「スイス・アーミー・マン」は2017年のアメリカ映画。
A24が制作会社ということもあって、なかなか攻めた内容だ。
海に打ち上げられた死体がアーミーナイフのようにいろんな機能をもっていて、死体を利用してサバイバル生活を生き抜くという話の流れも意味不明だし、その過程で見せられる死体との恋物語もなかなか奇怪な話と言わざるを得ない。
「意味が分からない」
そんな感想で終わっても仕方のない映画だ。
どこに魅力があるかというと、一見ふざけた流れに見えるも根底に流れるテーマ性と惹きつけられる音楽、美しい映像の融合にある。
意味が分からないといって途中で投げ出した人はもう一度観て欲しい。
クセになるうまみがそこにあるから。
映画「スイス・アーミー・マン」あらすじ
無人島で助けを求める孤独な青年ハンク(ポール・ダノ)。いくら待てども助けが来ず、絶望の淵で自ら命を絶とうとしたまさにその時、波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着く。ハンクは、その死体からガスが出ており、浮力を持っていることに気付く。まさかと思ったが、その力は次第に強まり、死体が勢いよく沖へと動きだす。ハンクは意を決してその死体にまたがるとジェットスキーのように発進。無人島を脱出しようと試みるのだが…。果たして2人は無事に家へとたどり着くことができるのか―!?
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映画「 スイス・アーミー・マン 」映画情報
監督、脚本 | ダン・クワン |
ダニエル・スキナード | |
音楽 | アンディ・ハル |
ロバート・マクダウェル | |
公開日 | 2017.9.22 |
上映時間 | 97分 |
製作国 | アメリカ |
映画「 スイス・アーミー・マン 」キャスト
ハンク・トンプソン | ポール・ダノ |
メニ― | ダニエル・ラドクリフ |
サラ・ジョンソン | メアリー・ウィンステッド |
映画「 スイス・アーミー・マン 」ネタバレ考察・解説
スイスアーミーマンの魅力1 主演がハリーポッターのラドクリフ
前情報もなく「スイスアーミーマン」を観た人の中で初見で気づいた人はいるだろうか。
この死体が「ハリーポッター」シリーズの主演ダニエル・ラドクリフだということに。
ちなみにもう1人の主演ポール・ダノは、ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画「プリズナーズ」で知的障がい者役を演じている。
ラドクリフの死体役はなかなか見どころあるし、ポールダノのかわいさは、やってることはなかなかクレイジーだけど、許してしまいたくなる雰囲気を持っている。
私が1番好きなシーンは、木の実を発見して嬉しそうに小躍りする場面だ
スイスアーミーマンの魅力2 死体が十得ナイフに変わる
「スイスアーミーマン」は、死体が十得ナイフに変わるというとんでもない設定だ。
よくもまぁこんな話を思いついたなとひたすらに関心するのだけれど、とにかく最初の活用からぶっ飛んでいて、おならで無人島から脱出するという離れ業をやってのける。
その後も、この死体使えるぞってなって、いろんな技を繰り出していくのだけれど見た感じこれだけ見つかった。
- 尻は、おならの力で海を泳ぎ、空を飛ぶ
- 口は、貯水池としたり、ボーガンや銃のような銃を発射する
- 歯は、髭剃りにしたりはさみにしたり
- 頭は、ハンマーになる
- 身体全体を使った力技
これらを使って無人島を生き抜くだけではない。
ハントはめちゃくちゃ工作がうまいのだ。
人形やバス、かの有名な遊園地を作ってみたりする。死体と一緒じゃなけりゃぜひ一緒に作ってみたい。
小さい頃に憧れた秘密基地がそこにある。
そんな魅力がこの映画には詰まっている。
スイスアーミーマンは実話?
結論からいうと「スイスアーミーマン」は実話ではない。(Swiss Army Man Has A Crazy Origin)
死体を利用してジェットスキーのように海を渡るなんてことが実話としてあるわけがない。
クリエイティブな脚本家とディレクターが考えたクレイジーなフェイクストーリーだ。
「どうしたらおならの出る死体を乗りこなせるか」という思いつきから始まったのが「スイス・アーミー・マン」である。
オナラの出る死体に乗るだけでは、映画として成り立たない。そこで考えて考え抜いて作られたのがエモーショナルな映画が作り上げられた。
スイスアーミーマンの魅力3 面白くないという感想はもったいない
「スイスアーミーマン」は、普通に観たらドン引き案件の映画だ。
死体と一緒に行動し、女装して死体とデートを重ねながら森の中をさまよう。
あなたが現実に彼を見つけたらどう思うだろう。今は「ダイバーシティだからね」でくくることができるだろうか。
わたしにはその器量はない。
しかし、この映画をありのままで観たらつまらない。時間の無駄だったと浪費するのはかまわないがせっかく1時間半もかけて観た映画だ。
楽しさを見つけようじゃないか。
すると見えてくる。ハンクの孤独な想いと、メニ―の純粋な心が、疲れた現実を生きる私たちに刺さってこないだろうか?
子どもの頃のあの楽しい日々を、オナラを人前ですることが笑ってすんでいたあの頃を、隠し事なんてないと思っていたあの澄んだ心を。
それをこの2人は持っていて、特に澄んだ心を持つメニ―を見ていると、人生は何でもないことがこんなに素晴らしく幸せだったのだと気づかされる。
死体と一緒に遊ぶからなんなのだ。死体がしゃべるからなんなのだ。
そんな神秘的なことこそ心が躍ったじゃないか。
宇宙人と遊ぶ夢を見たり、スーパーヒーローになる妄想をしたり、幽霊を異常なほど怖がったり、あのセンシティブな感覚をもう一度思い出すんだ。
どうかこの映画を陰キャが死体を友達にしながら現実世界でやれないことを森の中で独りで自己満足にふけっているヤベー奴だけで片付けないで欲しい。
これだから映画は素晴らしいのだ。
映画の持つ表現力は無限で、人間の人生を豊かにさせる最高の作品だ。
ミニオンズのイオンカードを作るといつでも映画を1,000円で観ることができます。
家族や友だちでも使うことができますよ!
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