映画「ホースガール」」は、Netflixオリジナル作品。
馬と映画が好きな大人しい女性が、精神を徐々に病んでいく過程をサスペンスでもホラーでもなくシュールに、妄想の世界をありのままに描いているところは新しい。
演出は、ホラー的な演出はないのにもかかわらず、どこか怖くてでも楽しくて。
精神に異常をきたした世界を見たことはないけれど、確かにこういう世界であれば周囲から見れば狂ったように見えてしまうのかもしれない。
爆発的な評価を得ることはないだろうけど、なかなか良作。
全体を通して、主人公がおかしくなったのか、自分がおかしいのか良くわからなくなる作品だったが、どこからが”現実”でどこからが”虚構”なのかを解説する。
映画「ホースガール」予告
映画「ホースガール」あらすじ
サラ (アリソン・ブリー) は、手芸と馬、そしてオカルトドラマ好きのコミュ障オタク女子。そんな彼女が見る明晰夢が、次第に日常を侵食し始めて…。
映画「 ホースガール」映画情報
監督 | ジェフ・バエナ |
脚本 | ジェフ・バエナ |
アリソン・ブリー | |
音楽 | |
公開 | 2020年2月7日 |
製作国 | アメリカ |
映画「ホースガール」キャスト
サラ | アリソン・ブリー |
ニッキ | デビー・ライアン |
ダレン | ジョン・レイノルズ |
ジョアン | モリー・シャノン |
ロン | ジョン・オーティス |
イーサン | ポール・ライザー |
映画「ホースガール」ネタバレ感想・解説
「ボースガール」は主人公のサラが妄想に取りつかれ、現実と虚構の区別がつかなくなっていく映画だ。
サラは、初めにこう考える
- エイリアンに誘拐されて
- 祖母のクローンとして作られた
と。しかし、
- 白い部屋で出会った女性と施設で出会い
- 自分はクローンではなく祖母自身であり
- 時を移動できる存在だと認識し
- 最後にはエイリアンの元へ自ら赴く
という話だ。
映像が現実を見せているのか、虚構を見せているのか、訳が分からなくなること必至だが
サラは現実での何かの影響を受け、それを真実と解釈してしまっている点がいくつかある。
クローンは煉獄からの発想
自らを祖母のクローンと考えてしまうのは、サラがはまっている「煉獄」の映画のシーンからだ。
ダレンという男のクローンが現れたこと、そして祖母が自分にそっくりだということから
- 自分は祖母のクローンとして作られたのでは?
と妄想し始める。
それに「DNA鑑定の結果が来ない」こと、「サラが生まれる前に祖母が死んだこと」というエピソードを追加して、より真実味を増していくことで、サラはクローンの存在を信じていく。
ヘザーはパン屋で働いていない
幼なじみのヘザーと話すシーンがある。
その中でパン屋で働き始めたという会話があるが、まったく話がかみ合っていない。
これは、ダレンがパン屋の話をしていたからだ。
その話を幼なじみの話と混同させ、ヘザーはパン屋で働いているという話になっている。
電話を通じて未来を聞き取れる
夜眠れないときに未来の話が聞こえるシーンがある。そのうちの1つでは、サラは気づけば公衆電話の受話器を持ちながらつっ立っている。
「11:02」に布団に入り、「11:04」に外から戻ってきて電話を見ている。
実際には「11:02」に布団に入った時点ではすでに妄想の中にいて、その25分前に公衆電話から自分の電話番号に電話をかけけている。
ジョンと会話中に電話をとり、未来が聞こえるという話も同じだ。
実際には未来が聞き取れているわけではなく、サラが他の人間と時間の間隔が異なるため混同してしまっている。
サラと馬は無関係
サラが私の馬だと言いながら、牧場に足を運び、若い女性にアドバイスをするシーンがある。
ウィローに対して誕生日だからとストラップをつけたり、まるで自分の馬かのようにふるまうことが多い。
しかし、牧場の持ち主はずっと不審な顔をしているし、まるで腫れ物にでも触れるような行動を見せる。
