「SUNNY 強い気持ち・強い愛」は、2018年の邦画。
「モテキ」や「奥田民生になりたいボーイと出会う者すべてを狂わせるガール」など、サブカルをテーマにその時代の人間模様を描くのが得意な大根仁による映画だ。
「SUNNY 強い気持ち・強い愛」は、原作が韓国映画「SUNNY 永遠の友達」を日本版にアレンジしている。
韓国版では80年代の設定だが、日本版では90年代前半のコギャルを焦点にあてている。
この時代、バブル崩壊直後で、大人の暗く重たい雰囲気が若者に伝わったのか、コギャルをはじめ若い人達の力が増していた。
今と違って若者の主張が激しく分かりやすかった時代。
しかし、果たしてこの時代は本当に良かったのだろうか。
SUNNYのメンバーとは数年ズレているが同じように思春期をこのタイミングで迎えた身として、改めて考えてみる。
映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」予告
映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」 あらすじ
かつて青春を謳歌した女子高校生の仲良しグループ 「サニー」のメンバー6人は、約22年の時を経て それぞれ問題を抱える大人になっていた。何不自由ない生活を送っていた専業主婦の奈美は、ある日、久しぶりにかつての親友・芹香と再会するが、彼女は末期ガンに冒されていた…。「死ぬ前にもう一度だけ、みんなに会いたい」。芹香の願いを叶えるため、奈美が動き出す。裕子、心、梅、そして奈々…、 かつての仲間は無事、芹香の前に再集結できるのか?夢と刺激で溢れていた高校時代と、かつての輝きを失った現在の 二つの時代が交差して紡がれる物語は、ラスト、強い気持ちと強い愛によって、 予想もしていなかった感動を巻き起こす!!
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映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」映画情報
監督 | 大根仁 |
原作 | SUNNY 強い気持ち・強い愛 |
制作 | 川村元気 |
音楽 | 小室哲哉 |
公開年 | 2018.8.31 |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 118分 |
映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」キャスト
阿部奈美(現在) | 篠原涼子 |
阿部奈美(過去) | 広瀬すず |
伊藤芹香(現在) | 板谷由夏 |
伊藤芹香(過去) | 山本舞香 |
裕子(現在) | 小池栄子 |
裕子(過去) | 野田美桜 |
心(現在) | ともさかりえ |
心(過去) | 田辺桃子 |
梅(現在) | 渡辺直美 |
梅(過去) | 富田望生 |
奈々 | 池田エライザ |
映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」ネタバレ感想
コギャルの時代は果たしていい時代だったのか
韓国映画をオリジナルとした、「SUNNY」は、日本版では90年代初めのコギャルの時代に置き換えている。
この時代って今と違って、若者が言いたいこと言っててわかりやすかったよね、みたいな流れにしているのだけれど、当時を思春期として過ごしていた自分にはそれほど良い時代とも思えないのではないかと感じている。
奈美が東京にやってきた理由が阪神淡路大震災の頃で、流れてくる音楽が、久保田利伸だったり、安室奈美恵、TRFなどの小室ファミリーが一世風靡していた1995年が舞台だ。
コギャルが全盛というより、アムラーとかキムタクに憧れる若者が多く、それがギャル文化に繋がった年でもある。
少なくともギャル文化が地方に浸透してくるのはもう少しあとで、その後もここまで分かりやすいブームにはなっていない。島から来た奈美とそんなに変わらないはずだ。
で、このコギャルの最終進化系がヤマンバで、男からは歴史的に見ても最大の不評を買ったファッションなんだけれど、これはもう少し先の話。
ギャルブーム到来と、音楽が飛ぶように売れた時代。
この時代がいいかと言われると、答えはノーだ。
バブル景気後の、なんとなくどんよりとした雰囲気が蔓延していた90年代は、子供ながらに嫌な空気を感じていた気がするし、実際に治安がいいとはいえなかった。
震災に加えてサリン事件が起きた年でもあり、今のコロナよりももっと悲壮感が漂っていた。
