映画スプリット感想 徹底解説 ミスターガラスを見る前に知っておくべきこと 

15年前、アンブレイカブルという映画が公開された。

その映画は日本中を席巻し、Mナイトシャマラン監督をスティーブンスピルバーグ監督と同等になるほどに有名にしたシックスセンスという映画の次作品にあたった。

日本人、そしてメディアは、あのシックスセンスのシャマラン監督の次回作だと期待して宣伝し、大きくハードルを上げることとなった。

しかし、興行収入を映画の成功要因とするならば、この映画は不発だった。

15年以上たった今も、シャマラン監督作品の中にシックスセンスを上回る興行収入はいまだ存在しないし、映画が公開されたとしても、メディアは騒ぐこともない。

私自身、公開したことを知らずに過ごしていた作品もいくつかある。

それでもシャマラン監督作品は一通り見てきて気づいたことがある。この監督はシックスセンスのような作風のほうが稀であり、本来はアンブレイカブルのような作風なのだ。

シャマラン監督はほとんどすべての作品に対して共通点がある。

・超常現象
・1つの事実を隠して進めるストーリー

シックスセンスは、この2つの要素に合わせて、ハーレイ・ジョエル・オスメントの類まれなる名演技も合わさり、名作になってしまった。

しかし、シャマラン監督は、本来エンターテイメントとしての要素には強くない。

事実を隠して進めるが、それを公表するときは淡々としている。

大きく盛り上げることなく、事実をしれっと出してくるのだ。

結末では、謎が解き明かされるものの、なんだろうか、「意外!そうだったのかー!」要素はないし、ミステリーが解き明かされたとて、ハッピーな要素もない。

今回は、そんな淡々としたミステリーが得意のシャマラン監督の最新作「ミスターガラス」の前談となる「スプリット」の紹介をしようと思う。

合わせてアンブレイカブルを見ていない人は見た方がいいし、一度見た人ももう一度見ることをおすすめする。

スプリットは、Amazonプライムビデオで見ることができるので、早めに見ることをおすすめする。

スプリットのあらすじ・キャスト

あらすじ

高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)の誕生パーティーに招待される。帰りは、彼女とクレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)をクレアが車で送ってくれるが、途中で見ず知らずの男性(ジェームズ・マカヴォイ)が車に乗り込んでくる。彼に拉致された三人は、密室で目を覚まし……。

引用:シネマトゥデイ

キャスト

ジェームズ・マカヴォイ:デニス、パトリシア、ヘグウィグetc

ケイシークック:アニャ・テイラー=ジョイ

カレン・フレッチャー医師: ベティ・バックリー

クレア・ブノワ : ヘイリー・ルー・リチャードソン

マルシア : ジェシカ・スーラ

スプリット ネタバレ解説

登場する主要な人格

この映画は、解離性同一性障害(DID)、いわゆる多重人格の話だ。

ケヴィンという人間の中に23の人格が存在し、バリーというリーダーがどの人格を表に出すのかを決めている。

「照明」と呼ばれる権利のことだ。

同じ顔で複数の人格が出てくるため、一見すると話がややこしくなるのだが、基本的には3人の人格が主導権を握っていると思ってもらえばいい。

デニス、パトリシア、ヘグウィグだ。

リーダーのバリーだと紹介したが、本編ではヘグウィグが照明を盗む能力を持つことでその力は失われつつある。

この3人は、他の人格から群れと呼ばれ馬鹿にされていた。

「ビースト」と呼ばれる人間を超えた存在になれると信じていたためだ。

しかし、ヘグウィグの能力のおかげで主導権を得た彼らは動く。

ビーストに生贄をささげるため、不純なものたちを罰するために、女子校生を誘拐する。

人格ごとの性格・特徴

性格ごとの特徴もとらえておいた方が良い。

デニス
・強迫性障害かつ潔癖症
・若い女性を裸にして躍らせたがる
・性癖について申し訳なく思っている
・性癖のせいでバリーに照明をもらえない
・ビーストの存在を信じている

女子校生を誘拐した直後、デニスはマルシアを裸にしようとする。潔癖症を見抜いたケイシーの機転により事なきを得たが、なかなかマニアックな性癖の持ち主である。

理性で我慢できない以上、バリーも照明を渡すことができない。

この、緊迫化のストーリーの中でなんと滑稽な性癖であろうか。

女性が好きでレイプしたがるとか、触りたがるとか、そういう性癖でも成立するはずなのに、「裸にして躍らせる」という謎の性癖が地味におもしろい。

パトリシア
・女性
・神経質
・デニスの行動を抑えることができる
・ビーストの存在を信じている

パトリシアは、女性らしく優しい一面がある。髪を整えたり、ご飯を用意してくれたりする。

また、デニスの行動を抑える役割も果たしているようだ。

しかし、パンをまっすぐに切れないだけでイライラしてしまうような神経質な一面を持ち合わせている。

作中の中では、デニスとパトリシアがリーダーとなっている。

ヘグウィグ
・9才の男の子
・バリーから照明を盗む能力を持つ
・パトリシアに怒られる
・音楽が好き
・ファーストキスの相手はケイシー

ヘグウィグは、バリーから照明を盗む能力を持つために、デニスとパトリシアに仲間に入れてもらっているが、おそらく利用されている可能性が高い。

9才なので、あまり頭もよくなく、パトリシアに怒られているようだ。

バリー
・23の人格の元リーダー
・デザイナー
・明るくて社交的

バリーは、元リーダーで社交的。フレッチャー医師ともよく話す。

しかし、本編で何度か登場したバリーは、デニスが扮するニセモノであったため、ほとんど登場しない。

ビースト
・24人目の人格
・壁に傷があれば垂直な壁も登れる
・皮膚はサイのように分厚い
・不純なものを殺す

全員の人格が違う。攻撃的な人物もいれば、社交的で人とうまくやっていこうとする人物もいる。

だがしかし、すべての人格が思うことは1つ「ケヴィンを守るため」に生まれているのだ。

人間を超えた存在、脳の可能性

トラウマのある人間は、トラウマのない人間よりも、優れている。それがこの映画の主題だ。

トラウマを抱えていると聞くと、抱えていない人間よりもマイナスのイメージがつく。

だが、この映画では違う。

トラウマを抱え、それが複数の人格を変えることのできる存在は、脳のイメージにより、筋肉も年齢も性別も、自由になる。

そしてそれは、人間を超えるイメージをつくることができるのだ。

事実、性格的特徴だけでなく、デニスとヘグウィグでは力が全く異なるし、糖尿病になる人格もいる。

それがすべて脳で作られているとしたら、人間を超えるような存在も脳で作ることができるのではないか。

そして、誕生したのがビーストだ。

ラストでは、銃弾を受けても死なないビーストを誕生させた3人がさらに多くの不純なものを殺すために動き出そうとする。

そしてそれが「ミスターガラス」へと繋がっていく。

あとがき

「アンブレイカブル」「スプリット」「ミスターガラス」は、実はもっと早くに実現する3部作だったようだ。

「アンブレイカブル」が予想外の不振に終わってしまい、ここまで時間が経ってしまったが、

ここにきてアンブレイカブルをもう一度見直してみるとそれほど酷評される映画ではない。

デヴィッド・ダンがヒーローとしての役割に目覚めるための映画であり、中途半端に終わってしまったように思うのも、これがスプリット、ミスターガラスへと続く前段であれば全く問題ないのだ。

当時、3部作のように繋がりのある映画はあまりなかったので、今の時代なら受け入れられる、そんな作品だ。

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