犯罪を犯していることを知りながら、兄の不遇を知っていたために警察に通報もせず、エレンを助けることもしなかった。
エレンに対して「誰も信じるな(全部兄だから)」とヒントを残しながらも真相は語らなかった。
全てを知ったエレンは、自分を失明させる原因となった液体をクレイトンにも浴びせて失明させて逃げ切るのだった。
失明をうまく利用して、エレンが頭の中で見ているシーンを観客に映すことで、うまいこと騙したところがこの映画の面白さだ。
私たちが見ていたシーンは、エレンの頭の中を映しているだけで、現実ではなかったのだ。もしかするとクレイトンはもっと不細工な顔だったかもしれないし、洗練された家のインテリアはもっとダサかったのかもしれない。
そういうおもしろさはあるのに、少し雑というか気になってしまう点があったのはもったいなかった。
- クレイトンがエレンの音楽を聴いたのは何歳?
- 声色だけで騙し切ることができるのか?
- 硫酸?のような液体を一時的にでも口の中に含めるのか?
クレイトンとエレンの年齢差はそれほど離れているようには見えないのだけれど、ではクレイトンはいつエレンの音楽を聴いたのか?
エレンが幼少の頃からバイオリニストとして有名だったのか、クレイトンが青年の頃に閉じ込められたのか、よくわからず、年齢的にちょと合わない気がした。
また、声色だけで何人もの役を演じきったという設定はおもしろいのだけれど、それで本当に気づかないものなのかというのも気になる。
確かに失明して間もないので声だけで姿形が見抜けるかというと微妙な気もするし、弟の電話の声もオレオレ詐欺のように正常な状態でもないのでわからなくはない。
ただ少しだけ腑に落ちないなという印象は拭えなかった。
極めつけに、硫酸を口に含むってありえなくないか?
一気に皮膚がただれそうな気がするのだけど、医学に詳しいわけでもないのでわからない。
こういうちょっとした違和感や、もう少し上手く演出すれば衝撃の展開に持っていけた気もするのでちょっともったいなかったなと感じる映画だった。
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