「マークスマン」は2022年公開の映画。
元狙撃兵のリーアム・ニーソンが、メキシコの麻薬カルテルに追われた母子を助けたことで、彼らの追撃に巻き込まれていくアクション映画。
麻薬カルテルが、途中立ち寄る人たちを容赦なく殺していくし、情報網を駆使して追い詰めていく様はなかなかスリリングで楽しめる。
母親を失った息子と妻を亡くしたニーソンがメキシコの国境からシカゴまでの道中を通じて関係を深めていくロードムービー的要素もあり、エンタメ映画としての人気の要素をいくつか兼ね備えているのも良き。
一方で、アクション要素としては少なめでマークスマン(狙撃手)というタイトルのわりには狙撃の良さが出るのは終盤のみ。
いくつかの点で都合の良い展開もあり、アクションとしての魅力を楽しみたいならあまりおすすめはできない映画だった。

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「マークスマン」映画情報
タイトル | マークスマン |
公開年 | 2022.1.7 |
上映時間 | 108分 |
ジャンル | アクション |
監督 | ロバート・ローレンツ |
映画「マークスマン」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ジム | リーアム・ニーソン |
サラ | キャサリン・ウィニック |
マウリシオ | フアン・パブロ・ラバ |
ミゲル | ジェイコブ・ペレス |
映画「マークスマン」あらすじ
愛妻に先立たれ、メキシコ国境付近の町で牧場を営みながら愛犬と暮らす元海兵隊の腕利き狙撃兵、ジム・ハンソン。ある日、メキシコの麻薬カルテルの魔の手を逃れ、 越境してきた母子を助けたことから、彼の運命は大きく変わり始める。カルテルに撃たれた母親は、ジムに11歳の息子ミゲルを託して絶命した。ミゲルをシカゴに住む親類 のもとに送り届けてほしい――日々の生活に手いっぱいのジムだったが、仕方なくこれを引き受ける。一方、米国に侵入したカルテルは執拗に彼らを追撃。迫りくる危機に、 ジムは必死に抵抗する。果たして彼は、ミゲルを守り、シカゴにたどり着くことができるのか? 命を懸けた戦いの火ぶたが、切って落とされた!
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映画「マークスマン」ネタバレ感想・解説
©︎映画「マークスマン」
リーアム・ニーソン主演の映画といえば、「ファイナル・プラン」という残念な映画が2021年に公開されたが、こちらは元爆弾使いの銀行強盗がその技を駆使して悪に立ち向かう話だった。
しかしながらその爆弾スキルはほとんど生かされることなく、中途半端なアクション映画として終ってしまったことは記憶に新しい。
今回の「マークスマン」も同様で、狙撃手というタイトルをつけておきながら、その狙撃力が真に生かされたのはワンシーンのみ。
高速で走る車の運転手の脳天を一発で撃ち抜いたのは、ゴルゴ13ばりに爽快感抜群だったし、タイヤを撃って車を横転させたシーンは見事だった。
しかし、そこが最大の見せどころであり、リーアム・ニーソンに痺れるシーンは他にはなし。
その後、敵に追われた工場で建物の中から数発撃ったぐらいで、活躍したのもラスト30分程度。
残りは麻薬カルテルに追われ続けながら旅を続けるロードムービーが続いていく。
ちなみにジムとミゲルが旅をしたメキシコ国境付近のノガレスからシカゴまではおおよそ2,800km。
サラッと運転しているが、北海道最北端から沖縄の最南端までがおおよそ3,000kmと考えると恐ろしい距離を車で走り続けたことがわかるだろう。
その道中でジムとミゲルを見つけ出した麻薬カルテルの情報網も恐ろしい。
メキシコの国境警備はすでに買収されており、内陸部の警察でさえ彼らに情報を渡す。
だからIDを提示したりクレジットカードを見せれば一発だ。
ただ残念だったのが、宿泊しているホテルまで突き止めた彼らの情報力にも関わらず、シカゴに行くことを突き止めたのはミゲルが落とした地図が手がかりだという古典的な手法である点。
ミゲルが地図を落としたことは仕方ないし、そもそもスマホも持っていないのもまぁいいだろう。現代に紙のマップがたまたま立ち寄ったガソリンスタンドに置いてあったのもまぁ良しとしよう。
だがしかし、地図にマーキングをする必要がどこにあるのだろうか。しかもそのマークはミゲルの親戚がいる住所ではなく、「シカゴ」と書かれている部分。
細かい不審感の積み重ねがどうもこじつけに見えてしまったのが残念だった。
広い国土を生かしたアメリカ人得意のロードムービーはなかなか良かった。最初はお互い警戒心を抱いていたジムとミゲルだったが、だんだんと心を通わしていくロードムービー的要素も本作の魅力。
距離は実に2,800km。いくらでも彼らの関係は深まるだろう。
2人とも大事な人が亡くなり、さらには2人を助けてくれた犬までが麻薬カルテルの手によって殺される。
「助けるのか、助けないのか、どっちなんだい!?」的な迷いっぷりを見せていたジムだったが最終的には助けることを選択。
©︎映画「マークスマン」
ミゲルもそんなジムと一緒になって次第に心を開いていく。
ラストでは、ジムが銃の扱い方を教えたことで窮地を脱出するという分かりやすい伏線もあり、王道的には楽しめるようになっている。
また、追う側の麻薬カルテルが道中の罪なき人たちをかんたんに殺していくことで、スリリングな展開を見せてくれたのは良き。
ガソリンスタンドの若い女性や、モーテルの管理人、全く関係がないのにジムたちがそこに立ち寄っただけで殺されてしまうのは不条理すぎる話である。
しかし、そのおかげというべきか、迫り来る危機感により道中のロードムービーで退屈することもなかったし、2つの要素はうまく噛み合っていた。
ラストは銃で撃たれ、ナイフで刺されているのに病院にも行かずにミゲルを送り届け、バスの中で安らかに死ぬであろうエンディングを迎える。
目の前で撃たれるのを見ているので、ミゲルも病院に行けよというべきだし、敵もいなくなった今、病院に立ち寄ってもよかったはずだ。
それでもああなってしまったのは、妻に先立たれ、故郷の土地も奪われたジムが、最後の使命としてミゲルを守ったことで天命をまっとうしたと考えたのかもしれない。
愛する妻の元へと行けることを望んだのかもしれない。
ガンショップの店主がどう考えても怪しいジムに、銃を渡すというとも解せないし、ラストまでたどり着くためにおあつらえ向きのイベントが用意されているのはちょっと都合が良い気がした。
ただ、まぁ単純で王道のサスペンスムービーだと思えばそこそこ楽しめる映画だ。
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