「十二人の死にたい子どもたち」は、2019年の堤幸彦の作品。
沖方丁の小説を原作としたミステリー映画。
自殺サイトで繋がった12人の自殺願望のある子どもたちが集団自殺を試みるも、集まった廃ビルには13人目の少年が先に死んでいて、、という話。
ちょっとこの問題を解決しないとって言いながら事態はどんどん悪い方向へ進んでいく。
なんとなくミスリードされてがっかりした人も多いのではないか。
この映画は、「バトルロワイアル」だの「悪の教典」などが起こるような狂った世界にいるのではなく、狂った現代社会に取り残された本当の被害者たちの姿だ。
それを知らずに観てしまうと評価が下がる一方なので気をつけて観て欲しい。
総合評価
58
十二人の死にたい子どもたち
2.9
Filmarks
2.7
映画.com
3.4
Yahoo映画
2.5
カラクリシネマ
- どんどん明らかになっていく謎がおもしろい
- 死にたいけどやっぱり生きたい作品
- 若手俳優が勢ぞろいの注目作品
- 肩透かしを食らった感覚になる惜しい作品
- 全く共感できない説明セリフの映画
「十二人の死にたい子どもたち」映画情報
タイトル | 十二人の死にたい子どもたち |
公開年 | 2019.1.25 |
上映時間 | 117分 |
ジャンル | サスペンス |
主要キャスト | 杉咲花 新田真剣佑 北村匠海 橋本環奈 |
監督 | 堤幸彦 |
「十二人の死にたい子どもたち」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
サトシ -1番 安楽死の集い主催者 | 高杉真宙 |
ケンイチ -2番 いじめられっ子 | 渕野右登 |
ミツエ -3番 ゴスロリ | 古川琴音 |
リョウコ -4番 天才子役 | 橋本環奈 |
シンジロウ -5番 推理好き | 新田真剣佑 |
メイコ -6番 ファザコン | 黒島結菜 |
アンリ -7番 全身黒づくめで聡明 | 杉咲花 |
タカヒロ -8番 吃音 | 萩原利久 |
ノブオ -9番 人気者の青年 | 北村匠海 |
セイゴ -10番 不良キャラ | 坂東龍汰 |
マイ -11番 ギャル | 吉川愛 |
ユキ -12番 おとなしい | 竹内愛沙 |
「十二人の死にたい子どもたち」予告
「十二人の死にたい子どもたち」あらすじ
死にたいけど、殺されるのはイヤ。その日、12人の未成年たちが、安楽死を求め廃病院の密室に集まった。「みんなで死ねば、怖くないから」ところが、彼らはそこで13人目のまだ生あたたかい死体に遭遇。突然の出来事にはばまれる彼らの安楽死。あちこちに残る不自然な犯行の痕跡、次々起こる奇妙な出来事。彼らだけしか知らない計画のはず。まさかこの12人の中に殺人鬼が……?死体の謎と犯人をめぐり、疑心暗鬼の中ウソとダマしあいが交錯し、12人の死にたい理由が生々しくえぐられいく。全員、ヤバい。気が抜けない。いつ誰が殺人鬼と化すかもわからず、パニックは最高潮に。
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「十二人の死にたい子どもたち」ネタバレ感想・評価・解説
※これより先は核心には触れませんが、あらすじには触れます。
人がバタバタと死んでいく映画ではない
冒頭で伝えた通り、この映画は「バトルロワイアル」から続く思春期の子供たちが一斉に騙し合ったり、殺し合ったり、もしくは虐殺されるような狂気の世界のお話ではない。
自殺願望を持った苦しんでいる若者たちが現代という狂気の世界から逃げ出すために集まってきた話だ。
死んで恨みを晴らすもの、いじめられている者、将来が見えない者、病気を抱えている者。
色々な若者が集団自殺のために集った。しかし、行ってみると先に1人死んでしまっていて、自殺のつもりで来たのに他殺ととらえられると困る人もいるってことで議論がはじまっていく。
ルール上全員が納得するか、棄権しないと自殺はしないという取り決めにしているので、なかなか全員一致して自殺することができずに時が流れていく。
しかし、かといって1人消え、2人消え、、のようなスリラー映画にもなっているわけでもない。
あくまで、先に死んでいた者の謎を解くミステリー映画だ。
それぞれが疑い出す下りはあるけれど、騙し合いに発展することもない。
なぜならそもそもここに集まってきたのは人を蹴落として自分が良くなりたい願望なんてなく、死にたいから集まっているからだ。
だからこの映画は、13人目の謎を解くミステリー映画だと思って観た方が良い。
ミステリーはそれほど練られていない
そしてもう1つ、ミステリー作品だけどそれほど深く練り込まれているわけではない。
このミステリーは序盤から謎がどんどん解明していく。
もちろん肝は最後まで明かされないが、とんとん拍子で話は進んでいく
いくつかのストーリーにはなんだか必然性を感じない部分もあって、消化不良感は否めない。
単純にこの映画は誰がどういう順番で自殺の会場に集まったのかが重要になるので、そこに注目して観て欲しい。
少しややこしいので置いてけぼりになった人も、エンドロールで分かりやすく説明してくれているので安心してよい。
注目の若手俳優が勢ぞろい
こういう映画では、若手俳優を大量に使いやすいので、これから売り出していく無名の若手俳優をたくさん出せるのが利点。
それは作品のストーリーとは関係ないが、映画界を盛り上げるうえで若手俳優の起用は重要な点を担っている。
そういう意味で「バトルロワイアル」や「悪の教典」などは、当時無名だった役者が数年経って有名になったときに「この映画に出てたんだ!」というサプライズも楽しみの1つだ。
(「池袋ウエストゲートパーク」の妻夫木聡や、「悪の教典」の松岡茉優なんかは本当に驚いた。)
しかし「十二人の死にたい子どもたち」は比較的有名な俳優が多い。
多くの役者がすでにどこかで脚光を浴びている。
中学生の頃からアイドルとして有名な橋本環奈はもちろんのこと、新田真剣佑、「キミスイ」の北村匠海、高杉真宙や杉咲花など、有名どころが主役級の役者が勢ぞろいしている。
そういう意味ではサプライズ的な楽しみがない。
今後が楽しみな俳優たちであればまだ演技にムラがあっても、話が雑であってもいいのだけれど、そういう意味でこの映画は少し残念だった。
そうなってくるとここでは、若手俳優の演技を楽しみたいところ。
実力派揃いの役者の中で特に光り輝いていたのは黒島結菜。
彼女は父親との関係がうまくいっておらず家庭環境に問題を抱えていたが、プライドが高く、ヒステリックで情緒不安定な面がとても怖くてリアルだった。
まるで「葛城事件」で加害者を自らのエゴで救済しようとした田中れいなのように迫力が出ていた。
今後も注目したい女優の1人である。
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上映時間 | 129分 |
ジャンル | スリラー |
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filmarks
高校生ぐらいになると一度ぐらいは想像するのか、自分たちの身近にいるクラスの仲間や恋人がどんどん死んでいく姿を。
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