映画「ジョジョ・ラビット」は2020年に公開された映画。
アカデミー賞も受賞したナチスドイツを描いた戦争映画。
戦争、そしてナチスは絶対に風化されてはならない痛ましい時代の1つ。ユダヤ資本が多いこともありナチスに関する映画は多いので、色々な角度から痛ましい作品を観てきた。
でも、「ジョジョ・ラビット」を観たことで1つ分かったことがある。
戦争の悲惨さを伝えるのに、ショッキングな映像は不要なのだと。
反戦、厭戦という意味ではこちらの方が効果が高いのではないかと思わされる映画だった。
76点
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映画「ジョジョ・ラビット」映画情報
タイトル | ジョジョ・ラビット |
公開年 | 2020.1.17 |
上映時間 | 109分 |
ジャンル | 戦争 |
監督 | タイカ・ワイティティ |
映画「ジョジョ・ラビット」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ジョジョ | ローマン・グリフィン・デイヴィス |
エルサ | トーマシン・マッケンジー |
ロージー | スカーレット・ヨハンソン |
タイカ・ワイティティ | ヒトラー |
クレンツェンドルフ大尉 | サム・ロックウェル |
フロイライン | レベル・ウィルソン |
フィンケル | アルフィー |
ヨーキー | アーチー・イェーツ |
映画「ジョジョ・ラビット」あらすじ
舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友だちのアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)の助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。 しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、教官から”ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかわれてしまう。 そんなある日、母親(スカーレット・ヨハンソン)とふたりで暮らしていたジョジョは、家の片隅に隠された小さな部屋で、ユダヤ人の少女(トーマサイン・マッケンジー)がこっそりと匿われていることに気付く。ジョジョの頼りとなるのは、ちょっぴり皮肉屋で口うるさいアドルフだけ…。臆病なジョジョの生活は一体どうなってしまうのか!?
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映画「ジョジョ・ラビット」ネタバレ感想・解説
戦争の悲惨さを伝えるのに暴力はいらない
映画「ジョジョ・ラビット」を観ていて最初に思った印象は、「戦争映画のわりに退屈な映画」だった。
戦争を描いているのに、ドンパチ激しく殺し合うシーンもないし、目を背けたくなるような残酷な表現もない。少し離れている場所では大勢の人が殺し合い、傷つき、死んでいるというのに街の中枢はとっても平和に見える。
刺激物に慣れてしまったカラダには少々物足りなさを感じてしまった。
でも、この悪い印象はだんだんと変わってくことになる。コメディ調に抑えながら、時折ゾッとするような表現が垣間見えるからだ。
例えばナチスに逆らったものたちは見せしめとして街中に吊るされるのだけれど、足しか映らない。
足ですべてが表現される。人間がまるで作り物のように映し出されることで不気味さがより増している。
ゲシュタポは暴力描写はまるでない。でもその風貌や言葉の端々から人を追い詰めていく。ゲシュタポはずっと笑顔なのにだ。
平和に見えたこの世界は、その表面にしかなかった。
少し地面の下をのぞいてみれば、地獄のような世界が待っている。それがユーモアたっぷりの映画にときどき挿入されることでサブリミナルのような恐怖を感じる。
ナチスドイツによる一方的な人権の搾取を、人間の根源的な悪の要素を存分に描いている。
子供の価値観は大人の世代に左右される
子どもは純粋だ。
大人の意見を鵜呑みにしてしまう可能性がある。良くも悪くも常識や自分の価値観で固められた大人たちと違って疑うことに慣れていない。
自分にとって良き人間だと認識したら言われたことをそのまま受け止めて、正しいことと思ってしまう可能性がある。
だからこそ大人が導いてやらないといけないというのは、エゴの塊のようで気持ち悪い。
けれども、自分が直接被害を受けたわけでもない人間に対して憎悪を植え付けることはあってはならない。
憎悪の感情が抱くことを肯定はしないけれど、少なくとも直接被害を受けた、大切な人を傷つけられた経験もない相手に抱く感情ではない。よくよく考えたら憎む理由なんて全くない。
でも人は憎み合う。ただコミュニケーション不足なだけなのに。
「ジョジョ・ラビット」もジョジョはナチスの強い影響を受けていて、ヒトラーを師と仰いだりもしたけれど、彼はエルサとコミュニケーションを重ねたことで変わっていった。
どんなイデオロギーも、国の政策も、思想も、大人による洗脳に近い価値観の植え付けも、思春期の恋愛感情に勝るものはないというのはとても皮肉が効いていて、愛らしい。
ピュアな恋愛感情はそれほど強い力を持つので、終戦後にエルサにフラれて逆恨みをしないかな、とちょっと心配になるけども。
ラストのダンスシーンにこめられた意味
ラストのダンスシーン。
エリサがとてもかわいく見えるシーン。最初は戸惑っているけども、だんだんと気分が乗って、ドイツ人とユダヤ人の2人が楽しく笑い会えるシーン。
この2人を隔てる存在はもういない。理由なく憎み合う必要もなければ怖がる必要もない。自由に生きていいのだ。
その解放感をかみしめたダンスであり、思春期の初々しい恋愛感情がそれに現れている。
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