映画「億男」ネタバレ感想・評価 結末は落語?芝浜とは?

映画「億男」は、佐藤健と高橋一生という贅沢なダブル主演に加えて

佐藤健が主演を務めた「るろうに剣心」の大友啓史監督と、同じく佐藤健が主演を務めた「もしも世界から猫が消えたなら」の原作者、川村元気がタッグを組んだ豪華な作品だ。

この作品は、一定レベルのハードルは確実に超えるであろう、安心して楽しめる映画に仕上がっている。

億男は、突然宝くじで三億円当たったらどうするのかを、いろいろな視点からお金とは何かを探っていくエンタメムービーだ。

話としては、10代から、20代前半向けかと思われるので、30代以降になると少し青臭く感じるところもあり、単純に感動と解釈するのは難しいかもしれない。

とはいえ、川村元気のジェットコースター的なスピード感のある話の流れや、映像と音楽を交えた人間の美しさがよく表れているので一回見て損はない作品。

また、エンタメとはいいつつも、一部に知らなきゃわからないフレーズが入っていたりするため、それについて説明していくことにする。

映画「億男」予告

映画「億男」 キャスト

大倉一男佐藤健
古河九十九高橋一生
あきら池田エライザ
百瀬栄一北村一輝
千住清人藤原竜也
安田十和子沢尻エリカ
大倉万左子黒木華

映画「億男」 主題歌、スタッフ

監督大友啓史
原作川村元気
音楽佐藤直紀
主題歌BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」

映画「億男」 あらすじ

失踪した兄が残した借金の返済に追われ、妻子に見捨てられた図書館司書の一男(佐藤健)は、ある日突然宝くじで3億円が当たる。狂喜するも高額当選者たちが悲惨な人生を送っているという記事を読み不安になった彼は、億万長者になった大学時代の親友の九十九(高橋一生)に相談する。久々の再会に浮かれ酔いつぶれた一男が目覚めると、3億円と共に九十九の姿も消えていた。

シネマトゥデイ

映画「億男」ネタバレなし 感想・評価

脇を固める北村一輝、藤原竜也、沢尻エリカ

映画「億男」では、佐藤健と高橋一生のダブル主演というぜいたくなキャスティングがされているが、脇を固める俳優たちも忘れてはいけない。

今やこれが素なのではないかと思う北村一輝をはじめ、藤原竜也の胡散臭い教祖、清純派のころを彷彿とさせる沢尻エリカ。

これら俳優を贅沢な起用が、映画の重要なポイントを盛り上げ役となっているのは間違いない。

彼らがいない場合、主役の一男がごく普通の男なので、そのまま進行していくと大いに盛り上がりにかけることだろう(そもそも佐藤健の顔でごく普通の男を演じられるところが一番すごいのだが) 。

しかし、彼らのような魅力のあるキャラを仕立てあげることで物語に抑揚をつけ、楽しめるエンタメ映画にするところは、やはり川村元気の原作の力によるところが大きい。

大友啓史x川村元気のタッグ

監督の大友啓史の代表作といえば、やはり「るろうに剣心」。

マンガを映画としてきちんと成功におさめられる稀有な監督の1人であろう。

そして映画プロデューサーでもあり、原作者でもある川村元気。

映画プロデューサーとしては「君の名は」をはじめ、「モテキ」「怒り」「何者」など名だたる有名作品を手掛けているのでぜひ注目してほしい。

視聴者を飽きさせないエンタメ映画が得意かと思えば「怒り」や「何者」のような作品も生み出していく。

原作は「世界から猫が消えたなら」が同じく佐藤健主演で映画化され、脚本をはじめ美しい世界を魅せてくれている。

この2人の作品は今後も注目していきたい。

映画「億男」ネタバレ感想・評価

「芝浜」「夢になるといけないからな」とは

結論を最初に言ってしまうと、「芝浜」とは落語の話の1つであり、「夢になるといけないからな」はその落語の中のセリフだ。

物語の終盤、多くの視聴者が「ん?」となったことだろう。なんの脈絡もなく唐突な発言に聞き間違えたかと思ってもおかしくはない。

それは、九十九と一男が電車の中で話すシーン。

一男が九十九のことを信じていた理由を

しばまさだろ?

