映画「インヘリタンス」は2021年公開の映画。
資産家のアーチャーが突然死により家族に遺産相続が行われた。しかし、娘のローレンにだけ「誰にも言うな」との遺言とともにある鍵が渡される。その鍵のかかった部屋にはある人間が幽閉されていた。と言う話。
主演のリリー・コリンズは「テッド・バンディ」のヒロイン役としても出演する非常に綺麗で可愛い女性。テッド・バンディと同じく急に犯罪に巻き込まれる不憫な女性を演じる。
話のコアな部分をやりたすぎて、そこに行くまでの過程に粗が目立った。話の流れもありがちなので目新しいものはない。
スリラーとしてほどほどな恐怖を楽しみたいなら良し、ストーリーの深さを求めるならやめておこう。
56点
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「インヘリタンス」映画情報
タイトル | インヘリタンス |
公開年 | 2021.6.11 |
上映時間 | 111分 |
ジャンル | スリラー |
監督 | ヴォーン・スタイン |
映画「インヘリタンス」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ローレン | リリー・コリンズ |
モーガン | サイモン・ペッグ |
キャサリン | コニー・ニールセン |
ウィリアム | チェイス・クロフォード |
アーチャー | パトリック・ウォーバートン |
ハロルド | マイケル・ビーチ |
ソフィア | クリスティーナ・デローサ |
映画「インヘリタンス」あらすじ
ニューヨークの政財界に絶大な影響力を持つ銀行家のアーチャー・モンローが急逝した。アーチャーの遺産は妻と政治家の息子、そして地方検事である娘のローレン(リリー・コリンズ)へと相続された。さらに、ローレンへはアーチャーからの「真実は掘り起こすな…」という遺言とともに1本の鍵が遺されていた。ローレンは遺言を頼りに邸宅の裏手に隠された扉を発見する。鍵は地下室への扉を開けるものだった。地下へ足を踏み入れたローレンは、鎖に繋がれた男(サイモン・ペッグ)を発見する。モーガンと名乗る男は、30年に渡りアーチャーの手で監禁されていたと語り始める。果たして、30年前の因縁とは?そこにはモンロー家にまつわる忌まわしき秘密が隠されていた――。
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映画「インヘリタンス」ネタバレあらすじ
遺産相続された鍵
地方検事であるローレンは父であるアーチャー・モンローの死を突然知らされる。心臓麻痺が原因だった。
身体は家族の誰よりも元気だった父がなぜ?と言う思いはあったが、特に事件性も見られなかった。
資産家だったアーチャーは、死んだ時の財産分与を弁護士のハロルドに依頼していた。
遺産相続の遺書をハロルドが読み上げると、弟のウィリアムは15億円だったのに対して、ローレンは1億円だった。
ウィリアムは遺産を分けようと言い、母のキャサリンも父はローレンのことを尊敬していたと気にかけてくれたが、ローレンは父と自分がうまくいってないことをわかっていた。
財産分与の話の後、ハロルドに呼び出されたローレンはビデオとともに鍵を渡される。
父からのビデオレターだった。その内容は、「このことは誰にも言うな」と、この秘密をローレンだけに相続することの「謝罪」だった。
鍵の場所は書かれていなかったが、ローレンには心当たりがあった。
小さい頃、別荘の裏庭で遊んでいた時に父から立入禁止だと強く言われた場所がある。
そこには地下室が作られていた。その地下の奥にある扉の鍵だったのだ。
中に入ると首輪で繋がれた白髪の男を発見する。
恐怖を感じたローレンは、警察を呼ぼうとするが思いとどまり、まず誰なのかを確認することにした。
モーガンが幽閉されていた理由
彼の名はモーガン・ウォーナーと言った。モーガンはアーチャーに30年間閉じ込められていたと言う。
そして、ローレンのことや家族のことも詳しく知っていた。
モーガンとアーチャーは30年前に一緒にギャンブルでイカサマをしていたパートナーだった。
しかし、ある日の夜、酒に酔ったまま運転していたアーチャーが車で人を轢いてしまう。そのことを隠すために男を山中に埋めただけでなく、一緒に乗り合わせていたモーガンも口封じのために地下に閉じ込められたと言うのだ。
アーチャーはモーガンが金を持ち逃げしたと周囲にいうことで、その存在すら隠してしまっていた。
また、モーガンは、アーチャーがソフィアという女性と浮気をしていたと告げる。そしてソフィアの住所まで知っており、遺産も渡しているはずだという。
真実を確認するためにソフィアの家を訪ねたローレンは、父親と本当に関係があったことを知ってショックを受ける。ソフィアにはアーチャーとの子どもまでいたのだ。
ハロルドもそのことを知っていて遺産も渡していた。
母親にもモーガンのことを尋ねてみたが、名前も知らないようだった。
モーガンはアーチャーの懺悔人であり、すべてのことを知っているという。モーガンが本当のことを言っているという確信を得るために、一緒に埋めた死体を掘り出しに行く。
山中の指定された場所を掘り返すと、本当に白骨死体を発見した。
真実を話したモーガンは、解放してくれるように嘆願する。
ウィリアムにもこのことを伏せて相談すると、家族に危険があるなら絶対に解放しないし、父もそうするだろうと言う。
しかしローレンは自分の良心に従ってモーガンを解放することを決意する。ハロルドに海外での口座の用意と移動手段を準備させて飛行場まで連れていった。
ラスト
別途、調査を頼んでいたモーガンの身元が分かったと言うので、地下室のある別荘に調査結果を取りに行くとそこには先に母親がいた。
