自分の今見えている景色はほんとうにリアルで起きていることなのか?
「ドミノ」は、現実世界と虚構の世界を行き来するスリラー/ミステリー。
行方不明の娘を探す刑事が、とある事件に巻き込まれ、現実と虚構の世界をさまよう話だ。
96分と短めながら、スピード感のあるストーリー展開なので、飽きることもなく観やすい映画。
監督は「アリータ」や「スパイキッズ」など、観やすいアクション映画を多く手がけているロバート・ロドリゲス監督。そこそこのアクションとそこそこのスリラーをライトに楽しめる作品だ。
他人に虚構の世界を見せて無自覚に操作する能力は、バトル漫画にもよくある魅力的な設定であり、展開の仕方によっては無限におもしろくなれる要素を持つ。
それだけに、その要素を余すことなく使いきれたかというとそうでもなかったのは惜しい点。
幻影を見せることで何が正解かわからなくさせつつ、二転三転する流れは、「BLEACH」の愛染による鏡花水月のようで魅力はあるものの見せ方をもう少し工夫して欲しかったところ。
AKIRAのような超能力っぽさが出たアクションもクールだけど迫力はもう一つ。
楽しめる要素もたくさんあったが、期待するほど膨らまなかった映画だった。
何が現実で何が虚構なのかを含めてストーリーを一から解説・考察していく
ドミノ
(2023)
現実世界と虚構の世界を行き来するスリラー/ミステリー
3.4点
スリラー
ロバート・ロドリゲス
ベン・アフレック
- 行方不明の娘を探す刑事が、虚構の世界へ迷いこむ
- 96分で飽きることなく見られるアクションスリラー
- 設定は面白いが、展開が小さめなのが残念
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映画「ドミノ」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
ダニー・ローク | ベン・アフレック |
ダイアナ・クロス | アリシー・ブラガ |
ニックス | J・D・パルド |
ミニー | ハラ・フィンリー |
デル・レーン | ウィリアム・フィクナー |
映画「ドミノ」ネタバレ考察・解説
ストーリーのあらすじ
冒頭のあらすじは魅力的である。
刑事ダニーは強盗犯を追うなか、人を操る能力を持つ男に出会う。その男が銀行から奪おうとしていたのは、娘の写真だった。という流れから始まるミステリーだ。
3年前、公園で遊んでいた娘が、突如失踪してしまった刑事ダニー。犯人は捕まったが心神喪失により誘拐の記憶がなかった。未解決のまま時が過ぎるなか、銀行強盗が入るという情報をキャッチする。
向かった銀行の貸金庫で、娘の写真とデルレーンという名のキーワードが書かれた手がかりが見つかった。
ようやく見つかった娘の居場所のヒントだが、そこに超能力を持つ人間が現れる。
原題の「Hypnotic」は催眠という意味となる。この世界には虚構を見せることで人を操ることができる能力を持つ人間たちがいる。
「今日は暑い日だ」とささやけば、女性が服を脱いで道端を歩き始めたり、銀行の窓口にいる女性が強盗に協力する。操ることができるのは単純な行動だけではない。
通常、催眠術では人を傷つけるなどの行為はできないと聞くが、この世界では殺すことも自傷行為も可能である。
テレパシーのような心を読む能力とも違い、催眠というにはシンプルすぎる。
この力は、脳をハッキングし、操る人間の現実世界を歪めることができて認知させる力を持つ。操られた本人は虚構世界にいる感覚がなく、意思も含めて乗っ取られる。
能力について知っているダイアナと出会ったダニーは、この能力は「ディビジョン」という組織が関わっていることを知る。ダイアナもその1人だった。
能力の説明
虚構世界の作り方はクリストファー・ノーラン監督の「インセプション」のようでもあるが、スケールは小ささを感じずにはいられない。
安上がりなインセプションや、劣化版インセプションと揶揄する声もあるが、納得してしまう部分も。
「インセプション」では脳の世界に入り込むという設定のため、その世界は完全なる虚構だが、「ドミノ」では現実世界にいるまま脳をハッキングするため、物理的な世界は存在する。
目に見える視界や、音を自在に操ることで別世界を見ているように見せかけることができるため、それっぽい何かは存在する。ハリボテの街並みや、鉄パイプで組まれたセットをホンモノの世界と認識することができる。
また、能力を持つものも操りやすい人間と操りにくい人間がいるようで、ダニーのような男は操りにくい部類に入る。しかし、この真相もまたのちに判明する。
ディビジョンの目的は?