大人が悲嘆に暮れている中、そんなこと知ったことかと若い世代がバカ騒ぎして元気をくれていたのは事実だが、若者の中でもいわゆる不良は多く、カツアゲだの、万引きだの、今よりも治安は悪く、生きづらい世界だったように思う。
オヤジ狩りなんてものが流行る時点でいかに大人たちが舐めれていたのか分かるし、それほどに景気の悪化が子供たちにも悪影響を及ぼしていたのだろう。
変わって現代は負の側面は闇にまみれている。
その闇はSNSの登場により、人間の正義が闇に光を当てていった結果だ。
だが人間が存在する限り、闇が消えることはない。光を当てればその周囲により強い闇を生むだけだ。
今、ギリギリの均衡を保っていて、いつ崩れるともわからぬその状態は少し怖くも感じる。
しかし、その闇に近づかない限り、また闇が近づいてこない限りは当時の時代よりも平和に感じることは確かだ。
こんな時代でも過ぎ去って見れば懐かしいし、SNSもない時代、みんな自由を味わっていたように思う。
SNSで皆が繋がる今の時代と、
韓国版との違い
韓国版は1980年代後半が舞台のため、日本版とは10年ほど違う。
また、登場人物が1人削られていて、基本的にここに出てくる仲間たちは大人になり、なにかしら問題を抱えているのだけれど、日本版では1人に2人分の不幸を背負わせているので、バランスが悪い笑。
あと、韓国版ではリーダーの友達がシンナーをやって疎遠になっているが、日本版はドラッグと、その時代を表している。
そんなにドラッグなんて蔓延していたか?と思わなくもないが、なにやらそれっぽい単語をかっこよくしたようなドラッグの話は確かにあった。
少年ジャンプのBOYでもそんな話があったので、確かに問題になっていたなと思う。
いくつかの登場人物が抜け落ちていたり、当時の国内情勢が違っていたりする以外はほぼほぼ高い再現性だった。
あと、最後に遺言としてリーダーが残したことも同じなのだが、韓国の財閥的な金持ちと、日本の金持ちはやはり差があるように思うので、いくら遺産相続する人がいないからとは言え、その破格の待遇に少し気になった。
私としては、少し世代はずれるがコギャル時代を生きていた身として、日本版の方が思い出補正がある分、評価は高い。
映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」を見たならこれもおすすめ
大根仁の音楽使いが光る
「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」
なりたい自分になれていますか?
タイトル | 奥田民生になりたいボーイと出会った男すべてを狂わせるガール |
公開年 | 2017.9.16 |
上映時間 | 99分 |
ジャンル | コメディ |
主要キャスト | 妻夫木聡、水原希子 |
監督 | 大根仁 |
奥田民生を崇拝する35歳、コーロキ。おしゃれライフスタイル雑誌編集部に異動になったコーロキは、慣れない高度な会話に四苦八苦しながらも次第におしゃれピープルに馴染み奥田民生みたいな編集者になると決意する!そんな時、仕事で出会ったファッションプレスの美女天海あかりにひとめぼれ。 その出会いがコーロキにとって地獄の始まりとなるのだった…。あかりに釣り合う男になろうと仕事に力を入れ、嫌われないようにデートにも必死になるが常に空回り。あかりの自由奔放な言動にいつも振り回され、いつしか身も心もズタボロに…。コーロキはいつになったら奥田民生みたいな「力まないカッコいい大人」になれるのか!?そしてもがく先にあかりとの未来はあるのか!?
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大根仁監督による映画。タイトルが長すぎてどんな映画なのかパッと理解できないけど、実はタイトルそのままの映画。
何にでもなれる男、妻夫木聡が水原希子にメロメロにされるという話。女に溺れてしまう経験をしている人なら親近感も沸くだろう。水原希子のエロスも堪能あれ。
今の日本にはここまでエロをさらけ出せる人は、水原希子しかいない。
奥田民生に憧れるサブカル系男子の妻夫木聡が、水原希子に骨抜きにされる映画。奥田民生の音楽もたくさんあって、SUNNYと同様世代には楽しい映画に仕上がっている。
篠原涼子の女優力を観て欲しい
「人魚の眠る家」
娘を殺したのは私でしょうか
タイトル | 人魚の眠る家 |
公開年 | 2018.11.16 |
上映時間 | 120分 |
ジャンル | 家族、サスペンス |
主要キャスト | 篠原涼子、西島秀俊 |
監督 | 堤幸彦 |
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