「透明人間」は、2020年公開の映画。
「ソウ」シリーズに出演するリー・ワネルが、その経験を生かして制作したスリラー映画。
束縛の激しい夫から逃れた妻が、透明人間になって追いかけてくるという話。
その内容は王道だが、カメラワークや音響効果は抜群で、人の追い詰め方も、暴力だけでなく精神的にも追い詰めていくので、上映中はドキドキしっぱなしで疲れてしまった。
なお、激しくはないもののドキッとする演出はそこそこあるので、苦手な人は要注意だ。
おすすめ度
72
透明人間
3.8
Filmarks
3.5
映画.com
3.7
Yahoo映画
3.5
カラクリシネマ
7.72
Rotten tomatoes
7.1
IMDb
- ハラハラドキドキが止まらない
- カメラワークや音がいい
- 本当に怖いのは人間
- 人間関係が良くわからない
- 話がダラダラ進む
「透明人間2020」映画情報
タイトル | 透明人間 |
公開年 | 2020.7.10 |
上映時間 | 124分 |
ジャンル | ホラー |
主要キャスト | エリザベス・モス |
監督 | リー・ワネル |
「透明人間2020」キャスト
登場人物 | キャスト |
---|---|
セリシア・カス(シー) -主人公 | エリザベス・モス |
エイドリアン・グリフィン -シーの夫。 | オリヴァー・ジャクソン |
ジェームズ・レイニア -シーの友人で警察官 | オルディス・ホッジ |
シドニー・レイニア -ジェームズの1人娘 | ストーム・リード |
エミリー・カス -シーの妹 | ハリエット・ダイア― |
トム・グリフィン -エイドリアンの兄 | マイケル・ドーマン |
マーク | ベネディクト・ハーディ |
アニー | アマリ・ゴールデン |
レックリー刑事 | サラ・スミス |
「透明人間2020」予告
「透明人間2020」あらすじ
富豪で天才科学者エイドリアンの束縛された関係から逃げることの出来ないセシリアは、ある真夜中、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れたエイドリアンは手首を切って自殺をし、莫大な財産の一部を彼女に残した。セシリアは彼の死を疑っていた。 偶然とは思えない不可解な出来事が重なり、それはやがて、彼女の命の危険を伴う脅威となって迫る。 セシリアは「見えない何か」に襲われていること証明しようとするが、徐々に正気を失っていく。
filmarks
「透明人間2020」ネタバレ感想・評価・解説
※これより先は核心には触れませんが、あらすじには触れます。
ドキッとするシーンの連続
冒頭は一緒に暮らす豪邸から逃げ出すシーンから始まるのだけれど、ソーッと抜け出さないといけないから最初からドキドキで始まる。
そして早速お約束の「静まったときに大きな音をだしてしまう」あるあるを繰り出すことで
「あぁ、この映画は疲れるんだな」と悟ることになる。
逃げ出すまでに3回ほど、犬、車、そして夫のエドワードにビビらされるから苦手な人はここでギブアップするかもしれない。
その後、透明人間の存在が明らかになるまでに少し時間があるのだけれど、タイトルが「透明人間」とあるように、いつ出てくるのか、もうすでにそこにいるのかもわからない恐怖に怯えることになる。
何でもない空間や開いているドアを映すことにより、見えないけど「何かがそこにいるよ」と言われているようで、例えいなくてもビビらされ続けるのだ。
その恐怖にしばらくの間晒された後、徐々に気配を出し始める(ちなみに外気の吐息のシーンはなかなか不気味だった)。
そして、ついにはシーにはっきりとわかるように現れることになる。
しかし、この時点ではまだ他の者には分からないからやっかいだ。
透明人間はシーを精神的に追い詰めて、孤立させていく。
ここがまた単純なホラー映画と違って、おもしろいところ。
ゾーっとする恐怖ポイントに電話がある。
確信に至ってなかったシーがおもむろに電話をとり、エドワードに電話すると頭上で鳴る。
そばにいるとはっきり分かることで、恐怖感が増し、普通なら怖くていけないはずの屋根裏に昇り、そこで透明人間を視認するまでのシーンはひたすらしんどい。