- これはサラの馬ではない
幼少の頃、友だちが車から落ちてケガをしたことがきっかけで、乗っていた馬と混同している。
ラストでサラが布を馬に巻きつけているのを観た男は激怒するが、あれはサラの妄想の中の1場面だ。
記憶が飛ぶきっかけは母の最期のシーン
幼なじみの家から帰るときに観た貯水タンクで水が流れる音を聞いてしまったサラは車を放置して家に帰る。
エイリアンが自分を誘拐すると脅迫観念にとらわれ、シャワールームに閉じこもったサラは、シャワーを浴びたときに記憶が飛んで、裸のまま運転して店まで入ってくる。
サラの母はうつ病で自殺したとき、シャワーがずっと流れ続けていた。
これがトラウマとなり、水がずっと流れ続ける音を聞くと、記憶がなくなるのだ。
壁のキズとカラダのキズは自分でつけた
ダレンたちと飲んだ翌日、アパートにひっかき傷のような跡がついている。
ロンをつけた後、車の中で寝てしまったサラはサンルーフにも似た傷を見つける。
さらにサラの体には似たような痣がついている。
これは、エイリアンがサラを誘拐したときに爪のようなものでひっかいている妄想を自分がやってしまっている。
サティコ衛生は浮浪者の言葉
ダレンとデートしたときにサティコ衛生の話をしている。
これはグレートレングスでときどき奇声を発しながら歩いている浮浪者の言葉だ。
医者が信じてくれなかった話をダレンは信じたように見えたので、サラはいっそう裏切られたと感じてしまうことになる。
おかしくなったのはサラなのかそれとも
ラストシーン。
サラはウィローを助けると言いながら、馬と一緒にゴルフ場までやってくる。
地面に身を置き、エイリアンに運ばれていくシーンだ。
エイリアンは、時間移動をするというのがサラの持論。
ジョンはサラと話しているときに店の外で見た馬を、サラが馬を引いているシーンとして見かける。
病院に入ってからは、すべてが妄想の話かもしれない。
しかし、ジョンがサラの馬を見たという点は、サラの主観ではない。
もしこれが事実だと仮定するとしたら、サラの話は妄想による出来事なのだろうか。
現実にエイリアンに連れ去られた結果起こっている可能性は決して否定できない。
また、映画の中で3回ほどグレートレングスに無言電話がかかっている。
サラは記憶がない最中、電話をしている可能性がある。
しかし、サラはそのとき店の中にいる。
それは時間を移動できるサラの存在を暗示しているようにみえる。
今、あなたがあり得ないと考えていることは、固定観念でしかなく、本当に今ここにいることは、現実に起きていることなのだろうか。
しかし、1つ言えることは
- あまり深く考えると、あなたにもこの”真実”が見えてしまうかもしれない
ということだ。
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映画「ホースガール」を見たならこれもおすすめ
ジョーカーは2019年の映画。同じように妄想癖のある主人公アーサーの物語だ。
あなたは現実を見せられているのか、妄想を見せられているのか、最後には自分の世界まで混乱しはじめる。
現実と虚構を描く上では映画「Matrix」も類似点は多い。
現実の人間はすべて夢を見させられているという設定だ。ここではサラのような妄想がリアルであり、私たち人間の方がおかしいのだ。
これを見てからもう一度ホースガールを見ると、サラの気持ちに近づけるかもしれない。
Netflixオリジナルといえば、「アンカットダイヤモンド」。
借金だらけで首が回らなくなった主人公が自転車操業的に金集めに奔走し、一大ギャンブルへと発展していく話。
ダイヤモンドを巡る血なまぐさい話ではなく、無謀すぎるお金集めの話だ。
その視点で観ると、アダムサンドラーの下品な演技とスピード感ある演出で十分に面白く感じるだろう。
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