打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
映画界の名監督岩井俊二が1995年に公開した映画は、2017年、化物語、まどか☆マギカを手がける新房昭之総監督が、シャフトを率いてアニメ化作品として公開された。
脚本にはバクマン、モテキの大根仁を採用、製作総指揮には君の名は、世界から猫が消えたならを、手がける川村元気。
音楽には米津玄師。
贅沢すぎるほどのクリエイターが集結したこの映画は、たしかに満足できる作品だった。
総合評価
50
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
2.6
Filmarks
2.6
映画.com
3.2
Yahoo映画
3.3
カラクリシネマ
4.94
Rotten tomatoes
5.5
IMDb
- 絵も音楽も綺麗!
- 広瀬すずの声がかわいい!
- シャフトらしさはある
- あまり心に残らない映画
- ストーリーが残念すぎる
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? あらすじ
引用:シネマトゥデイ
夏休みの登校日。中学生の典道と祐介は、なずなの前で競泳対決をすることに。典道は、競争のさなかに水中で不思議な玉を見つける。一方祐介は競争に勝ち、なずなに花火大会に誘われる。放課後、皆が打ち上げ花火のことで盛り上がっている中、なずなが母の再婚に悩んでいることを知る典道。どうすることもできない自分に典道はもどかしさを感じ、ふいに玉を投げると、なぜか競泳対決の最中に戻っていた。
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? キャスト、スタッフ
「打ち上げ花火、下から見るか?横からみるか?」のキャストやスタッフはとても豪華。
キャスト
- 及川なずな – 広瀬すず
- 島田典道 – 菅田将暉
- 安曇祐介 – 宮野真守
- 三浦晴子先生 – 花澤香菜
- なずなの母 – 松たか子
スタッフ
- 原作 – 岩井俊二
- 総監督 – 新房昭之
- 監督 – 武内宣之
- 脚本 – 大根仁
- アニメーション制作 – シャフト
- 企画・プロデュース – 川村元気
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? ネタバレストーリー解説
ある夏の花火大会の日
海沿いの町に住む島田典道は、中学生の生徒。
ある夏休みの登校日。
自転車で学校に向かう先に海の先に佇む及川なずなを見つける。
なずなは、海の下に落ちている不思議な玉を見ていた。
学校でも教室にいるなずなを見かける。
しかし、どことなく寂しげななずなを典道は不思議に思っていた。
プール掃除に来た親友の安曇祐介と典道は、プールサイドでもなずなを見つける。
2人ともなずなのことが気になっていたがお互い告白する勇気はなかった。
掃除中、典道と祐介は50m早泳ぎの勝負をする。
そこに急になずなも参戦し、勝ったらなんでも言うことを聞くと賭けて勝負する。
勝負はなずなが勝った。
2番手となった祐介に、なずなは、好きだから花火大会に行こうと誘う。
祐介が勝負勝ったら
帰る間際、典道と祐介は仲間たちと花火は横から見ると丸いのか、平たいのかで盛り上がる。
横から見たらどうなるかを賭けることになり、花火の時間に灯台へと向かうことになる。
祐介はなずなに誘われているものの、その誘いを受け、なずなとの約束をすっぽかしてしまう。
典道は、泳いだときにぶつけた足を祐介の父が開業する町医者に診てもらいにいくと、そこには祐介を誘いに来たなずながいた。
なずなは、50m勝負に勝った方を誘うと決めていたと言う。
そして、祐介ではなく典道が勝つと思っていたと。
そこで典道はなずなが引っ越すことを知る。
母親の再婚が決まり夏休み中に引っ越すことになり、なずなは家出しようとしていた。
しかし、典道と歩いている最中、母親に見つかり強引に家に戻されてしまう。
典道は、必死に助けを求めるなずなを助けることができなかった。
そこに通りかかった祐介に、殴りかかってしまう。
約束をすっぽかさなければなずなが泣くことがなかったのではと怒る。
あのとき自分が勝っていれば、
その後悔のなか、なずなが海で拾った球を思い切り投げつける。
すると世界が止まり、場面が変わる。
もし、典道が勝負に勝っていたら
気づくと典道はまたプールで勝負していた。