モーガンの写った写真を見て、母親は取り乱す。彼はモーガンではなく、カーソンという名前で、純粋な悪党だと言うのだ。
それを聞いて恐ろしくなったローレンは、すぐにハロルドのところへ向かうも、すでに殺されていた。
すぐに母親に連絡するも、時すでに遅かった。母親は捕まり、救出に向かったローレンも捕まってしまう。
カーソンは邪悪そのものだった。彼はアーチャーに対して少しずつ毒を盛っていた。以前、アーチャーから渡された自殺用の薬を使わずにチェスのコマに付着させていった。
そのことがアーチャーの身体を少しずつ蝕んでいたのだ。
モーガンはローレンと母親を閉じ込めるつもりだった。その後ウィリアムの喉切り裂き、アーチャーの墓に小便をしに行くと。モンロー家に復讐をするつもりだった。
しかしすんでのところで母親がモーガンを撃ち殺す。
最後にモーガンはローレンに対して「お前の父親は俺だ」と吐き捨てて絶命する。
母親は、ローレンに「あなたはモンロー家の人間だと伝える」。そしてモーガンと共に井戸の中に作られた地下を燃やすのだった。
映画「インヘリタンス」ネタバレ解説・考察
全体として話の粗があるなと感じた部分は多いけど、スリラー映画としてはそれなりによく出来ていた。
ここからは、いくつか気になった点を解説する。
モーガンはなぜ真実を知っているのか
「インヘリタンス」ではモーガンが真実を知っているかどうかが肝だ。
その話を元にローレンは、彼を信じるに足る根拠を見つけていく必要があるからだ。
そのせいで逆に真実を知りすぎていて違和感を覚えてしまう点がいくつかあった。
まず、なぜ30年前に埋めた死体の場所をピンポイントで覚えているのか。
たった数メートル場所がずれているだけで確実に見つからないような場所なのに、夜の山道をほとんど迷わずにたどり着くし、付近には大した目印もないのに、車のヘッドライトのみで特定してしまう。
つい1週間前の話ではない。30年前の話なのだ。
家族のことについても知りすぎている。モーガンはローレンの生い立ちから現在の状況、そしてその時のアーチャーの心情まで全て把握していた。
モーガンはアーチャーにとっての懺悔部屋だと言っていたけれど、なぜ妻をレイプした彼に対して自分の身の上話をペラペラとしたのだろうか。
殺したいほどの怒りもだんだんと薄れてきて、でもモーガンは自ら死のうとは決してしなかったし、罪悪感のようなものも芽生えてきたので、神父のような扱いに変えたのだろうか。
その割には、開放もしなければチョコレート1つも満足に与えていない。
ソフィアとの浮気の件に関してはさらに不可解だ。
懺悔のために告白したのはいいとして、なぜはっきりとした住所までわざわざ伝える必要があるのか。どういう経緯でソフィアの住所を言ったのだろうか。
ローレンが、今回のように来ることを見越していない限り、モーガンも住所を把握しているメリットは少ない。
モーガンが真実を言うことを重要視しすぎていて、違和感が勝ってしまっているのは残念なポイントだった。
なぜローレンにだけモーガンのことを知らせたのか?
妻にも正当な継承者であるウィリアムにも、弁護士のハロルドにも言わず、ローレンにだけ話した理由。これは、ローレンがモーガンの実の娘だと言うことを指し示している。
ただ、ローレンにだけ話して後の処理は任せようとしたのであれば、逃がすことも考慮するはずだ。
だって実の娘なのだから。真実を知らなければ巧みなペテン師に何を吹き込まれてもおかしくはない。
そうなると自分の家族に危害が及ぶ可能性は考えなかったのだろうか。罪の事後処理をローレンに一方的に任せた上に財産は少なめだし、ちょっと強引すぎる。
話の流れからすると母親でさえもこのことを知らなかったようなので、本当に誰にも言えずに苦悩したのだろう。かと言って、死んだ後の処理に困っていたから実の娘に渡すと言うのはなかなか無理筋がある。
つまり、アーチャーは実の娘に裁きを委ねたかったのだ。自分の罪の意識に耐えきれず、かと言って殺すこともできなければ、その罪を明るみにすることもできなかった。
結果、良心をもつローレンが、家族を守るためにそのまま隠すのか、検事として真実を語るのかを任せたのだ。憎まれていると感じていたアーチャーは、どちらかと言うとローレンを介して罪を告白したかったのかもしれない。
しかし、ローレンは母やウィリアム、そしてモーガンの話を聞いた上で、家族もモーガンも守ろうとする。
それが最悪の結末を生む結果となっている。
アーチャーはローレンを愛していたのか?
ローレンとアーチャーは口論が絶えなかった。ローレンが望まない婚姻をしたり、望まない職についたり、自分の考えとは違う生き方をしてきたためだ。
ローレンは、アーチャーには嫌われていると感じていたし、その結果が遺産相続に現れていると。
しかし母と弟は違った。母親はローレンのことを気にかけていたし、小切手を渡そうとした。ウィリアムも同様に遺産は分けようと提案したり、母の提案にも賛成のようだった。
アーチャーもローレンが嫌いだったわけではない。ただ妻をレイプした憎きモーガンの娘だと言うことが頭から離れなかったのだ。
どれだけ愛そうとしてもそのことが頭をチラついて、感情の行きどころをうまく表現できなかったのだ。他人の子供と血を分けた自分の子供。愛情にバラつきがあると言うような問題はありえない話ではないが、それが憎い相手の娘となればその感情も一層複雑になるはずだ。
そう言う意味では、勘当するようなこともせず、少ないけれど遺産も渡したのは父親なりの愛情だろう。そしてモーガンが言っていたようにアーチャーは彼なりのやり方でローレンを愛そうとしていたのは確かだ。
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