映画「シカゴ7裁判」は2020年の映画。
コロナの影響により、Netflixが公開間もなく配信開始した作品でもある。
1968年のベトナム戦争下のアメリカで起きた反戦運動による暴動。そこで起訴された7人に対して正義のない裁判が展開されていく様を描く。事実に基づく映画なので、事前に何があったのかは知っておいた方がいい。7人が誰なのか分からなくてムダに混乱するから。
どんでん返しでもないけど最後の1分のために観る価値がある映画。
ハッと気づくと同時にその年齢にゾッとする。
62点
「シカゴ7裁判」映画情報
タイトル | シカゴ7裁判 |
公開年 | 2020.10.9 |
上映時間 | 129分 |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
監督 | アーロン・ソーキン |
映画「シカゴ7裁判」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
トム・ヘイデン | エディ・レッドメイン |
アビー・ホフマン | サシャ・バロン・コーエン |
ボビー・シール | ヤーヤ・アブドゥル |
ジェリー・ルービン | ジェレミー・ストロング |
リチャード・シュルツ | ジョセフ・ゴードン |
レニー・デイビス | アレックス・シャープ |
ジュリアス・ホフマン | フランク・ランジェラ |
デイヴィッド・デリンジャー | ジョン・キャロル・リンチ |
ウィリアム・クンスラー | マーク・ライランス |
フレッド・ハンプトン | ケルヴィン・ハリソンJr |
クラーク司法長官 | マイケル・キートン |
ジョン・N・ミッチェル | ジョン・ドーマン |
映画「シカゴ7裁判」あらすじ
1968年、シカゴで開かれた民主党全国大会。会場近くでは、ベトナム戦争に反対する市民や活動家たちが抗議デモのために集結。当初は平和的に実施されるはずだったデモは徐々に激化していき、警察との間で激しい衝突へと発展。デモの首謀者とされたアビー・ホフマン(サシャ・バロン・コーエン)、トム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)ら 7 人の男〈シカゴ・セブン〉は、“暴動を煽った”罪で起訴されてしまい、歴史に悪名をとどろかせた《類を見ないほどの衝撃的な裁判》が幕を開けることに。
filmarks
映画「シカゴ7裁判」ネタバレ解説
そもそも何の裁判なのか?
映画「シカゴ7裁判」は、冒頭から裁判のシーンが始まるため、何も知らずに観た人は、何の罪で起訴されたのか良くわからないかもしれない。
事実に基づく映画は、知らなくても楽しめる場合と、知らないと楽しみが半減してしまう場合があるけれど、「シカゴ7裁判」は後者にあたる。
最低限の史実を知っていた方が余計な混乱なく、スッと話に入っていける。
「シカゴ7裁判」は、1968年に起きたベトナム戦争に反対するデモ中に警察とデモ隊が武力衝突した事件が発端。
その暴動を扇動したとされる7人が起訴されたのがシカゴ7の由来だ。
映画を観れば分かる通り、単純な暴動に対する裁判ではなく、非常に政治的都合が混じりあい、正義のない偏見に満ちた裁判が起こったのだ。
シカゴ7にボビー・シールは含まれない
話を知らないで入ってしまうと混乱する原因の1つに、黒人のボビーシールはシカゴ7の対象に入っていないことが挙げられる。
ブラックパンサー党に所属するボビーシール。黒人という立ち位置からか、分かりやすい差別の対象となるのだけれど、実はこの人シカゴセブンの1人ではない。
めちゃくちゃど真ん中に居座り、仲間たちも威圧的で1人だけ悪目立ちしているから中心人物かと思いきや、全く無関係の人だった。
ボビー・シールは、デモの参加者でもなければ扇動したという事実もない。
ただ、シカゴにご飯を食べに来ただけの人だ。
そのせいで、7人は誰なんだ?という疑問が頭のすみから離れずに困惑してしまった。
だから早々に裁判からは外れたみたいだけど、尺をわりと使ってるので観る人にはそこそこ中心人物に感じてしまう。
映画「シカゴ7裁判」ネタバレ感想
ラストの読み上げがやはりアツい!
この映画の見どころはやはり、物語のラストだ。裁判官が判決を下す前、トムヘイデンが最後にコメントを残すシーンで5000人のベトナムでの戦死者を読み上げる。
そこでようやく気づくのだ。裁判に関わっている人たち、被告人、原告人、裁判官に裁判員。傍聴席から私たち観客まで。
2時間に及ぶ法廷闘争劇の目的は、黒人の差別問題でもなく、誰が暴力を扇動したのかでもない。警察の闇を暴くことでも公平な裁判を求めることでもない。
戦死した若者の死を悼み、これ以上の不幸を出さないようにするために反戦運動が起こったということ。
それが本来の目的だったはずだ。
日々書き溜めた毎日の戦死者の名前を読み上げ始めたとき、裁判所がどよめき立ち、皆が湧き上がる。
それは確かに皮肉でいやらしい裁判官に一矢報いたという意味では愉快なんだけど、そもそもの発端はなんなのかを再認識させてくれる素晴らしい一手であった。
まさに「世界は見ている」なのだ。
年齢を読み上げているとき、背筋がゾクッとしなかっただろうか。
あなたの歳と同じ年齢かもしれないし、あなたよりも若く、さらにはあなたの子どもの年齢に近いかもしれない。
一度きりしかない人生の、まだこれから無限の可能性を秘めた若者たちが法廷闘争を繰り広げている間にも次々と戦死している。ベトナム戦争という思想のぶつかり合いに巻き込まれた若者たちに哀悼の意を示したい。
シカゴ7裁判という問題を知らなくても、その最後の1分を観るためだけでも価値がある作品だ。
映画「シカゴ7裁判」を観たならこれもおすすめ
ベトナム戦争の政府の悪を暴いた新聞社の話。
事実に基づく映画なので、事前の予習はあった方がいいけど、コンピュータが普及していない時代の新聞作りの映像なんかは一見の価値あり。
映画「ペンタゴンペーパーズ」をもっとおもしろくするために知っておくべきことネタバレ感想
前半は訓練兵時代、後半はベトナムでの戦いを展開する。狂気に身を置くことの不気味さと怖さが良くわかる映画。
マジでセンスあるキューブリック作品。
コメント