「オールド」は2021年の映画。
「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン監督が描くスリラー映画。
休暇で訪れたビーチで遊んでいると6歳だった息子が少し目を離した隙に青年に急成長。若い女性の死体が突如現れたり、不可解なことが群発的に起こる。
シャマラン監督の脚本と構成がいつも通り発揮。スリラーx超常現象x種明かしという軸を「オールド」でもブレずに作り上げた。
伏線も大量に張り巡らされていて気持ちよく回収。シャマラン監督の良い点も悪い点も含めて期待通りの作品に仕上がっている。
「シックス・センス」以降のシャマラン監督映画が好きなら観るべきだし、興味ないなら観なくてもいいだろう。
「オールド」
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「オールド」映画情報
タイトル | オールド |
公開年 | 2021.8.27 |
上映時間 | 108分 |
ジャンル | スリラー |
監督 | M・ナイト・シャマラン |
映画「オールド」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ガイ | ガエル・ガルシア・ベルナル |
ブリスカ | ヴィッキー・クリープス |
チャールズ | ルーファス・シーウェル |
トレント | アレックス・ウルフ |
イーモン・エリオット | |
ノーラン・リヴァー | |
ルカ・ファウスティーノ | |
カラ | エリザ・スカンレン |
カイル・ベイリー | |
ミカヤ・フィッシャー | |
マドックス | トーマシン・マッケンジー |
エンベス・デイヴィッツ | |
アレクサ・スウィントン | |
クリスタル | アビー・リー |
ジャリン | ケン・レオン |
セダン | アーロン・ピエール |
パトリシア | ニキ・アムカ=バード |
アグネス | キャスリーン・チャルファント |
マネージャー | グスタフ・ハマーステン |
シドニー | マシュー・シアー |
運転手 | M・ナイト・シャマラン |
映画「オールド」あらすじ
休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。楽しいひと時を過ごしていた矢先、ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している——母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。一体このビーチで何が起こっているのか?
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映画「オールド」ネタバレ感想・解説
なぜ急速に歳をとるのか
© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
映画「オールド」ではビーチを訪れた子どもたちが突如成長をはじめていく。
まず、なぜ歳をとるのか?というところが大きなテーマである。が、これはシャマラン監督らしい超常現象の1つであり、自然への畏敬の念が込められている。
シャマラン監督は後半のアッと驚くネタバレが真骨頂であるが、普通では考えられない超自然現象や、人間が持つ潜在能力を取り入れることが多い。
「シックスセンス」では霊の存在だったし、「サイン」では予知夢だった。「ハプニング」では植物の持つ力を描き、「アンブレイカブル」では人間の持つ潜在能力を引き出した。
今の科学では説明できないことを超常現象で片付ける部分がシャマラン監督の強みでもあり、腑に落ちない感じがイマイチ不人気である弱みでもあるのだが、私はそれも含めて大好きだ。
というわけで、「オールド」でも「なぜ歳をとるのか」の問いに明確な答えが用意されていない。
岩に囲まれたビーチでは、生物の細胞が通常の10,000倍以上のスピードで破壊と再生を繰り返し、肉体の老化現象は30分で1年経過するのに等しい。
その場所に入ったが最後、抜けようとするものは気を失う。入り口に戻っても、崖を登っても、海から逃げようとしてもだ。
この理由も仮説が立てられていて、深海から急浮上すると減圧症になるのと同じような症状が起きているとのこと。
深海から一気に浮上しようとすると、減圧症にかかり、マヒを起こしたり、最悪の場合は死に至る。気圧の急低下より引き起こされることがビーチでは時間の速度差が原因で発生する。
10,000倍以上の時間軸から通常の時間軸に戻ろうとする過程で細胞がその差に耐えられなくなるのだ。
10時間(約20年)かけて洞窟を抜ければ脱出できると言っていたが、牛歩のように進むことも気が狂うし、その間ものすごい速さで歳をとることにも耐えられないだろう。
なので歳をとる原因は細胞が超活発になるためなのだけど、なぜそれが起こるのかという真の要因に関しては「自然の脅威」で片付けられる。
なぜ彼らは選ばれたのか
© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
