「望み」は2020年公開の邦画。
冬休みに突如家に帰らなくなった高校生の息子。あくる日同じ学校の生徒が殺害される事件が起こる。自分の息子は加害者なのか、被害者なのか。
どちらも地獄なら果たしてどちらを「望む」のか。という話。
話のテーマとしてはとても興味深い映画だったし、堤真一、石田ゆり子、清原果耶と残された家族側の演技力たるや目を見張るものがあった。
ただ、それほど意外なオチがあるわけでもなく、わかりやすく観られるライトな映画になってしまっていたのは残念だった。
58点
損しないサブスク動画配信の選び方
映画を観る機会が多い方のために、損しないサブスクの選び方を教えます。
「望み」映画情報
タイトル | 望み |
公開年 | 2020.10.9 |
上映時間 | 108分 |
ジャンル | ミステリー |
監督 | 堤幸彦 |
映画「望み」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
石川一登 | 堤真一 |
貴代美 | 石田ゆり子 |
規士 | 岡田健史 |
雅 | 清原果耶 |
刑事 | 加藤雅也 |
記者 | 松田翔太 |
清美の母 | 市毛良枝 |
一登の仕事仲間 | 竜雷太 |
映画「望み」あらすじ
一級建築士の石川一登(いしかわかずと)とフリー校正者の妻・貴代美(きよみ)は、一登がデザインを手掛けた邸宅で、高校生の息子・規士(ただし)と中三の娘・雅(みやび)と共に幸せに暮らしていた。規士は怪我でサッカー部を辞めて以来遊び仲間が増え、無断外泊が多くなっていた。受験を控えた雅は、志望校合格を目指し、毎日塾通いに励んでいた。冬休みのある晩、規士は家を出たきり帰らず、連絡すら途絶えてしまう。翌日、一登と貴代美が警察に通報すべきか心配していると、同級生が殺害されたというニュースが流れる。警察の調べによると、規士が事件へ関与している可能性が高いという。行方不明者は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとももう一人の被害者なのか。
filmarks
映画「望み」ネタバレ感想・解説
映画「望み」の結末は普通
物語のあらすじはそれほど捻りがあるわけではない。だからミステリーとして意外な展開や、ギョッとする結末を期待していると肩透かしを喰らう。
話をまとめると、規士はわざと怪我をさせられたことでサッカーを続けられなくなってしまう。その絡みで高校生同士でいざこざがあって、殺人事件にまで発展してしまう。
規士も音信不通となり、加害者なのか被害者なのか分からないまま、家族は憔悴していく。
その間もマスコミや周りの者たちから犯人扱いされ続ける。
母親は例え加害者であっても生きて帰ることを望み、父親は自分の息子が犯人だと思うことができず無実であることを望む。
妹は加害者の家族にならないことを望む。
結果は、規士は被害者であった。
しかし、彼は罪を何1つ犯していなかった。
と言う話。
もったいなかったテンプレートの演出
この映画の流れからして、最初から加害者っていう線は薄そうな雰囲気がビシバシ出ていたので、そのままだなと言う気がしていた。
原作未読なのでよくわからないけれど、もう少しそれぞれのキャラクターの掘り下げ方があったのではないだろうか。
家族への感情移入がしづらく、客観的にしか観られないままどこか冷めた目線でしか観られなかった。
この究極の望みは考えただけでゾッとする内容のはずなのにだ。
堤幸彦監督はたくさんの映画やドラマを撮っていて、「TRICK」や「SPEC」など、数多くのドラマで演出を楽しませてもらえるものもあれば、なんだかルーチン作業のようなテンプレートに当てはめてしまうような映画もたくさんある。
例えば「十二人の死にたい子どもたち」では、思春期の闇とミステリー要素を掛け合わせた話だったけれど、ちょっとライトなミステリー映画に成り下がっていたりする。
それと同じで「望み」でもミステリー要素に家族の絆を混ぜ込んで安易に涙を狙いに行ったとしか思えない演出だった。
しかし、堤幸彦監督はテンプレ映画しか作らないかというとそうでもない。
「人魚の眠る家」は、同じように家族の物語だけれど、こちらは冒頭から狙った通りに泣かされたし、その後の不気味な展開もまさに小説のイメージ通りのような良い演出だったし、クライマックスのシーンはもはや映画から抜け出て現実を見せられているような空気感だった。
でも「望み」は違う。終始画面の向こう側で行われていて、こちらには響かない。
俳優の地力はうまいと思わせるのに、 なぜだろう。自分ごとに感じられないので心にまで響いてこないのだ。
それはやっぱりテンプレ感が伝わってきて、「望み」だからこその演出が一切感じられなかったからかもしれない。
だからこそ、規士は加害者でもなければ、まだちゃんと生きていて、なんか色々あったけど無事帰ってきてめでたしめでたし的な締めくくりだと思っていたので、ある意味期待は裏切られていた。
とは言え、単純に最初から最後まで楽しめる映画なのは間違いない。
2時間ドラマぐらいならちょうどいいし、ドラマだったなら少し冗長感が出てしまう可能性はあるけれど、各キャラクターの掘り下げもできたし、より感情移入ができたのではないだろうか。
テーマもいいし、役者もいい。
同じ原作者の「検察側の罪人」は、逆に攻めすぎていて原作から大きく逸脱しているけれど、映画ならではのおもしろさってあるわけだ。
これだけクオリティの高い素材を揃えたのであれば、テンプレ映画にしてほしくはなかったな。と言うのが正直な感想だ。
コメント