今度は祐介に負けず、2番手になる。
するとなずなは典道を花火に誘う。
典道は友人を優先するか迷って、なずなとの約束時間の直前まで祐介といたが、なずなと抜けがけすることにする。
駆け落ちしようと言うなずなと駅まで来たが、直前になずなの母に見つかってしまう。
なずなが連れ戻されそうになる中、典道も抵抗しようとするが婚約者に殴られてしまう。
その後、祐介たちと合流した典道は、灯台で横から花火を見る。
花火は平らだった。
この光景を見た典道は、これが現実ではないと感じる。
今の世界は現実ではない、もう1つの世界があるのだと、持っていた不思議な玉を再び投げる。
また世界が変わり、駅から連れられそうになる場面に変わる。
典道は殴りかかる婚約者の拳をかわし、なずなと電車に逃げ込む。
うまく逃げたと思った彼らだが、祐介たちと、電車を追うなずなの母に見つかってしまい、駅で降りて灯台に逃げ込む。
灯台で見た次の花火は幻想的で、ファンタジーの世界に迷い込んだかのようだった。
しかし、これも現実ではないと悟る。
もしも祐介や、なずなの母に見つからなかったら2人で花火を見ることができたのだろうか。
そう思い典道は再び玉を投げる。
2人だけの世界
また場面は変わり、今度は電車の中。隠れることで、彼らに見つからずに電車は進む。
典道は玉を投げれば自分が望んだ世界に変わるとなずなに告げる。
電車はやがて海の上を走り、世界は玉の中に存在しているかのような世界に変わっていった。
なずなと2人きりのこの世界がなくなってしまうのならば、ずっとこの変な世界のままでいいと典道は叫ぶ。
しかし、なずなは言う。
次会えるのはいつかな、と。
典道は現実に戻らないといけないことを悟る。
浜辺に落ちていた玉を花火師に拾われてしまい、花火として打ち上げられてしまう。
玉が割れ、そのかけらから自分たちの叶えたいifをが見える。
なずなは、典道と一緒にいる世界を見て安堵する。
「次会えるのはどんな世界かな」と言って最後にキスをする。
世界が元に戻り、夏休みが明けた。
教室では、担任の先生が点呼をとっている。
なずなは席に座っていない。
そして、典道の名前が呼ばれるも、そこに典道のすがたもなかった。
打ち上げ花火 横から見るか下から見るか ネタバレなし感想
男子の理想像であるなずな
いわゆる青春男子のラブストーリーは、いつの時代も設定が変わるだけでゴールは変わらない。
I’sや、いちご100%、ニセコイなどジャンプが得意とする展開だ。
男が望む世界というのは、キスこそ至高であり、それ以降の世界は妄想の域を出ない。
キスをしたら物語が完結するのが王道の恋愛マンガだ。
「打ち上げ花火 横から見るか下から見るか」も変わらない。
ちょっぴりエッチで、積極的ななずなが、慣れていない童貞男子に近づいてくる。
いわゆる、ボディタッチで勘違いするヤツだ。
さらに、どことなく神秘的で美しいなずなが、弱みを見せて助けを求めてくる。
もともとタイプじゃなくても、男ならオチてしまう可能性は高いだろう。
しかし、そんなわかりやすい設定にたまらなく悶える。
それがこの映画の楽しさだし、ご都合主義的だが理想の青春を感じて欲しい。
演出や音楽、映像の盛り上げ方は最高だが
この映画にはいろんな業界から著名なクリエイターが関わっている。
大根仁、新房昭之、川村元気、米津玄師、そして原作の岩井俊二。
盛り上げかたや、演出、映像、音楽の使い方、どれをとっても文句なしの満点だ。
しかし、これは童貞男子の妄想によるラブストーリーである。
盛り上げかたと話の展開に少しギャップがあり、どうも話にのめり込めなかった。
この盛り上げかたは、例えば一生会えなくなるとか、死に関わるとかそういうときにアドレナリンを出すための演出には効果的だろう。
しかし、これは引っ越しなのである。
たしかに中学生にとって引っ越しは一大事だが、今、何かしないと一生会えなくなるようなことではない。
大根仁のモテキや、時をかける少女ぐらいの、ちょっと切なくて、ちょっとシュールぐらいの演出の方が似合っていたのではないか。
この映画がいまいち盛り上がらない理由は、観客と作り手側の温度差にあるのかもしれない。
あとがき
そうは言っても、盛り上げ方はやっぱりうまいし、演出も幻想的で同じ時間をループする非現実感もうまく現れていた。
広瀬すずの広瀬すずらしいかわいい声も心地よく響く。
観て損はない作品だ。
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