次になぜ、カッパ一家が選ばれたのか。
このビーチにはバケーションに来たグループが何組かいた。そして彼らにはある共通点があることが物語の中盤で判明する。
家族またはパートナーの誰かしらが持病を持っているのだ。
最初に水死体で見つかった女性はMS(多発性硬化症)。ラッパーのセダンは血栓症。
医者のチャールズ一家はクリスタルがカルシウム欠乏症だった。そしてプリスカには腫瘍がある。
パトリシアはてんかん発作を抱えていた。
グループの中に1人だけ持病がある者たちが選ばれていた。
そしてこの島はウォーレン&ウォーレンという製薬会社が提携しているリゾート地だった。
彼らは意図的に選ばれていた。カルテやクスリの使用歴を調べられ、薬局のレシートに抽選が当たったなどという名目で休暇を取りにこの島に来るように仕向けられていたのだ。
なんの目的で集められたのか
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超常現象が起きている島を秘密裏に知ったウォーレン&ウォーレン社は、ここを新薬の研究に使っていた。
このビーチを訪れたものはたった1日で50年の歳をとる。
新薬の効果の統計を取るためには計り知れない時間がかかるが、この島では1日で人の一生分の結果が取れるのだ。
そして今回グループの中で唯一、持病をほとんど発症しなかった者がいる。それがてんかん発作を持つパトリシアだ。彼女は8時間以上発作は現れなかった。
彼女を含む全員がビーチに来る前に新薬を投与されている。おそらくそれは到着時に受け取った特製のジュースに含まれていた。
ビッグサイズセダンの鼻血が止まらないのも、クスリの副作用によるものだろう。
こうしてウォーレン&ウォーレンはてんかん発作を16年も抑える新薬の成功を手にするのだ。
数十人の犠牲でてんかん発作に苦しむ数百万人の人類を救うことができる。
彼らはトロッコ問題で1人の犠牲を選択することに舵を切ったのだ。
トロッコ問題とは、多くの人を救うために、1人を犠牲にするかしないか。という倫理的ジレンマを問う社会実験のこと
マクロ的視点では確かに多くの者を救うことができた。だが、ミクロ的には複数の家族が一瞬で寿命を迎えた。そこには健康体の子どもたちも含まれているのだ。
しかし、精神疾患は誤算だった。彼は大事な血栓症の被験者を殺してしまうのだが、製薬会社側が被験対象としているのはカルシウム欠乏症のクリスタルであり、チャールズではなかった。
なぜ助かったのか、サンゴの意味は?
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細胞の活発化を防ぐためには金属製のチューブに身を包む必要があるとパトリシアは言っていた。
それと同等の効果があったのがサンゴの存在だ。支配人の甥っ子がトレントと仲良しになったとき、ある暗号を伝えていた。
そこには、支配人がサンゴを嫌っているとのメッセージがあった。
生き残ったトレントとマドックスは、それにしたがって、サンゴを抜けたことでビーチを脱出することができた。
トレントは島に来た時にやっていた名前と職業をら尋ねる遊びで、警官が島にいることを知っていた。
警官にことの顛末を話し、ビーチで過去に死んだ者が書き残したノートを渡し、ウォーレン&ウォーレンのやってきたことを暴露したのだ。
こうして彼らは生き残った。昨日まで6歳だったトレントは50年経過していたが。
一気に歳をとることで失ったものは大きかったが、彼らには得たものもある。それが家族の絆だった。ガイとプリスカは島に到着した直後、離婚の危機にあった。
しかし彼らは別れる前に島で1日を過ごしたことで、時が経ち、和解し、ケンカの内容も忘れて最期を迎える。家族に看取られながら。
このビーチに来なかったら彼らは幸せになっていたのだろうか。
長い年数を生きることが必ずしも幸せになることではないという、こういうブラックな演出がシャマラン監督を愛してやまない理由である。
行きのバスの中でトレントは「スキューバをやるには何歳になればいいの?」と質問し、プリスカはマドックスが大人になった頃の歌声を楽しみにしているシーンが出てくる。
彼らはその望みを1日で叶えてしまったという最強に皮肉めいた伏線もシャマラン監督らしい
サンゴに向かったなら死体が上がるまで用心しろよ。とか、途中経過の観察がバスの運転手だけだったりとか、細かいアラはある。
「なぜ歳をとるのか」という謎に対して、「超常現象だからさ」という解答になってない回答をしれっとしてしまうところとかが、シャマラン監督が「シックスセンス」以降大ヒットを飛ばさない理由でもある。
でも私は、人類の叡智を超えた、人間の力が及ばない自然の脅威や畏敬の念を描くシャマラン監督が大好きだし、ブラックな大オチを毎度用意してワクワクさせてくれる脚本も楽しんでいる。
次作もまた楽しみにしたい監督の1人である。
コメント
コメント一覧 (2件)
映画は「見る」ではなく「観る」がいいなぁ
「観る」にするようにしているのですが、気づかないこともあるのでご指摘いただけるとありがたいです!