ディビジョンの目的は、ダニーの娘を見つけ出すことだ。ダニーの娘はコードネームをドミノと言い、組織のトップにいるデル・レーンをも凌ぐ潜在能力を持っていた。
ダニーは、自分の妻がディビジョンのメンバーであること、娘が能力者であることを知ることになる。
ディヴィジョンは、その力を欲しがっていた。
しかし、そのことを全く知らなかったダニーは混乱する。妻とは大学生の頃から知っている仲なのに、組織のことも娘のことも記憶が抜けていた。
どこまでがリアルで何が虚構だったのか?
「開始5秒からだまされる」というキャッチコピーにもあるように、虚構世界は、冒頭でダニーがセラピーを受けているシーンから始まっている。
ダイアナには、ダニーはかかりにくいと言われれてたが、そうではなくすでに虚構世界の中にいたのだ。
観客含むダニーがいた世界は全てハリボテで作られており、その中でダニーは踊らされていた。協力者だと思っていたダイアナは組織の人間で、相棒もまたメンバーの1人だった。
銀行強盗も、ダイアナの店も、その後の逃亡も全てが用意された虚構の世界だった。
そして目の前の協力者であるダイアナは、ダニーの妻だということも判明する。
また、娘は誘拐されたわけではなかった。類まれなる能力を持つ娘を組織から隠したのはダニーだった。だがしかし、その記憶もまた失われていた。
組織は娘を探すべく冒頭からここまでの流れを12回も繰り返していた。金庫の中にあった娘の写真もダニーが持っていたものだった。ダニーが知っているだろう娘の場所を知るために何度も虚構世界でのシミュレーションを繰り返していたのだ。
しかし、ダニーは口を割らなかった。
ラスト 続編はあるのか?
ダニーは、再び記憶をリセットされ、同じシチュエーションを繰り返す。しかし、記憶を完全に取り戻したダニーはその世界から抜け出した。
ダニーが向かった先は養父母のもとだった。ダニーは娘を山奥に4年間かくまい、娘の力が安定するのを待った。組織から抜けるためには娘の力が必要だった。
そして、自ら記憶を消して、写真を見ることで記憶を取り戻すようにしておいたのだ。
妻であるダイアナもまた記憶をなくしていたが、彼女もまたダニーと協力して娘を逃したあとに自らの記憶を封印したのだ。
4年間でミニーの力は組織を簡単に滅ぼすほどの力を持っていた。全員を虚構の世界に迷いこませ、組織のメンバーは全員殺された。
最強の強さを誇ったはずのデル・レーンも自らを撃ち抜き死に至る。
こうしてダニーたち家族は組織から逃げきることに成功して幸せエンド。
しかし、エンドロール中、状況はいっぺんする。デル・レーンはまだ生きていた。ダニーたちは自害したデル・レーンの虚構を見せられていた。
と言うわけで続編が作れそうな終わり方になっている。
能力者の圧倒的な力をみせつけるカッコ良さもあるし、虚構世界を見せていたと思いきや、見せられていたみたいなマンガ的どんでん返しの連続もおもしろい。
しかし、一つ一つの構成がちょっとチープさがあるため、B級っぽさを抜け出せていない点が非常に惜しい。色々と今後の展開は作れそうではあるため、次回作が出るなら観てみたい映画である。
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