40年前、映画「シャイニング」がスタンリーキューブリック監督のもと製作された。
当時の惨劇を生き延びた男の子が、再びシャイニングという能力に直面する。
この映画には3つの見どころが存在する。
- シャイニングのオマージュ
- 能力者バトル
- ホラー
前作は見なくても全く分からないことはないが、やはり観た方が圧倒的におもしろい。
「ドクタースリープ」公開前に前作はチェックしておこう
ホラー要素は確かにある。音でびっくりするシーンもないわけではない。
しかし、それほど構えずとも見らえるのでホラーが苦手な人も見ることができる。
また、このシャイニングという能力はあまり説明がない。
当記事では「ドクタースリープ」について分かりにくい点を解説する。
映画「ドクタースリープ」解説 シャイニングという能力とは
映画「シャイニング」では、スタンリーキューブリックが大きく改変してしまったため、原作者のスティーブンキングが批判したというのは有名な話だ。
だから「シャイニング」はかなり独特な手法がとられていて、得体の知れない恐怖心や、どこか風変わりな作風に魅力はたくさんあったのだけれど、劇中で表現されるシャイニングという能力をあまりフィーチャーしていない。
そのため、どんな能力なのか分かりづらいところがあったわけだけれども、40年ぶりの新作「ドクタースリープ」でその能力が徐々に明らかになった。
まず「シャイニング」時代に出た能力は、
- 未来を見る
- 過去を見る
- テレパシーをする
の3つだった。
しかし、「ドクタースリープ」では、もっと大きな能力があるように見える。
- 映像のテレパシー
- 相手の心を読む
- 相手の頭の中に入りこむ
- 相手を乗っ取り操る
- サイコキネシス
- 死者と話す能力
加えて、シャイニングの能力により、永遠の命を得ることが可能だ。
それは、シャイニングの能力を持つ者の生気を奪うことである。
シャイニングを持つ力が強いほど、彼らは命を永く得ることができるようだ。
映画「ドクタースリープ」解説 ローズ・ザ・ハットの正体とは
ローズ・ザ・ハットたちは数百年の時代を生きてきた
- シャイニングの能力を持つ者たち
だ。
他のシャイニングの力を持つ者の生気を喰らい、また時には仲間として行動を共にする。
映画館で売春目的の男からサイフを抜き取っていた少女アンディは、生気を喰われるわけではなく同士として取り込まれた。
それは、彼女の人の行動を操ることのできる高い能力にローズが価値を見出したためだ。
ローズ・ザ・ハットたちの目的はシャイニングの力を取り込み、生き永らえようとする目的の集団というわけだ。
映画「ドクタースリープ」解説 ローズ・ザ・ハットは化け物なのか
ここで誤解してはいけないのが、ローズ・ザ・ハットは超人に見えるが生身の人間だということだ。
幽体離脱して空を飛んだり、誰かを操ったり、数百年間も生きていたりするので分かりにくいが、
- 殴れば怪我をするし
- 撃たれれば死ぬ
だからこそ、アブラを追って罠にかかった彼らは銃撃を受けて次々に死んでいった。
人ではないことは確かだが、人間が抗うことができない化け物ではないようだ。
映画「ドクタースリープ」解説 ダンの棺桶に入れた化け物はどうなるのか
ダンは、展望ホテルの経験から常に化け物を見るようになっていた。
それに怖がるダンを助けるべくハロランが知恵をくれたのだ。
自分の周りに出てくる化け物を棺桶に閉じ込める。
では、閉じ込めるとどうなるのか
- 閉じ込めても彼らは死なない
ローズ・ザ・ハットが展望ホテルに来たとき、ダンは彼らを棺桶から解き放った。
そしてローズ・ザ・ハットは彼らによって喰われて死んでしまったのだ。
映画「ドクタースリープ」解説 ドクタースリープのタイトルの意味
映画のタイトルにもなっている「ドクタースリープ」。
これは、ダンのことだ。
ダンは患者の最後を看取り、患者はそれに感謝していた。
彼らの心を読み取り、優しく最後を看取る。
そばにいた猫は、おそらくこの猫もシャイニングの能力を持っていて、患者の死期が分かると彼らの部屋へダンを導いた。
- 患者を安らかに眠らせる
それがドクタースリープとなる語源だ。
アブラとローズ・ザ・ハットの能力者バトルの戦いがクローズアップされてしまいがちだけれども、
このタイトルこそが彼が主役だということを示している。
- 「シャイニング」では、ハロランからダニーへ
- 「ドクタースリープ」ではダニーからアブラへ
シャイニングという能力の向き合い方を引き継いでいく。
映画「ドクタースリープ」解説 前作のオマージュポイント
映画「シャイニング」のファンが歓喜するポイントはたくさん盛り込まれていた。
それを探すのもこの映画の楽しみの1つといえよう。
- ダンスパーティの音楽
- 不安を煽る効果音
- ハロランやウェンディ
- 展望ホテルの化け物
- 展望ホテルのドアの隙間から除くダン
- REDRUMの文字
- 展望ホテルのバーテンダー
- 脚を引きずりながらアブラを追うダン
- ローズ・ザ・ハットとダンが対峙するシーン
映画「ドクタースリープ」感想
「ドクタースリープ」はシャイニングファンもきちんと取り込み、楽しめる作品に仕上がっていた。
視覚的効果だけでなく効果音の使い方にもキューブリック監督への敬意が現れていた。
能力者バトルでは、派手なシーンは少ないものの戦略性もあり楽しむことができた。
しかし、2時間30分という長時間の映画にしてはキャラクターの作りこみが少ないように感じた。
ローズ・ザ・ハット以外はほとんどキャラクターが見えてこず、冒頭で同士にしたアンディもそれほど活躍せず死んでいった。
彼女のもつ、絶対服従の命令はかなり無敵の能力であり、これがあればアブラやダンと互角以上に戦えたはずだし、
- ローズ・ザ・ハットにとって代わる
ことだって可能だったのではないか。
その無限の可能性を持つ少女は銃で撃たれてあっけなく死んでいった。
ビリーを殺すという大罪を犯してはいるが、それは大勢には別に影響はない。
原作からしてそうなのかもしれないが、もう少し盛り上げるポイントはあったように思う。
原作の要素を詰め込み過ぎている感があり、全体的に薄まっているのがもったいないポイント。
ただそれを踏まえても一見の価値はある映画であることは間違いない。
映画「ドクタースリープ」を見たならこれもおすすめ
ホラー映画としては「ハッピーデスデイ」はどうだろう。
自分が殺される瞬間がループするというありそうでなかったタイムリープ映画。
製作には「セッション」や「ゲット・アウト」など名作を手掛けるジェイソンブラムが関わる。
続編もすでに出ていて、日本ではほぼ同時にレンタル開始されている。
王道アメコミではなく超能力系の話といえば、シャマラン監督の3部作もおすすめ
「アンブレイカブル」「スプリット」「ミスターガラス」だ。
アメコミヒーローのように勧善懲悪な世界ではなく、現代にアメコミヒーローが実在したら世界の動きはこうなるという世界を描く。
アメコミへの敬意もありつつ皮肉めいたこの映画はアメコミに興味ない人も惹きつけるだろう。
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