映画「亜人」を鑑賞。
この映画、アフタヌーンの漫画が原作である。
不死身の肉体を持つ亜人と人間のかかわりを描いた作品だ。
私は、原作は未読。アニメの1期のみ視聴している。
しかし、第1期では、映画の中盤までしか描かれていないため、ストーリーの概要ぐらいしかわからず、亜人が何者かについては謎に包まれたままである。
この映画は原作やアニメの世界にあるような濃厚なストーリーはない。
原作未読の人にとっては、正直なところ置いてけぼりであり、下手すると駆け足すぎて酷評されかねない。
だが、各種レビューを見ると評価は高い。
なぜ高評価なのか。
それは、無理に原作に寄せもせず、長尺の漫画を無理くり映画の時間におさめることもいとわずに、ただただアクションとしての魅力をぞんぶんに引き出したことにあるだろう。
当記事では、映画「亜人」の感想と評価が高い理由を説明する。
ネタバレは特にしないので、未読の方は興味を持てば一度視聴してほしい。
Amazonプライムでも見られるので、見ていないのであれば、Amazonで一度見ることをおすすめする。
映画「亜人」あらすじ・キャスト
あらすじ
2017年の東京。研修医の永井圭(佐藤健)はトラックと衝突し死亡するが、その直後、肉体が回復し生還。不死身の新人類“亜人”であることが発覚する。圭は追われる身となり、亜人研究施設に監禁されるが、“帽子”と呼ばれる亜人のテロリスト・佐藤に助けられる。しかし、佐藤は国家転覆計画に加担しない圭を敵視。圭は佐藤の暴走を止めるために立ち上がる。
引用:シネマトゥデイ
監督・スタッフ
原作:桜井画門
監督:本広克行「踊る大捜査線」「海猿」
脚本:瀬古浩司、山浦雅大
音楽:菅野祐悟「SP」「PSYCHO-PASS サイコパス」
キャスト
永井圭(佐藤健)
戸崎 優(玉山鉄二)
下村 泉(川栄李奈)
佐藤(綾野剛)
田中 功次(城田優)
奥山 真澄(千葉雄大)
映画「亜人」ネタバレなし感想
ストーリーは弱い、映画の前でも後でもいい。原作を見るべき
原作は、1人の高校生が車に轢かれて死ぬところから始まる。
生き返ることで「亜人」であると発覚し、政府に捕まるという流れだ。
捕まるまでにもいろいろと物語がある。
幼馴染に助けてもらったり、懸賞金目当ての人間に追われたり、他にもさまざまなキャラクターが登場する。
しかし、映画では序盤の人間紹介などは一切無視でいきなり主人公の永井圭が政府に実験されているシーンから始まる。
「亜人」についても大きく触れたりせずにそんなことどうでもいいでしょうとばかりにアクションが始まる。
綾野剛扮する亜人、佐藤についてもまるで紹介がない。
原作でも序盤では大して紹介はないわけだが、それにしてもまるでない。
IBM(黒い幽霊)についても解説は乏しい。というか皆無に近い。
いや、そんなことよりアクションかっこいいだろうと戦いを見せつけてくる。
未見の人はなんのことだか分からない。
ただ、人間とは違う生き物がいて、なにかしら守護霊のようなスタンドのような幽霊を扱えるんだなーぐらいの感覚だろう。
すべてが、諸事情を知っている前提で作られているため、いろんな場面がとびとびだ。
中盤以降も同様に駆け足が激しい。
永井圭のどこか冷たい人間性というのも見えにくくなっているし、永井圭がなぜ佐藤を嫌っているのかもよくわからない。
そもそも人間性を深く掘り下げていないのでキャラクターの行動にたいして感情移入することも難しい。
感情移入ができるとしたら、原作をきちんと読んだ視聴者だけであろう。
しかし、この映画はおもしろかった。
それは2つの大きな理由があるからだ。
映画「亜人」はアクションがみどころ
「亜人」は不死身。これはアクション映画を撮影するうえで大きなアドバンテージである。
なにしろ、無茶な動き方や戦い方をしても問題ないのだ。
人間としてのアクションだと銃に被弾しただけで、動きが大きく制約される。
これは、アクション映画としての弱点であろう。
しかし、亜人は死なない。
いや、死ねば全快して生き返るのだ。
例えば銃弾が被弾したところで、自殺すればすぐに元通りになる。
腕が切られても、死ねば元通りになる。
アクション映画として戦い方に幅が生まれ、見どころが必然的に多くなるのだ。
そして、映画ではその特徴を生かしてアクション映画として制作されている。
ストーリーをおざなりにしてでも、この映画のポイントをアクションに絞り込み、それだけを最大限生かすように作られている。
不要なモノをすべてそぎ落とし、軸がブレずに書かれた作品。
これだけ魅力ある原作をここまでシンプルに作るって簡単に見えるけど、実はとてもセンスのいることなのだ。
これがこの映画の評価の理由である。
だからこそ、ストーリーなんておざなりでとにかくアクションを重視している。
原作のアクションシーンを撮りたいばかりにストーリーも駆け足どころか全速力だ。
だがそれがいいし、それでいい。そう思える映画だ。
俳優あってこそのアクション
とはいえ、日本では製作費がアメリカとは全く異なる。
お金をかければ良い映画が撮れるわけではないが、アクション映画で迫力のある映像を撮ろうとするとお金がかかることも良くある話だ。
しかし、この映画は邦画のアクション映画としてはかなり完成度が高い。
監督やスタッフの技量はもちろんであるが、俳優たちが抜群にハマっているからだ。
るろうに剣心で人斬り抜刀斎を演じた佐藤健の美しいアクションもそうだし、人類破滅をもくろむ佐藤扮する綾野剛などはなんと見事な演技力であることか。
綾野剛は、もう佐藤であり、役の中で綾野剛を意識することもない。
政府側につく亜人、川栄李奈がまたすごい。
彼女が映画やドラマにひっぱりだこなのは知っているが、ここまで見事なアクションを演じられるとは正直思っていなかった。
小さな体で、この幼顔でここまでのアクションを魅せることができるのは、かなり稀有な役者ではないか。
アニメの世界とうまくリンクできそうなので、ぜひアニメの実写映像化で起用していただきたい。
あとがき
この映画は、ストーリー重視ではなく、スカッと爽快アクション映画を見たい人におすすめだ。
殺しても死なないという設定ではあるが、R指定になるほどの残酷な描写はない。
エンターテインメント作品として非常に良く作られているため、家族で見ても問題ないであろう。
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