ここから先は、透明人間が攻撃してきたり、はっきりと物体として認識できるようになるため、怖さよりも展開の方に気がとられていくことになるが(妹を目の前で殺して犯人に仕立てあげようとするなど、なかなか発想はヤバい)、スリラー映画として上質な恐怖を味わうことができる。
そして音響効果や不安を煽るBGMがまた、気持ち悪く、この映画の質に大きく貢献している。
「透明人間」の目的は恐怖のみ
「透明人間」は、シーを追い詰めることに特化していて、それ以外の情報はできうる限りシャットアウトしている。
ジェームズなどの他のキャラに関する説明もまともにない。
なぜ妹の家に逃げる手伝いをしてもらいながら友達のジェームズを頼った経緯も分からないし(彼は警察官だから?)、シングルファーザーの理由も不明。
大学費用を友達に出させておいて、「いいのかい?」程度の遠慮で終わる関係性から親密さはかなり謎だ。
エイドリアンの自殺についてもあいまいだ。兄がいたからとは言え、弟が自殺したなどという嘘をかんたんにでっち上げられることが可能なのだろうか?(ネットニュースにもなっているので、それなりに公的手続きがあったはず)
車で自分の家に戻るために連れてってもらった男も誰だか不明だし(いつ電話した?)、そもそも顔もまともに映っていなかった。
このように、シーを追い詰めること以外のノイズとなる情報は、完全に省いている。
しかし、追い詰めるために大事な情報はきちんと入れているので、ストーリーも怖さに拍車をかけているし、観客も怖がることだけを楽しめるようになっている。
これを粗ととるか、前向きに捉えるかでこの映画の評価は変わってくる。
犯人は結局誰なのか?
※これより先は核心含めてネタバレします
エドワードが襲っていると見せかけて、実は兄のトムが犯人でしたと言うオチにするかと思いきや、やっぱりエドワードが犯人でしたというオチ。
はっきりとエドワードが告白したわけではないけれど「サプライズ」という言葉が彼が犯人だと物語っている(透明人間のときに度々その言葉を耳にしている)。
そして、スーはステルス迷彩を利用して逆に殺すのだ。
最期は「デスノート」の月ばりに監視カメラの場所を計算して、死角になったところでエドワードに勝ち誇る。
かなり嫌な終わり方ではあるけれど、ハッピーエンドといえばそうなのかもしれない。
しかし、「デスノート」の捜査官エルは監視カメラの外にいる誰かを見ていると怪しんだし、たとえそれほど頭脳明晰でなくとも、警察はこのステルス迷彩の存在をすでに知っているわけなのだ。
いくらパッと見、監視カメラに誰も映っていなくても、それは不振に思われるだろうし、バレてしまうのでは?と考えてしまうが、
まぁ、それもシーを追い詰める本筋とは関係ないので、気にする必要はないだろう。
しかし、メタルギアソリッド並みのステルス迷彩を発明しておいて、結局それを女性問題にしか使えないのは、男はつくづくどうしようもない生き物だと感じる。
20年前にも「インビジブル」という映画があったが、結局透明になるという圧倒的な能力をしょうもないことに使っていた。
のび太の石ころ帽子と同じような発想しかできないのだ。
このステルス機能があれば、国どころか世界を支配することだって可能かもしれないし、裸にならない分、融通も効きそうだ。
とはいえ、スリラー映画としては上質で面白い映画だった。
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新感覚ホラー
「アス」
ゲットアウトの監督作品!
タイトル | アス |
公開年 | 2019.9.6 |
上映時間 | 116分 |
ジャンル | ホラー、サスペンス |
主要キャスト | ルピタ・ニョンゴ |
監督 | ジョーダン・ピール |
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filmarks
全てのシーンに意味があり、全てのシーンに伏線を入れるかそれを回収する骨の髄まで食べられる映画。見終わった後にはじわじわくる恐怖であなたを支配するだろう。だからもう何の説明も見ずにとりあえず見て欲しい。
ホラー映画としてシンプルかつ王道に怖い「ペットセメタリー」もおすすめ。
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