と言う。

そして九十九が電車を降りるとき

夢になるといけないからな

と伝える。

地上波でながら視聴していたらまず間違いなく、自分が何かを見逃していたのではないかと思うことだろう。

しかし、そうではない。知識がないと知らない言葉だ。

最初に説明した通り、落語の話の1つなのだ。

彼らは落語サークルに入っていた。

その落語の中に「芝浜」という演目がある。

そう、モロッコでさいごに九十九が演じた落語だ。

話を要約すると、

酒飲みの男が、ある日大金を拾った男が変にならないように、酔っ払って寝ていた男の妻がお金を隠してそれを夢だと思わせた。そのショックから酒を断ち、がむしゃらに働き自分の力で大金を手にしてから妻はお金を返す。そして久しぶりに酒をすすめるが、男は「やめておく。夢になるといけないからな」という話だ。

九十九は一男に同じことを行った。一男が億男になったことでおかしくならないように、九十九はわざとお金を持ち出したのだ。

お金とは何かを追求してきた九十九にとって、お金の怖さはじゅうぶんに理解していた。

一男がお金にとらわれないようにお金を夢だと思わせたのだ。

お金とは何か

九十九はずっとお金とは何かを追求していた。

そこである答えにたどり着いた。

お金とは、使う人によって変わるもの

しかし、一男と出会って最後のピースを補完する。

お金が人を変えるのではなく、人がお金を変える

のだと。

モノの価値は人によって違う。1gの1万円札の価値は使う人が違えば、そのぶんだけ変わる。

少し青臭くありきたりな表現ではあるが、その答えにたどり着くまでの過程において、お金を変えてきたいろいろなアプローチがおもしろい映画であった。

お金の価値については「お金2.0」というビジネス書がある。

お金はSNS社会を迎え、お金は人々の評価によって価値が決まるというものだ。

お金とは何かを考えるに良い本なので、一度手に取ってみてほしい。

映画「億男」を見たならこれもおすすめ

2枚目から3枚目まで、なんでもこなせる佐藤健は、男から見ても魅力的であり、俳優界の中でも唯一無二の存在だ。

いや3枚目だけでなく、「億男」のようにごく普通の男も演じられるのが、あらゆる作品に引っ張りだこの理由だろう。

ぜひ、いろいろな佐藤健を堪能してほしい。

高橋一生は、最近有名になっているが、子役のころから映画界にいる。

中学生ぐらいに岩井俊二監督の「リリィシュシュのすべて」も出ている。

ほんのちょい役で気づかない可能性が高いが、そもそもこの映画の映像と音楽の美しさは一見の価値があるので、日本映画としては抑えておきたい。

主役こそ少ないが、坂上裕二脚本ドラマ「カルテット」など、魅力のあるキャラクターを演じている。

斎藤工が監督を務めた「blank13」には主演として登場する

大友啓史監督は、福山雅治を主演に迎え「龍馬伝」で大河ドラマを手掛けている。

地味だが丁寧に話を進める大河ドラマの印象があるが、龍馬伝では盛り上げるための音楽を多用し、疾走感のあるドラマに仕上がっている。

そして佐藤健を主演にむかえた「るろうに剣心」は特に2部を見てほしい。

剣心と新選組の斎藤一が京都で戦うシーンのカッコよさといったらない。

原作者の川村元気は、映画プロデューサーとしても活躍しており、ヒットメーカーだ。

「電車男」や「君の名は」「陰日向に咲く」「打ち上げ花火、下から見るか上から見るか」など、ハートフルで楽しいエンタメ映画を手掛けるかと思えば、「告白」や「怒り」「何者」など、人間の黒い部分に焦点を当てた映画も手掛ける。

映画界に欠かせない逸材である。

沢尻エリカは、久々に清純派だったころを思い起こさせる綺麗な容姿で出ていた。

この辺りのころのかわいい沢尻エリカを見たいなら映画「クローズドノート」あたりがおすすめだ。