「キャンディマン」は2021年公開のホラー映画。
「キャンディマン」という言葉を鏡に向かって5回唱えると殺人鬼に殺されるという都市伝説が続いたシカゴのカブリーニ地区で起きるホラー映画。
貧困地区から高級住宅街に変わったコンドミニアムで起きる殺戮劇は、「アス」「ゲットアウト」を手がけたジョーダン・ピールが脚本を務める。
黒人差別の歴史を交えながら描く気持ちの悪いホラーが得意なジョーダンピールだが、今作は監督が違うからか、ただの連続殺人ホラーであり、目新しさは少なめ。
1992年に公開された「キャンディマン」の続編として繋がっているのは当時のファンからしたら嬉しい限りだが、ホラーとしての怖さも少ないわりに、ストーリーも普通だったのは期待値が上がりすぎだからかもしれない。
実話とも言える都市伝説である「キャンディマン」の真実を解説していく。
「キャンディマン」
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「キャンディマン」映画情報
タイトル | キャンディマン |
公開年 | 2021.10.15 |
上映時間 | 91分 |
ジャンル | ホラー |
監督 | ニア・ダコスタ |
映画「キャンディマン」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
アンソニー | ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世 |
ブリアンナ | テヨナ・パリス |
トロイ | ネイサン・スチュアート=ジャレット |
ウィリアム | コールマン・ドミンゴ |
アン | バネッサ・ウィリアムズ |
映画「キャンディマン」あらすじ
舞台は、シカゴに現存した公営住宅「カブリーニ=グリーン」地区。その界隈では、鏡に向かって5回その名を唱えると、右手が鋭利なフックになった殺人鬼に体を切り裂かれるという怪談めいた都市伝説が語り継がれていた。老朽化した最後のタワーが取り壊されてから10年経ち、恋人とともに新設された高級コンドミニアムに引っ越してきたヴィジュアルアーティストのアンソニーは、創作活動の一環としてキャンディマンの謎を探求していたところ、公営住宅の元住人だという老人から、その都市伝説の裏に隠された悲惨な物語を聞かされる。アンソニーは恐ろしい過去への扉を開いてしまったのだ……。
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映画「キャンディマン」ネタバレ感想・解説
キャンディマンは実話なのか?
(C)2021 Universal Pictures
結論から言うと、キャンディマンは実話ではなくフィクションだ。
ただし、カブリーニ・グリーン地区というのは実在していて、ミッドセンチュリー時代に黒人の労働者階級が住んでいた集合住宅地だった。
新天地として裕福で安心できる土地として開発されていたが、度重なるレイシズムの煽りを受けて、残念な街の象徴として扱われることになる。そして映画のように廃墟として放棄された地区だ。
近隣に住む白人たちの反対もあり、黒人たちの辛い経験の場所にもなっている。そして実際にその地区に住む黒人女性から「誰かが家に侵入しようとしている」と救急連絡があったにも関わらず無視されて、後日死体となって発見されている。
「キャンディマン」はそうした黒人差別の歴史のもとに作られていて、その舞台におあつらえむきだったのが、カブリーニ・グリーン地区である。
Candyman is not based on a true story, but it draws from several real-life events.
「キャンディマン」はフィクションだが、いくつかの実在するイベントを引用している。
引用:Is Candyman based on a true story?
キャンディマンのタイトルの意味は蜂蜜が由来
そういうわけで、キャンディマンはフィクションである。次に「キャンディマン」という名前の由来。これは映画の中でも影絵を使って説明していたが、元々は19世紀に起きた悲劇に端を発している。
黒人のダニエル・ロビタイユは、白人に仕える画家だったが、ある日、白人女性と恋に落ちてしまう。それがバレたことで白人たちによって手を切り落とされ、フックを植え付けられる。
そして全身に蜂蜜を塗りたくられたことで蜂に刺されて殺されるのだ。その身体から蜂蜜が垂れていたのが、キャンディマンの由来である。
だからアンソニーが蜂に刺された後にだんだんと手が朽ちていったのは、ダニエル・ロビタイユが次のキャンディマンを作るために動いたのが原因だ。
フックを植え付ける理由や「キャンディマン」と5回唱える意味もはっきりしないため、実に都市伝説っぽい話である。
キャンディマンは1992年版の続編
(C)2021 Universal Pictures
キャンディマンは、1992年版のリメイクとなっているが、ストーリーは新しい。というか続編という位置付けになっている。当時のストーリーは冒頭でブリアナの弟が話した都市伝説、ヘレンの話がそれに当たる。
アンソニーは当時赤ん坊で、前作の主人公にあたるヘレンに誘拐されていた。ヘレンもまたキャンディマンの都市伝説を追いかけていたが、途中で精神に問題を抱えたことで逮捕。
しかしそれは誤解で、最終的にアンソニーを生贄にしようとしていたキャンディマンから助けようと燃え盛る火に飛び込み、焼死している。
ウィリアムの狙いは?
子供の頃、キャンディマンを見たウィリアムはキャンディマンの復活を望んでいた。
キャンディマンの伝説は引き継がれていくことを知っていたウィリアムはアンソニーを連れ出し腕を切り落とした。そこにフックをはめてキャンディマンと同じ格好にした。ウィリアムはその姿を見たアンソニーを警官に殺させることでキャンディマンの復活を願ったのだ。
それは白人に対する強い恨みを持つがゆえの行動でもあった。
ラストの言葉の意味
(C)2021 Universal Pictures
アンソニーを殺した警官は、何もしていないはずのブリアナを拘束し脅迫する。アンソニーに襲われていたと供述するか、共犯者として捕まるかの選択を迫られる。
ブリアナはそこから逃れるために「キャンディマン」という言葉を車のミラーに向かって唱えるのだ。すると、キャンディマンとして蘇ったアンソニーが白人警官たちを皆殺しにする。
蜂が群がったアンソニーがブリアナに伝えたのは「皆に伝えろ」というメッセージだった。
それは、黒人に対する差別の現実と、キャンディマンの恐怖を都市伝説として皆を怖がらせ続けろという2つの意味を持っていたのだ。
アンソニーがアーティストという設定なので、高級アパートのデザインや現代アートの展覧会など、興味を惹きつける物は多かった。
しかし、「アス」や「ゲット・アウト」で黒人差別を逆手にとったジョーダン・ピールの良さは今作ではほとんどなし。
ホラー演出としても怖くないし、新鮮さが足りない映画だった。
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