「ガンパウダー・ミルクシェイク」は、2022年の映画。
14歳の頃母と別れ、殺し屋として生きていたサムが誤って組織のボスの息子を殺してしまったことで、命を狙われるクライムアクション。
「ジョン・ウィック」に影響を受けていて、殺しの見せ方や、ミステリアスな音楽、ディストピアな世界観はよく出来ている。
しかし、どう考えてもモブキャラなボスに、弱々しい戦闘員。作り込まれた世界観のわりに薄っぺらいストーリーは見応えなし。
もう少し存在感が出せると良かったが、残念ながら続編とまでは至らないだろう残念作品だった。
「ガンパウダー・ミルクシェイク」
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「ガンパウダー・ミルクシェイク」映画情報
タイトル | ガンパウダー・ミルクシェイク |
公開年 | 2022.3.18 |
上映時間 | 114分 |
ジャンル | アクション |
監督 | ナヴォット・パプシャド |
映画「ガンパウダー・ミルクシェイク」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
サム | カレン・ギラン |
スカーレット | レナ・ヘディ |
マデリン | カーラ・グギーノ |
エミリー | クロエ・コールマン |
ヴァージル | アダム・ナガイティス |
フローレンス | ミシェル・ヨー |
アナ・メイ | アンジェラ・バセット |
ネイサン | ポール・ジアマッティ |
映画「ガンパウダー・ミルクシェイク」あらすじ
ネオンきらめくクライム・シティ。サムはこの街の暗殺組織に属する腕利きの殺し屋。だがある夜、ターゲットの娘エミリーを匿ったことで組織を追われ、命を狙われるハメに。殺到する刺客たちを蹴散らし、夜の街を駆け抜ける 2 人は、かつて殺し屋だった 3 人の女たちが仕切る図書館に飛び込んだ。図書館秘蔵の銃火器の数々を手に、女たちの壮烈な反撃が今始まる!
filmarks
映画「ガンパウダー・ミルクシェイク」ネタバレ感想・解説
ジョン・ウィックとタランティーノ作品に影響を受けた映画
(C)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved
タイトルのネタとなったミルクシェイク。50年代のセットの雰囲気とともにアメリカのダイナーをイメージした数々の美術のクオリティは高い。
アメリカンテイストが好きな人なら、これらを見るだけで楽しいのは間違いないだろう。
それと同時にスピード感のあるアップテンポな選曲と共に血しぶきがまう戦闘シーンは、銃だけじゃなく、ナイフや格闘、さまざまなアクション要素が詰まっていて、何も考えずに見るなら楽しめる。
見応えある戦闘シーンはタランティーノ監督の「キルビル」や「パルプフィクション」を意識している。クールで世界観にもあった不気味な音楽は戦闘シーンにマッチしている。
(The intense focus on an old school rock ‘n’ roll soundtrack during major fight scenes also recalls Tarantino’s style.)
(主要な戦闘シーンでオールドロックを流すあたりがタランティーノを意識している。)
looper.com
今回の映画では、暗殺者サイドは全員女性。モブキャラたちをバッタバッタとなぎ倒す姿はとてもクールだ。
もともと暗殺者として生きてきた母親が自分の身に迫った危険を察知し、巻き込むまいとどこかへ消える。
そもそも母親が暗殺者であるという世界観からしてかなりアレだが、退廃的な雰囲気が漂う街並みにもマッチしている。
音楽良し、アクション良しだったのだが、観賞後の結果は”つまらない“だった。
絶望的なまでにストーリーがつまらないのだ。
監督のナヴォット・パプシャドはタランティーノ監督だけでなく、ジョン・ウィックにも影響を受けている。両者とも人気監督や人気シリーズになっている。
しかし、「ガンパウダー・ミルクシェイク」は正直なところその劣化版だと言わざるを得ない。
女性の強さと男性の低脳さを描き切った映画
(C)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved
つまらない最大の理由に、女性vs男性の構図を描きたすぎて、敵役が彼女たちのライバルとしての意味をなさないのである。
敵キャラはすべて男性で構成されていて、女性はすべてサムの味方として登場する。味方側にいたはずの男はすべて裏切る。医者も組織のトップも。
主人公のサムたちが強いというのもあるが、そもそも敵対する男性側がアホすぎる。
手榴弾に不用意に近づき爆発に巻き込まれたり、麻酔薬でラリったり、圧倒的優位な状態で追い込んでも軽々と逆転される。
コメディ要素があるのは理解するが、もう少し歯応えのあるキャラは作れなかったのだろうか。ボスが不在なのだ。どんなアクション映画にもいるラスボスがいないので、サムの強さがしっかり生きない。
男性をこき下ろすことが目的となり、ストーリーとしての見応えを無視してしまっている。
女性側もなかなかふざけていて、多数の追手共が図書館に差し迫っているというのに、本の中のどれが武器なのかも教えない。だからサムは銃ではなくナイフや金のインゴットで戦うことになる。
そのムダな制約があるからこそアクションシーンは生きるし、ご丁寧に敵キャラも銃を使ってこなかったりするので、エンタメとしては楽しめる。
しかし、それにしてもストーリーが雑すぎる。
ド派手なバイオレンスアクションで、かつそこそこのグロ感がある映画は、男が担うことが多い。だから、味方側の人間が女性しか登場しない。
しかし、日本のアニメではすでに量産されているので、実写だからといってそれほど珍しいわけでもない。
似たような映画で「Mr.ノーバディ」が2021年に公開されているが、こちらの方がストーリーはまだ作り込まれていた。
音楽や世界観の作り込みは「ガンパウダー・ミルクシェイク」の方が好きなので総合すると同じくらいのレベルなのだが、この2つがうまいこと融合してくれれば、もう少し楽しめたかもしれない。
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