映画「メッセージ」ネタバレ感想・考察・解説 世界を統一する唯一の方法

2016年の映画「メッセージ」を観ました。まず単純な感想を述べさせてもらうと、おもしろかった!の一言に尽きます。

ただ、わりと矛盾というかご都合主義のようにみえてしまう流れもあるので賛否両論ありそうです。

これは極めて理想主義の映画であり、現実主義に置き換えて観るべき映画ではありません。理想の部分はそのまま受け入れればよく、この映画が言いたいことはそこはあまり重要ではないのです。

色々と疑問もありますが、それほど難解ではありませんので感想がてら整理してみます。

ネタバレするのでまだ未見の人は絶対見ないようにしてください。

映画「メッセージ」ネタバレ考察・レビュー

What is your purpose ?

映画の中で突如現れた12個の石?の中にいるヘプタポッドなる生命体ですが、「地球に来た目的はなんだ?」というのが話の核となる部分です。

ラストの方で、ヘプタポッドとコミュニケーションをとることができるようになったルイーズに教えてくれます。理由は以下です。

「3000年後に私たちを助けてもらうために人間を助けに来た」

ヘプタポッドたちは未来人というわけではありません。時の流れという概念がないのです。だから3000年後という未来のことが分かります。

それは分かりました。(もちろん現代物理学でもついていけないのでその物理学の概念が全く異なる時点で全く理解できていませんが、なんとなく言いたいことは分かりました)

次に人間を助けに来たというのはなんのことでしょうか?

ヘプタポッド達は、ルイーズに「未来ってこうやってみるんだぜー」と教えにきました。

しかし、それだけではなく、彼らは多分自分たちが人間の仮想敵になることで世界を1つにまとめたかったのではないでしょうか。

人間社会は争いが絶えません。でも、争いが起きにくくなることはあります。

それは内輪もめしている場合ではないとき、他に共通の敵がいる場合です。昔はそれぞれの近郊の国もしくは自国内で争っていました。今は世界で争いが続いています。

もちろん自国内の争いも絶えているわけではないですが、人間全体がある程度同じ方向を向いてまとまっていくとしたら、例えば世界政府のようなものが出現するとすればそれは宇宙人の出現でしかないでしょう。

12の地域に現れたのも、それぞれの地域でコミュニケーションをとるというのが理由だったのでしょうが、実際には主要な12の地域に現れて各国にまとまってもらうというのが狙いであるかと。

 

シャン上将の妻の最後のメッセージは?

ここ結構突っ込まれどころのような気はします。中国の上将とあろうものが一教授のいきなりの電話に耳を貸すものなの?と。妻の最後のメッセージを話したからって信じるものなの?って。

この映画の主張は「言葉によるコミュニケーション」だから全ての行動は言葉によって変化しなければなりません。

今のアメリカにとっての脅威は中国で、中国に賛同する国もある中でやはり世界は争いから抜け出せない。それを1つにまとめるというのがこの映画の趣旨であり、それをまとめる方法が「言語」なんです。

人間には武器(言葉)がある。って聞いたときに松本大洋の「No吾」を思い出しました。

作中ではNo王のマイクがこう言っています。

「言葉は人類がその叡智で紡ぎあげた最高のツールだ」と。

この漫画では、武力ではなく対話によるコミュニケーションを重視する理想郷を実際に作り上げますが、やがて崩壊します。言葉による対話ができれば素敵なのですがそれはやはり理想主義でしかないのです。

この映画もあくまで理想主義なんです。でも言葉が映画の肝なのだからシャン上将は言葉によって行動を変えるべきなのです。

 

それにしても中国はもうアメリカと対立する代表国として見られるぐらい強大なんだなと改めて実感しました。一昔前まではロシアだったのに、明らかに時代が変わってきています。

日本では相変わらず変な国扱いしていますが、そうやって見下している内にすっかり抜かれていますね。

 

ルイーズは娘を生む決心をなぜしたのか?

これはもうあくまで未来を見ているわけではなく、未来を知ることができる状態なので運命に近いものなのかも。

すべての行動は分かってしまうので生まない未来というのがないのでしょう。

また、母親として、たびたび夢に出てくる娘に対して、生まないという選択肢をとること自体がありえないでしょう。私は父親側ですが、分からないでもない。でもドネリーが娘の未来を知ったうえでこの決断をしたことを「間違った選択だ」と批判したのも分からないでもない。

しかし、この映画は、ミスリードがとても上手ですね。

序盤からなんとなくルイーズの行動を暗く見せることで娘の死から立ち直りかけている雰囲気を出してます。これですっかり騙されました。子供が亡くなったことを誰も触れないのも別に自然ですし、亡くなった娘を夢の中でたびたび思い出すシーンにみえるみえる。

子供の死が今回のメッセージと繋がると思わせる方向にミスリードしていく様は素晴らしいとしかいいようがない。

それで最後に「この子誰?」。久々に衝撃の展開をみました。

確かに冒頭の娘とのシーンも生まれたばかりだというのになぜか幸せそうではないんですよね。あれは先の未来を知ってしまったので色々と思うことがあったのでしょう。少し不思議に思いましたが完全スルーしてました。

 

インターステラーと同じ。難解な話は雰囲気で理解した気になりましょう

正直、時間を流れで見ないようにするという意味が分かりません。でもこういう難しい部分は雰囲気で押し切ればよいと思います。

裏話というか設定としてはいろいろな物理の世界が広がるかもしれませんが凡人には理解のする必要のない話です。相対性理論だってそうでしょう。なんか聞いてもよくわからないけどそうなんだなと思っておけばいいんです。

こんな話を現実に当てはめて矛盾を指摘すること自体がずれています。

作者や監督の狙いに踊らされればいいのです。

音楽の使い方もインターステラーに少し似てましたね。いい音楽でした。調べてみると「ヨハン・ヨハンソン」という方らしいです。

他の作品で使われている映画も見てみようと思います。

メッセージが好きならこちらの映画も見るといいです。