映画「ミッドナイトスカイ」は2020年のNetflixオリジナル映画。
ジョージ・クルーニー監督が製作した近未来SF。地球では生物が生きられなくなり、絶滅の危機に瀕している地球側の視点と宇宙探査ミッションから帰還しようとする宇宙飛行士の視点から描かれる。
終盤までは物語の繋がりが見えずいまいちノリきれないけど、ラストでようやく評価があがる映画だった。
なぜ地球に住めなくなったのかは多く語られず、空白を楽しむ映画。ただ、ところどころ挿入される音楽が合わないところも多く惜しい作品となってしまった。
52点
「ミッドナイトスカイ」映画情報
タイトル | ミッドナイトスカイ |
公開年 | 2020.12.23 |
上映時間 | |
ジャンル | SF |
監督 | ジョージ・クルーニー |
映画「ミッドナイトスカイ」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
オーガスティン | ジョージ・クルーニー |
オーガスティン(青年) | イーサン・ベック |
サリー | フェリシティ・ジョーンズ |
サリー(少女) | カイリン・スプリンガル |
ミッチェル | カイル・チャンドラー |
サンチェス | デミアン・ビチル |
ゴードン司令官 | デヴィッド・オイェロウォ |
マヤ | ティファニー・ブーン |
ジーン・サリヴァン | ソフィー・ランドル |
メイソン・モズリー | ティム・ラス |
ミッチェルの妻 | ミリアム・ショア |
映画「ミッドナイトスカイ」あらすじ
ある理由により人類滅亡の危機に瀕している地球と、宇宙探査ミッションを経て地球に帰還しようとする宇宙船を舞台に描く物語。地球の滅亡を目前にしてもなお、北極に残り続ける孤独な科学者オーガスティン(ジョージ・クルーニー)は、任務を終えて帰還しようとする宇宙船の乗組員サリー(フェリシティ・ジョーンズ)らを何とかして止めようと奔走します。危機が迫る中、サリーら宇宙船の面々を救うことはできるのか?そして、オーガスティンが地球に残り続ける衝撃の“ある理由”とは…?
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映画「ミッドナイトスカイ」ネタバレ感想・解説
なぜ地球で絶滅の危機に瀕しているのか
「ミッドナイトスカイ」の世界では人類だけでなく生き物自体が地球には住めないほどに汚染されている。しかしなぜそうなったのかはあまり説明がない。
わかっていることは、
- 3週間で生物が地球に住めなくなったこと
- 放射能汚染が地球全土に起きていること
ぐらいだ。
オーガスティンが監視していたモニターには放射能汚染に覆われた地球が映っていて、それは北極圏にまで及んでいた。
生き残った人々は宇宙へ飛び立つか、地下に避難していて、地上にいるのはおそらくオースティンだけという悲惨な状況。
それがたった3週間で起きたのだ。
木星の調査に行っていたアイテルの乗組員たちは2年前に出発しているので、少なくともその時には地球は平穏だった。
人類は木製の衛星にK23という人類の住めそうな星を発見していて、その調査に行っていたのがサリーたちアイテルのメンバー。
彼女たちは地球の危機を知らないまま帰還しようとしていたのだ。
宇宙にいる自分たちが命を落とす危険があると分かっていても、まさか家族に危険が及ぶなんて思いもよらないだろう。
オーガスティンとサリーの関係
オーガスティンとサリーが交信するシーンで「オーガスティンの父親がサリー」だということがわかる。
さらにオーガスティンがきっかけで、サリーは宇宙飛行士を目指していたことも知る。
仕事に没頭し、家族を捨てたオーガスティンだったけれど、娘は父の存在を知らぬとも、その意思は受け継がれていたのだ。
そして娘を捨てた自分を、仕事を通じて尊敬してくれていたことがどれほど嬉しかっただろうか。
オーガスティンと一緒にいた女の子の関係
基地に一人取り残されていた女の子。話もしない不思議な少女。常に一緒に行動し、極寒の地を弱音の1つも吐かずについてきた少女。
彼女は実はオーガスティンの幻想だった。サリーの少女の頃の姿だったのだ。
仕事人間で妻との時間をまともに持たなかったオーガスティンは、妊娠していたことすら知らされず別れを告げられる。その女の子がサリーだった。
妻とサリーに会った時、顔を一度見ていたけれど名乗りはしなかったので話してはいない。だから少女は話せないわけではなくて声を知らなかったのだ。
冒頭のシーンで女の子を探す母親がいたけれど、あれはミスリード。その女の子は母親より先に乗ったと言われていたけど、本当に先に乗っていたのだろうし全然関係ない。
ラストで自分の娘がまだ生きていて、新たな地へ進むとき、オーガスティンの後悔が消えるとともに、その少女も消えるのだった。
ラストは良いけどイマイチな構成
というわけでオーガスティンとサリーの関係、そして少女の存在の意味が分かったところでこの映画の評価は高く上がる。
老人といる謎の少女とアイテルに搭乗している女性飛行士がリンクし、仕事人間のオーガスティンが最後の最後で自分の娘と声を交わす。以前名乗らずに別れてしまった娘に自ら「オーガスティン」と名乗る。
サリーは最後までオーガスティンを父親だとは理解していなかった。でもオーガスティンは心残りだったことをやり切り、オーガスティンの魂は救われた。
だからこそもったいない。他の部分はどうにもまとまりがない。宇宙飛行士の描写とオーガスティンの北極冒険譚のリンクがあまりにも弱くてつながりを感じられない。
ラストがこの映画の核となる部分だとするならば、宇宙飛行士たちとの関係性の描写はもっと省略しても良かったのではないか。
そこかしこで登場する音楽もちょっと白ける。アイテルが電磁波に襲われた時の音楽や、墜落した飛行船で発生した音楽などはなんとも微妙だった。邪魔しないわけでなく邪魔する音楽だった。
宇宙空間の映像も、北極も美しくてきれいだし、タイトルにある通り、ミッドナイトスカイはこの上なく美しい。
だからこそ、音楽を抑えめにして、間を楽しむように作られていればもっと評価が上がったに違いない。
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